表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
経験値横取りにキレた俺は女装で無双する  作者: 白生荼汰
第三章 過去が背中を追いかけてくる

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/73

めっちゃ塩対応

 今回の移動は3つの商会が同行することになっている。

 王都と大きな商業都市間を結ぶ街道ということで、あまり強い魔獣は出ないのだが、その分、野盗が出没するからだ。

 なので、小規模の商会ふたつがガランティード老が経営するガランドン商会へ帯同する。

 ガランドン商会は、現在ガランティード老の娘婿が経営を譲られた大商会ガランティード商会から分離してできた小さな商会だが、もちろん大商人ガランティード老の威光は健在。小さい商会ならではの小回りの利く商売で、商業ギルドでの発言力は、ともすればガランティード商会をしのぐほどなんだとか。

 以上は全部キースに聞いた話。

 俺にしてみたら、へぇー、って感じだ。

 キースは今のところ一職人に過ぎないが、ガランティードさんには可愛がられていて、独自に護衛を雇えるのであれば構わない、と同行を許してもらったのだそう。

 同じように同行するふたつの商会も、ただガランドン商会にただ乗りするのではなく、それぞれに護衛を雇うのであれば、一緒に移動をするのは構いませんよ、というスタンスだそうだ。

 それで、そのふたつの商会を護衛するパーティとも、当日の朝に挨拶をすることになったのだけど……。


「まさかとは思ったんだけど、あなたひょっとしてアディじゃない?」

「え?」

「やっぱりそうだ。すっかり見違えちゃったわね。元気にしてた?」


 親し気に話しかけてきたのは、かつて『暁の星』でパーティメンバーだったカスハだ。その後ろには、ノーマとロージィ、リディの姿もある。


「あ、あ……久しぶり」


 まるで俺を追い出したことなんかなかったかのように親し気に話しかけてこられて困惑する。

 そういえばカスハたちもあの後『暁の星』を抜けたんだっけ?


「あの後色々あってね、私たちも『暁の星』を抜けて女の子だけでパーティを作ったのよ。『蜜花の集い』っていうの。ノーマとロージィとリディも一緒よ。懐かしいでしょ? あ、リーダーは私なの」


 それってそのまま俺がいた頃の『暁の星』からガリオンを抜いただけじゃないか。

 リディはついこの間『暁の星』を抜けたばかりのはずなのに、もうカスハたちと合流してたのか。

 一体どうなっているんだろう。


「そっか、カスハたちも護衛依頼を受けているんだ」


 当たり障りのない返事をすると、カスハはニコニコとして言った。


「まさかアディが『双轍』に入れてもらっているなんてね。よかったじゃない」


 何か変な勘違いをされている。

 確かに事前に挨拶をしたアントスとさっきまで話をしていたけれど。


「違うよ。俺は『双轍』のメンバーじゃない」

「え、じゃあ……」


 カスハがちらりと、この場にいるもう一人の男の顔を見る。

 こちらはリーコット商会が雇ったパーティ『狼牙(ろうが)』のリーダーのジャクロウだ。いかにもすれっからした冒険者と言った中年の男で、正直ならず者なのか冒険者なのか判別に困るような風体をしている。

 その後ろにいる『狼牙(ろうが)』のパーティメンバーなんだろう2人も似たり寄ったりだ。

 個別に依頼を受ける冒険者だから、こういうタイプもしょっちゅう見かけはするけど、今までにはあまり関わったことがない。


「何だぁ、兄ちゃん。女みてえな顔してやることはやってたクチか」


 シシシ、と笑う口元から汚れた黄色い歯が見えた。

 うわっ、歯の隙間に何か詰まってたよ。

 気にならないのかな。


「なぁ、姉ちゃん。こんなガキが相手で満足したかぁ? 今夜は俺が本物の男って奴を教えてやるぜ」

「よせ、ジャクロウ」

「なんだよ、ちょっとした冗談だろ。まぁ姉ちゃんが俺らのとこに来るなら歓迎するけどな」


 ジャクロウはいやらしい目つきを隠そうともせずにジロジロと上から下までカスハを眺め回した。

 すげえな。目つきで犯されるって奴、初めて間近で見たわ。

 こんな気持ちの悪い顔つきしてるのか。

 下心が隠しきれずに『アディちゃん』に近づいてくるやつも大概だな、って思ってたけど、ここまで下卑た顔つきの奴には遭遇してこなかったわ。

 かつて『アディちゃん』に付きまとっていた奴も、いつかはこんな風に進化するのかな。

 一応の注意をしたアントスは不本意そうな表情でカスハに目礼をする。

 カスハは苦笑いをして、アントスの方に向き直った。


「初めまして。『蜜花の集い』リーダー、D級冒険者で踊り子のカスハです」

「踊り子!」


 ひゅう、とジャクロウが吹けていない口笛を鳴らした。


「なら、夜の方はお楽しみだな。どうりでいい腰付きをしてやがる」


 言うだけ無駄だと思ったのか、アントスはジャクロウを無視して短く「よろしく頼む」と答えた。

 え、それだけ?


「一応の顔は合わせたが、今回は合同任務というわけでもない。お互いにお互いの領分を侵すことないよう、個々にしっかり励むとしよう」


 アントスの口振りは踏み込んでくることを許さない、と言わんばかりにいささか冷たくすら聞こえた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ