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005 殺人狂の侵略者

「子ども達に酷いことをするのはやめてくださいッ‼」


 ブルーナが声をあげ、バイクから飛び降りた。

 足を怪我しているというのに、ヴィラに向かって走り出しそうなブルーナの腕を引いて引き留める。 


「不用意にヴィラに近づこうとするなッ‼ 殺されるぞッ‼」

「で、でも……あの子達が……ッ‼」

「俺がヴィラを止めるッ‼ 子ども達は俺が守る‼ だから、ここで待っているんだ‼」


 俺は一気にアクセルを踏み込んだ。


「虐待はやめろ、ヴィラ‼」

「ふ――」


 ヴィラが口角が上がり、瞳が光る。

 次の瞬間――バイクが赤く発光した。


「ちっ」


 俺は舌打ちしてバイクから飛び降りる。


 どぉぉぉぉん


「危なかったな」


 煙を吸わないように俺は袖で口を覆う。


「出会いがしらにバイクをぶっ壊すとは……やってくれたな。高くつくぞ」

「ふふふ……。戦場でそのような冗談を言えるとは。仕返しと弁償で高くつくですか。さすがは最強と呼ばれるレンジャーなだけはありますね。少し、クスッときました」


 ヴィラは満足そうに笑うとガラス張りの球体から、ふわりと飛び降りる。


「まずは挨拶と――」

「まずは電流を切れ。子どもを苦しめるな」

「ふぅ……。女性の言葉を遮るようなせっかちはモテませんよ」


 ヴィラはやれやれと首を振るとパチンと指で音を鳴らす。

 ガラス張りの球体の電流は止まり、感電した子ども達がぐったりと横たわる。


「では改めて挨拶としましょう。わたくしは誰であろうと礼儀を大切としています。わたくしはオメガルドの統治者、名前はヴィラ。お久しぶりですね、『月』以来の顔合わせでしょうか?」

「……」

「新開発のガルロイドが数多く破壊されたと報告を受けていましたが、やはり貴方でしたか。レンジャーでこのようなことが出来るのは貴方くらいです」

「ガルロイド? あの殺人以外役に立たないガラクタ機械(マシン)か」

「ふふ、そうですね。ガラクタです。今後、もっと殺せるように改良を重ねていきましょう」


 俺は忌々し気に顔を歪める。

 やはりこいつは――俺の敵だ。


「ふふ……。貴方のようにわたくしに剣を向けたレンジャーはすべて散っていきました。文字通り、花火のように、です。わたくしの娯楽に命を消費してくださるレンジャーには、感謝が尽きません」

「娯楽に溺れすぎだ」

「娯楽に溺れる……良きことではありませんか。そして、もう一つの娯楽が今から生まれます。目を凝らして、見てなさい。最強のレンジャー」


 煙が晴れ、視界が明るくなる。

 何故かヴィラはガラス張りの球体を指さし、俺は視線を動かす。


「ブルーナ‼ 何をしているッ⁉」

「実に勇敢なお姫様ですね。自分の危険を顧みず、子どもを助けようとする。娯楽ではありませんか?」


 ブルーナは足を怪我していた。逃げるのすら難しいほどにだ。

 それこそ俺が救助に来なければ殺されていたほどの怪我である。

 

「あ、開かないッ‼ どうすれば‼」

 

 ブルーナは正義感の強い子だ。

 子どもの危機は見過ごせなかったのだ。


 助けて、お姉ちゃん‼

 うわああああ、怖いよー‼


 ブルーナは拾った石で何とかガラス張りの球体を割ろうとするが、相当な強度を誇っているせいでヒビすら入らない。

 そして、その光景を見てヴィラは笑う。


「実に感動的な光景です。涙無しでは見られません。――ですか、物足りません。この光景をわたくしが満足出来る娯楽へと変えましょう」

「やめろ、ヴィラ‼」


 パチンと指を鳴らす。


 どおぉぉぉぉぉん


 無慈悲な爆発音が森中を駆け巡った。

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