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魔物の幹部達の作戦会議...にはたまに何言ってるか分からない人外キャラが紛れてたりします。

作者: 黒豆100%パン


「で?俺たちをここに集めるって事は、緊急事態なんだよな?」



テーブルに足を乗せて偉そうに赤髪の男は言う。それに対して眼鏡のインテリそうな若い女性が「アナキス、態度が悪いですよ」と叱責するとその男は渋々とテーブルから足を下ろした。

今ここでは会議が行われている。いわば悪役達の集会で、漫画やアニメなどによくあるアレだ。ここには6人ほどの魔物の精鋭が集まっている。ここにいるのは幹部クラスの者たちで実力もかなりある。



「んで?何の用なんだ?」



アナキスはそう言いながらまたテーブルに足を乗せる。その瞬間またあのメガネの女性、イーネが睨みつけて来て足を下ろす。



「ここで問題視されているあの少年についてです」



「少年?ああ、あの次々と事件を解決してるっていうあいつか?」



金髪のイケメン男、メルキーはそう言いながらモニターのスイッチを入れる。そこにはその問題視されているという少年が敵を倒している姿が映し出されている。今その少年と戦っているのは幹部たちには及ばないが相当な手練だ。だがその手練ですら一方的に少年にやられている姿が淡々と映し出されている。



「おいおい、あいつこんな無様な姿晒してんのかよ!」



「タイヤキ」



映像に爆笑しているメルキーの横で、緑色の大きな牙の怪物はそう呟いた。



「お前、相変わらず何言ってんのかわかんねーよな」



メルキーのいう通り、このバッガスという奴は毎回なんだかよくわからない事を言っている。最初は誰もが動揺したのだが、いつのまに皆慣れてしまいもう気にしてすらいない。



「ハンバーグ、メンチカツ....ギョーザ!!!」



「なあそのハンバー...とかメンチ...って何だよ」




アナキスがそう尋ねるが答えは「タイヤキ...オコノミヤキ...」というものしか返ってこない。



「そいついつもそういうことばっか言ってるけど、他の事言えないのかね??」



そう口を挟んで来たのは少し子供っぽいチェールだ。こいつは戦闘狂と言えるほどですぐに敵を葬りたがる。



「そんなこといいから早く終わらせて敵をぶっ潰そうよ!!」



「ヤキニク」



「また言ってる...」



「お前さん普通に喋れないのか?」



そうアナキスが言うがバッガスはタコヤキ、カイセンドンとやはり意味不明な事ばかり言っている。



「やっぱダメだわ。何言ってるか分かんねえ」




「それより、外で何だかバグがどうとか詫びがどうとか言っているが?」



「人間というのはよく分からない生き物だからな。興味がある」



「だからさあー!!あの人間やっちゃっていいの?」



「あーもううるせえよクソガキ!!」



チェルーのその言葉に苛立ちを見せたのはメルキスだった。仲間同士で一触即発状態の2人をそれをイーネとバッガスが止めようとする。



「やめてください。はしたないですよ」



「ハンバーグ!!ステーキ!!」




「ああ?クソババアがうるせえんだよ!!」



その言葉にイーネまでもが参加する状態になっている。ここで止めようとするのはバッガス1人...なのだがパフェだのプリンだのというだけで全くと言っていいほど何を言っているかが分からない。必死に止めようとしているのは伝わるのだが、いかんせん言葉になっていないのだ。


「ギュウドン!カツドン!!!」




「騒がしいね...」



その騒ぎに、今まで全く喋らなかったスイマが起きた。会議の最中というのにずっと寝ていたのだ。だが3人が騒がしくしているせいで起きてしまった。その声に誰も何も喋らなくなる。スイマは基本寝ているのだが、起こされたりすると不機嫌になり辺りを破壊し尽くしたりするぐらいのやばい奴なのだ。



「すまねえ」



「カルパス...」



「ああ、バッガスは悪くないでしょ?謝らなくていいのに」



「これ謝ってんのか?」



「ま、長い事一緒にいるからね。何を言ってるかはわからないけど、大体状況でなんて言いたいのかは分かるよ」


このままではこの辺りが消えてなくなるかもしれない。どうにかして


「流石ね」



眠りを妨害されたから、少しだけ不機嫌なような感じだ。なんとか怒りを収めようとあれこれ言うと、スイマは「そうか...」とだけ言う。何とか大惨事は免れ、また話題は例の少年の話に戻る。



「で、どうすんだ?あいつは」



「うーん...」



「だから僕が!」



チェルーがそう言う。だが「勝てるのか?」と指摘されても自信満々に返答をする。だがその少年の力が凄まじいものであの映像を見ただけでも恐ろしいことはわかる。チェルーが勝てるかどうかは分からない。



「ま、いったん休憩にしましょう」



「そうだな」



イーネのその言葉に休憩を取る事にした。バッガスは個室に向かった。




バッガスは誰もいない場所でフーッと息をついた。そして今までの言葉が嘘かのように、饒舌に喋り始めた。



「はーよかった。それにしてもいつまでこれを続けてればいいんだろう...最初に変な言葉言っちゃったせいで、未だに変な言葉を連呼するキャラ付けになっちゃったし...普通に喋ろうにも『喋れるの?』とか『何で今まで喋んないの?』とか思われたら嫌だしなあ...まあとりあえずずっとこのキャラを演じてればいいか...でも大変だなあ」



そう言っているとメルキーが入ってくる。今のを聞かれたかも...?と思ったが軽い挨拶をするだけだった。それと同時にバッガスはチャンスなのではないかと考えた。今普通に喋ればもしかしたら...バッガスは言葉を言おうとすると何も言えない。


「どうした?何か言いたそうだが」



「ウナドン」



頑張って絞り出した言葉だった。

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