表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
経験値横取りにキレた俺は女装で無双する  作者: 白生荼汰
第三章 過去が背中を追いかけてくる

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/73

とらえられた蜜花の集い

 ぼっこぼこにされたんだろう、身なりの汚らしい男たちがぐるぐるに縛られたり、網を掛けられて転がされている。

 特に縛られている様子もないけど、芋虫みたいにじたばたしている奴は何か拘束魔法を掛けられているのかもしれない。

 あとは、ぴくぴく痙攣してるやつ、口をぱっかり開けてだらしなく舌を垂らし、白目を剥いてるやつ……うわぁ、人間の舌ってあんなに長く伸びるんだな。

 凄惨な光景にドン引きしてた俺は、まだ騒いでいる集団に目を向けた。


「おい、どけ! この女どもがどうなってもいいのか!」

「うーん……別にどうなってもいいんだけどねぇ……」


 血走った眼で抱え込んだ女にナイフを向けている男に、長い水色の髪をした神官がのんびりと答えた。


「頼みの綱の仲間たちは壊滅、それで足手まといの女性たちを抱えて、どこに逃げる気か知らないけど、それで君たち逃げ切れるつもりかい?」

「うるせぇ! ぶっころすぞ!」


 わめいているのは、ルファナ商会兄弟のナヨナヨした方だ。

 そんで、捕まってるのはロージィ。

 何で冒険者が商人に盾にされてるんだよ……。

 髭面の兄貴の方は、ノーマを抱えている。

 カスハ、リディもそれぞれならず者っぽいのに抱えられていた。

 えぇ……そっち……ルファナ商会なんて、どう見ても頼りなさそうなコネ頼りの商会にしか見えなかったのに、そっち側の連中だったのか……。

 ならず者には舐められそうな面々だと思ったのになぁ……。


「この女どもは、てめえらの昔の仲間なんだろ? 天下の『双轍(そうてつ)』様が昔の女を見捨てたって知られたら、どうなるだろうなぁ」


 いや、ほんとにどうなるんだ。

 冒険者的な基準から言うと、任務のために昔のパーティメンバーを切ることになったって、あーそりゃ大変だったね、ぐらいなもんなんだけど、何だって盾になると信じてるんだろう。

 そしてすっごい誤解が生じている気がする。

 ひょっとして俺のことを『双轍(そうてつ)』のメンバーだと思い込んで、その流れで『蜜花の集い』もメンバーだったって話に飛躍したんだろうか。

 どこをどう捻じ曲げたらそんな話になった?

 『双轍(そうてつ)』の面々もわけのわからない話を持ちだされて、困った様子で顔を見合わせている。


「え、誰か付き合った女でもいるの?」

「いや……俺じゃない」

「どれも好みじゃないなぁ……」


 漏れ聞こえる会話に、ノーマが傷ついた顔をしている。

 自分じゃないことを主張するためか『年増』『露出が激しい』『甲高い声が五月蠅い』などと、どう考えても悪口も飛び交っている。

 ……ひどい。

 全部本当のことではあるけど、聞こえるようにいうのは『蜜花の集い』の連中がかわいそうじゃないか。

 一応連中、顔はいいし、それなりに腕もあるんだぞ。

 今は商会のひょろっとしたのにすら捕まってるけど!


「ごちゃごちゃ言ってんじゃねえぞ。俺たちは本気だからな」


 無視された形になってイラ付いたのか弟の方が、ぐいっとロージィを持ち上げて、ナイフの刃を顔に押し付けた。


「いたっ……」


 あ、切れた。

 血が出てる。

 女の子相手にひでぇことをしやがるな。


「このまま邪魔するようなら、この女ども二目とみられない面になると思え!」


 すっかり雰囲気は白けているし、状況的に『双轍(そうてつ)』の面々は『蜜花の集い』のメンバーを何とも思っていないことはわかると思うんだけど、いったん始めたことを押し通さずにはいられないのか、がなるがなる。

 しかし、なんで彼女たちは捕まったまま大人しくしてるんだ?


「助けて! おかしな魔道具をつけられていて力が出ないの! アディ、いるんでしょ! アディ! アディは昔私たちの仲間だったの! アディを呼んで!」


 急に名前を呼ばれて、咄嗟に身を隠す。

 なるほど、魔道具を使って捕まえられたのか。

 叫んだのはノーマだったけど、何のために俺に助けを求めたんだろう?

 俺よりもずっと『双轍(そうてつ)』の面々の方が頼りになるはずで、わざわざ俺の名前を呼ぶ意味が分からない。

 下手に動いたら、それこそ邪魔になりそうで困ったな。

 迷っていると、足元に小石が飛んできた。


「おい、アディってお前だろ? ちょっとこっち来い。静かに連中には気づかれねえようにな」


 手招きしているのは『狼牙(ろうが)』のジャクロウだ。

 この状況で一体何の用なんだろう。

 俺はごくりと唾を飲み込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ