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経験値横取りにキレた俺は女装で無双する  作者: 白生荼汰
第一章 すみません甘えてました
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コボルトとの死闘

「さて、いよいよ仕上げね。一度くらいは死んでもスザンナがいるから安心して実力を発揮なさいな」


 『惑う深紅』の依頼、鍛練に耐える一月は本日をもって最終日を迎える。


「あの、エリーさん。これっぽっちも安心できないんですが」

「大丈夫よ。スザンナの魔力は実証済みだもの。余程のことがない限りは生き返れるわ」

「お任せください」


 いや、いくら生き返れたとしても、死んだら死にますよね?

 死ぬほどの怪我ってメタくそ痛いですよね?


「いやだあああああああ! 死にたくないぃいいいいいい!」

「わがまま言ってないでぇ、いってらっしゃぁい♪ 骨はぁ、食べられなかったらぁ、拾ってあげるぅ」


 縁起でもないこと言わないで!

 尻込みしていた俺は無慈悲なアリスの手によって、ぽいっとコボルトの集団の前に文字通り放り出された。

 うう、死んだら化けて出てやるからなぁ……。

 いや、化けて出たところで、レイスごとき瞬殺されそう……。


「がぁうっ!」

「ひぃっ!」


 最初に殴りかかってきたコボルトのこん棒をいなし、足を切りつけてその機動力を奪う。


「がうっ!」


 噛みついてきた奴は避けきれなかったが、手甲で牙を防ぎ、横から喉を切り裂いて無力化する。


「まずは1ぃ!」


 あれ、見える。

 戦える!

 噛まれたことでいきなり負傷してしまったが、手も足も出ないということはなさそうだ。


「させるかよ!」


 後ろに回りこもうとした奴の軌道に合わせ剣を振るう。

 致命傷こそ与えられなかったが、傷ついた一匹は距離を取った。


「うぅううぐるるるぅうううううう……」


 警戒の唸りを上げて、3匹のコボルトが攻めあぐねたように威嚇してくる。

 ……一度くらい死んでも大丈夫、か。

 エリーさんは気安く言ってくれたが、いくら大丈夫だといわれても死にたくはない。

 でも、死んでも大丈夫ってことは、枯れ木(仮)はリバイブかリジェネレーションか、いずれにせよ何らかの再生魔法を持っているってことか。

 しかも実証済みとか言ってなかったか……?

 ということは一度はエリーさんの前で使ったってことだ。

 再生魔法が使えるのは、宮廷魔術師や高位神官の中でもほんの一握り。

 そんな人間がはたして暢気に冒険者なんかしていてもいいのか?


「ぼんやりするな! 目の前の敵に集中しろ!」

「はい!」


 野太いアリスの叱咤で我に返り、俺は必死にコボルトに切りつける。

 向こうだってこっちに必死で噛みついてくるから、どんどん無様に傷だらけになり、やがて頭がもうろうとしてきて……それでも、俺は最後まで自分の足で立っていた。

 本当に……本当にギリギリではあったけど、何とか4匹のコボルトを倒しきった。


「お疲れ様、アディ」

「よくやったな! さすがはこの俺の教え子だ!」

「立派でしたよ。今ヒールをかけますね」


 あぁ、もうくたくただ。

 だけど、俺はひとりで戦い抜いたんだ。


「やったぁああああああ!」


 雄たけびを上げた俺のレベルが1上がった。

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