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経験値横取りにキレた俺は女装で無双する  作者: 白生荼汰
第三章 過去が背中を追いかけてくる

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私はアディの恩人なのよ

「27……28……」

「おー、やってんなぁ! 感心感心。どうだ、今朝もいっちょ揉んでやろうか」


 びゅおん! がっきーん!


「っ……お手柔らかにお願いします!」


 び、びっくりした!

 いきなり切りかかってこられたからさ!


 今日も素振りをしている俺に声を掛けてきたのはゾルガだ。

 挨拶代わりになんだろうけど、返事する前から切りかかってくるとかどうなの?

 何とか受けられたから手加減はしてるんだろうけど、それでもさ!


「はっはぁ、しかしイイ男になったじゃねえか。その化粧似合ってるぞ」

「……どうも」


 言われたとおりにポーションも飲んでなければ、【回復(ヒール)】もしていない俺の顔は、一晩明けて腫れこそ収まったものの、痣がどす黒くなって、顔を洗ったときにぼんやり映った水鏡ごしですらおどろおどろしかった。

 キースなんか、起き抜けに俺の顔を見るなり「ひぃっ」って悲鳴上げてたもんな……。

 まだちょっと眠い。

 現状『蜜花の集い』の扱いが保留になっているのと、昨日の騒動の後ではさすがに酷だろうとついてきた連中は免除したため、その分の夜番を埋め合わせる必要があったからだ。

 信用できないやつに夜番を任せないのはわかるけど、奴らがグースカ寝てたのは納得いかない。

 ルファナ商会の奴らを軽く尋問したら『蜜花の集い』は、そもそも『商品』として目をつけられてたらしいから、共犯ではなくて町に着いたら問題なく解放されることになるだろうから、余計にイラっとする。

 まぁ、依頼主に騙されて売られるとこだった上に、共犯の疑い掛けられてる状況には同情するけどさ。


 ひぃひぃ言いながら軽く稽古をつけてもらっているうちに、ガランドン商会とリーコット商会の面々の支度も整い、出発することになった。

 本日、俺たちの馬車に割り振られたのはノーマだ。

 『双轍(そうてつ)』からはアントスが同乗していて、御者台では魔法使いのナイゼルが哨戒を行っている。


「ねえ、なんで誤解を解いてくれないわけ? もしかして私たちのこと逆恨みしてるの?」

「は?」


 おもねるような猫なで声に反応したのは、俺じゃなくてキースだ。

 いや俺もきょとんとはしたんだけど。


「アディは今ちゃんと冒険者としてやっていけてるのよね? それって私が面倒見てあげてたおかげじゃないかな。だったら、恩返しくらいしてくれてもいいんじゃない? 私たちあんな目にあったっていうのに、昨日から水と干し肉と固パンだけなのよ」

「いや、今朝は俺たちも干し肉と固パンだったけど」


 ある程度の移動の時には、干し肉と固パンだけなのが普通だろ。

 昨日の朝討伐したボアはあるけど、さすがに敵襲があって解体をするどころじゃなかったし、朝から解体したくなかったからな。

 大体、共犯の疑いがかかってるのに、食事を出してもらえただけ扱いはいいんじゃないかな。

 それに拘束されてるって言っても、一応気を使ったのか手と足だけだし。


 ……面倒を見た、ねえ。

 確かに駆け出しのノーマが入ってきたばかりの頃は、面倒を見てもらっていたかもしれない。

 俺とガリオンのやることなすことに口出しをしてきて、色々な冒険者のルールみたいなものを教わった。

 今考えると、ちょっとおかしなことを教えられていたのは多々あるけど、ノーマの思い込みだったりで、特に悪意はなかったはずだから、それ自体には感謝しないでもない。

 だけど、それを上回るくらいに押し付けられたり、あれこれ言いつけられたりもしていたし、いいように利用されたし、とどめに追い出されている。

 恩よりも恨みを覚えてもいいくらいなんじゃないか、というのは今だからこそ思えることだ。


「ねえ、私はアディの恩人なのよ」


 妙にねっとりした口調はさておき、なんで俺じゃなくてアントスに主張してんだ?


「……そうか」


 これにはアントスも困惑気味だし、ガラン爺さんとセドリックさんまでなんだかわからない、みたいな顔をしてノーマを注視している。

 こんなに人生経験なありそうな面々を困惑させるなんて、割とすごいことじゃないだろうか。


「レベルが合わなくなってしまったアディの面倒を見てあげられなくなってしまったのは申し訳なかったけど、『暁の星』を脱退したおかげでアントスさんと出会えたんでしょう? だったらアントスさんは私たちに感謝してもいいんじゃないかしら」

「……なんで俺があんたたちに感謝しなきゃならんのだ」


 いや、本当に何を言ってんのかわかんねえよ。

 確かに『暁の星』を脱退しなかったら、俺はここにはいなかったかもしれないけど、何でそれがアントスの感謝に繋がるんだ。


「だって、あなたアディのことを可愛がっているんでしょう?」

「可愛がっているというなら、ゾルガだな。『狼牙(ろうが)』のジャクロウもそれなりに可愛がっているようだが」

「えぇっ!?」


 ノーマが思いっきり悲鳴みたいな声を上げた。


「アディ、あなたそんなビッチになっちゃったの!? それとも弄ばれているの!?」


 おいこらちょっと待て。

 いったいどういう勘違いだ!

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