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経験値横取りにキレた俺は女装で無双する  作者: 白生荼汰
第二章 普通の男の子に戻ります! 戻してください!

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本当に復讐したいやつ

「ガリオン……!?」


 思わず声に出してしまって、慌てて自分の口をふさいで物陰に隠れた。

 距離もあったし、聞こえたわけはないんだけど。


 ……って、別にやましいこともないのに、なんで俺は隠れてるんだ。

 

 ガリオンはどうやらリディと言い争っているようだった。

 ガシガシと頭を掻くのはあいつがイラついている時の癖だ。

 リディの身振り手振りもだんだんと大きくなっていく。


「……っ! 女のくせに生意気なんだよ!」


 ガリオンが大きな声で叫んだせいで、それだけははっきり聞こえてきた。

 リディが何かを投げ捨てるような動作をして、それからガリオンに何かを投げつけ、くるりと踵を返してこちらに来る。


 あ、やべえ。見つかる。


 俺は咄嗟に取り出したマントをかぶり、顔を見られないように俯いた。

 リディは憤然とした様子で、足音も荒く俺の前を通り過ぎていく。

 取り残されたガリオンは、リディに投げつけられたものを地面にたたきつけ、それからわーっと頭を掻きむしってしゃがみ込んだ。


 俺が脱退してすぐに、あいつらが全体のレベルアップのためスターカから別の町へと拠点を移したのは知っていた。

 でも、あいつらがレベルを上げるのには、ここコルネッタはあまりにも向いていない。


 コルネッタは、一撃の攻撃力が大きい者を中心としている一強型か、もしくは支援職中心のパーティ向けの地域だ。

 俺みたいにソロで底力を上げよう、みたいな目的がなければ、ひたすらに儲けが薄いばかりとなる。

 間違っても『暁の星』みたいな、手数の多さで戦うようなパーティだと実入りが少なすぎるのだ。


 我先に攻撃したがる奴ばかりのパーティじゃ、あっという間に素材はぼろぼろ。防御力の高い敵相手では削るようにしか倒せず、素早い敵相手に軽傷を負わされてばかりでは、ポーション代もばかにならないし、軽傷にも回復(ヒール)を掛け続けられるような、魔力オバケはそうはいない。かといって特出して【VIT】に優れたヤツもいなかったから、集中してヘイトを集めるという作戦も取れないだろう。

 それとも、俺が抜けた後に、そのあたりを埋められる人材が加入したんだろうか。


「いったい、あいつらに何があったんだ?」


 気にはなるけど、話しかけたくない。

 一応話し合って脱退はしたものの、正直奴らにはどうしようもないわだかまりが残ってるんだよ。

 顔を合わせたらどうしたって責めたくなる。

 なぁ、俺も甘かったかもしれないけど、お前たちももう少し俺に気遣ったって良かったんじゃないのか、と。


 スターカの町で、イーサンやその他の連中からは、俺が納得できるくらい毟ってやった。

 だけど、俺が本当に復讐したかった相手は誰だ?

 一番俺を適当に扱い続けて、挙句、軽く捨てやがったのはどこのどいつだ。

 ガキの頃から、重たい物や隠したい物を持たせるのに利用し、便利な従者扱いをしてくれたのは、誰だ。

 ずっと一緒にやってきたのに、紙くずみたいに切り捨てやがったのは誰だ。


 あぁ、俺が一番ムカついてる相手はイーサンなんかじゃない。

 ガリオン、貴様だ。


「俺、インベントリ持ちでよかったよ」


 おかげで普段は使わない装備を保持しておけるし、それらを取り出すのだって一瞬だ。


 あの頃の俺には自信がなかった。

 足手まといの俺が切り捨てられるのは当然だと諦めてしまえた。

 だけど、本当は、あいつらのことを責めたかったんじゃないのか。


 俺が『暁の星』を脱退してから、約半年。

 半年の間に『暁の星』で一番レベルが高かったカスハと同じ、レベル34にまでレベルを上げた。

 別に活動している間に、あいつらだってレベルを上げてはいるだろうけど、ロージィのレベルは確か24だった。

 俺はこの半年でレベルを20上げたけど、女性陣が多く、誰かひとりを優先して育ててもらえるわけでもない『暁の星』で、10もレベルを上げられたとは思えない。

 いばれた話じゃないけど、ついこの間まで『アディちゃん』は、鼻の下を伸ばした男どものおかげで、お姫様みたいに大事にしてもらってレベルを上げられたからな。

 レベルだけを上げたわけじゃなく、ソロ活動で自分なりの戦い方も覚えた。

 攻撃手段も増えたし、場数も踏んだ今なら、みすみす経験値を横取りさせない自信だって付いたさ。


 俺はいつもの鬘をかぶってから、スザンナ特製コンパクトを取り出すと、中央の魔石を叩いた。

 まずは『アディちゃん』として連中に近づき、情報収集をしよう。

 それから、じっくりじわじわと復讐をしてくれる。


 んなぁあはっはっはっはっはっはっは……。


 見てろよ。俺はもう、お前たちと袂を分かった頃の俺じゃない!

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