05俺の質問
「そうだ、今ハッキリと思い出した!俺はその一言を心の支えにして、小、中学校と乗り越えてきたんだ。そしてもし嘘だったら親父を包丁で刺したあと、俺もその包丁で・・」
「うげぇ、お前そんなこと考えてたの!怖いねぇ~」
「うるせー!子供の時ならいざしらず、思春期ど真ん中のいたいけな男の子なんだよ。その位考えてたほうが普通なんだよ!!!」
「いやいや、あの時の『パパァ、パパァ』って言ってた純粋な太郎はどこにいったんだか」
「!!!!!!!!!!!!!!」
「まー、お前の気持ちもわかないでもないけどね、・・ホイッ。」
そう言うと喋りながら本棚をいじっていた親父が1枚の写真を出す。そこにはなんとも俺とはまた違ったタイプの不細工が写っている。年は、14~15歳位、ヒョロガリで目は細く軽くアゴがしゃくれていてる。スタイル的にも頭がでかくその割には身長は高そうには見えない。5頭身あればいいほうの面白い体型だ。
「それ、昔の俺だから」
「・・えっ・・・・えぇぇぇぇぇ~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!」
「朝から、うるせぇな~近所迷惑でしょうが」
「だって、これ・・えっ・・も~何がなんだか。」
「まー、簡単に言うとだな。うちの家系は16歳までずぅ~っとサナギの状態なの。そんで17歳になると一気に羽が生えて大空に飛び立つのさ!わかったかい?」
「わかるかぁ~!!!」
「だって、あん時17歳になったらかっこよくなるって教えたろ!?」
「そりゃ、そうだけどこりゃもう別人だろうが!!!」
「おまえな~、あんな容姿で、おしゃれして痩せた整形までした所でたかがしれてるだろ!?」
「・・確かに・・」
「だろ?それに、別人っていってるがこれは『進化』だ。多分どことなくだが前のお前の痕跡があるはずだ。」
そう言うと親父は居間に置いてあった鏡を渡す。それをジッと見る俺。
見れば見るほどイケメンだ。時間が許すなら1日中見ていたい・・・・・・・おっと、あぶないあぶない。俺にこんなナルシスト気質があるとは!まったく、自分でいうのも何だがこの顔・・ズルすぎるだろ!!!!
それはさておき・・ん~、なんだろう?元不細工な俺。他の人がこれを聞いたら『死んでくれる?いや、俺が殺してやるよ』といわれそうだがあると言えばある。だがそんなものは0コンマの世界の話しだ。例えばパラメーター的に容姿1のゲームキャラが、一気に100万振り分けられたら1の時容姿なんてほぼほぼ残ってない。そのくらいの痕跡だ。
「もっと詳しく説明してやりたいんだが、いかんせん時間が・・お前も学校だろ~?」
ふっ、と時計を見ると確かに登校ギリギリだ。しかし今はそんな場合じゃない、それに
「この姿で行ったって天草太郎で通るわけがないだろ!!」
「あー、その辺は大丈夫」
「大丈夫?」
「パパのコネと力で上の方には言っといたから。ただ、生徒までには手は回らなかったんだよね~。そこら辺は自分の力で何とかしてね。」
「・・・・・・?!」
「んじゃ、そろそろ行こうかな~」
そう言うと親父は家を出て自慢の愛車のバイクに股がりアクセルを噴かせる。
「それじゃ、Enjoy highschool!!!」
ブゥォォォォォォォォォ~~~~~ン!!!!!
俺は颯爽とバイクで走り去る親父を見て思った
親父・・法定速度は守れよ・・・・
「おっと。そういえば、変わるのは外見だけじゃないんだけど・・・・ま、いっか。何事も経験。すぐに気づくだろう・・・・」