02俺の隣娘
その理由は2つ。
「またそんな顔して!」
その1つが、幼なじみのマリ姉がいるからだ。
マリ姉こと、豊臣マリア。隣の家に住む同じ高校に通う1つ上の女子高生だ。
身長は167~8位。顔はほっそりとしたラインに大きな目。スッととった鼻筋にぷっくりとした薄ピンクの唇。
髪はポニーテールでいつもつけてるリボンをほどけば、腰までありそうな綺麗なストレートロング。
スタイルはアニメの世界からでてきたような豊満なバスト、ほっそりとしたウェスト、安産型なヒップ。
頭も良く学年順位も常に上位をキープ。だが運動は苦手らしく体育の時よく派手にこけては同級生に笑われている。
ただ、そういって笑われながらも手を取ってたたせようとする男や、女の数を見るだけで彼女の人気の高さがわかる。
俺が、ネクラにならずそこまでネジ曲がった性格にならずにいられるのも彼女のおかげかもしれない。
「そんな顔ってどんな顔だよ?」
それは、珍しく明日が上納金の日だというのに虐めグループが『金とかとは別に暇だから』という理由で蹴り上げられた放課後。帰宅中1人で家への帰り道を歩いてる途中である。
俺を見つけたマリ姉が声をかけてきたのだ。
「ずっと下見てる。ちゃんと前見て歩きなさい!」
「それは、顔じゃなくて頭の位置だよね。だったら、ちゃんと姿勢をただせとか・・」
「屁理屈言わないの!!」
「屁理屈じゃなく、ちゃんと理屈を言ってるつもりなんだけど」
「もー、相変わらずたっくんはめんどくさいな~。アハハ!」
そんな会話の中、突然のマリ姉登場に俺は顔や、服の汚れを気づかれないように手を使い叩きおとす。
こんな俺にも気軽に話かてくれるマリ姉。だからこそ俺は、
「んじゃ、俺よるとこあるから」
「え~、今日も一緒に帰らないの~」
「うるさいなー、男には行くべき場所があるんだよ」
「それにしたって高校に入って一回もだよ。何で~・・・・。」
「それは・・なんていうか~・・えーとを~」
「あっ、わかった。エッチな本買いに行くんでしょ。そうだよねたっくんも、もう高校生だもんね。もー、たっくんのー、す・け・べ・さ・ん。アハッ!」
「違っ・・ハァー、なんだかなぁ~・・ハイハイ、もうそれでいいから、早く行った行った」
「は~~い。じゃあね、たっくん。バイバーイ!」
「ん、バイバイ」
そう言うと俺は、行く当てもなく街を数分ぶらつく。
俺が高校に入ってからマリ姉に帰る時、会った場合の行動だ。
これでいい。
もしマリ姉と仲良く帰ってるとこを虐めグループに見られたら、マリ姉にどんな被害が及ぶことか。それだけは絶対守らなくては。
マリ姉は、隣に住んでる只の同じ高校に通う女子高生。仲がいいわけではなく、顔見知り程度。そう、奴らにおもわせるし、自分にも言い聞かせる。
こんな俺にも優しく話しかけ、笑顔を見せてくれる。
そんな彼女との仲をあいつらが知った日には・・
「は~~、・・・俺がもっと強かったらな~」
「やっぱり、彼氏とかいるよな~」
「外見だけじゃなく中身もこれじゃ~な~」
「は~、とりあえずいつもどうり軽く走って帰りますか」
そう独り言を呟くと思春期特有の、『今日から肉体改造してモテてやる』が発動し走り出す。まぁ、マリ姉と会った時しか発動しないんだけどね。
数十分、街のなかを走ったり歩いたりし家に到着。いつもどうりポストの中のチラシやらを整理してるとかわいらしいピンクの封筒が紛れ込んでいる。家に入り自分の部屋で中を開けてみる
『ヤッホー、たっくんのお姉さんことマリ姉だよ。本当は今日の帰りに言おうと思ったんだけどたっくんが最近冷たいし
、全然んかまってくれないから手紙にしました。なんと、明日は・・・たっくんこと、天草太郎君、17歳の誕生日なのです!!きゃー、おめでとうー。ってなわけで明日は帰りだけでなく学校でも一緒にいてあげるのだ。ちゃんとプレゼントも用意してあるんだからね。逃げちゃダメだぞ。プンプン !』
「・・まったく、マリ姉は・・」
俺はそう言うと軽く口元がゆるみ、クスッと笑う。俺ですら、最近の生活で忘れていた自分の誕生日。目にもうっすらと涙が浮かぶ。だが、
『PS・・だけど本当に大丈夫?私、なんだかたっくんに避けられてる感じがするんだけど・・嫌いとかじゃないよね・・明日よかったらその辺のこと、お話できたらいいな』
その文章で一瞬にして現実に戻される。
やっぱりダメだ・・少しとはいえマリ姉と一緒に行動するなんて・・しかも、明日は上納金の日。絶対ダメだ!
・・でも、ちょっと夢見ちゃったな~・・
ありがとう、マリ姉・・
そしてごめんね・・
その手紙を、机に仕舞った・・その瞬間
ドクンッ!!!ドクンッ!!!
なんだ?心臓の鼓動が聞こえたとおもったら、何故か急激に眠気が襲う。
なんだ、こんなに眠いのは初めてだ・・
頭がクラクラする・・
猛烈に眠い・・
まだそんな時間でもないのに・・
ベッドに倒れるという表現がごとく俺はベッドにぶっ倒れた。薄れ行く意識の中でどこかで聞いた声が聞こえる・・
「あちゃー、間に合わなかったか。まー起きてから説明すればいいかw」
この軽薄で軽い口調どこか適当な声は
・・・・・
その後、目を覚ましたとき俺がもう1つの心の支えを目の当たりにする