001 侵略された惑星
「俺の名はアラト。君を助けるために宇宙から来た救助隊だ」
広大な宇宙に存在する数多の星。
その中に存在する惑星『ギャール』は未曾有の危機に瀕していた。
ここはその惑星『ギャール』にある王国の王室である。
その中心に上品な装飾が施されたドレスを着た女の子が全身から血を流して倒れていた。
間一髪の状況で天井を突き破って、俺は駆けつけれた。もし、1秒でも駆けつけるのが遅ければ、女の子は死んでいた。
「全身傷まみれだ。特に足からの出血が酷い」
「うっ……うわぁぁぁぁ……うぐっ……」
「泣くな。俺が抱えていく。君は絶対に助ける、姫様」
「うわぁあぁぁあぁぁあぁ……」
俺が抱きかかえると、女の子は安心したと同時に今までの恐怖が涙となって溢れ出し、か細い声で叫びんだ。
「こんな状況でずっと1人だったんだ。怖かったよな」
周囲を見渡せば、彼女を守るために戦ったであろう兵士達の亡骸が転がっていた。心臓を貫通された亡骸、首から上を喪失した亡骸、切り刻まれ肉塊と化した亡骸……
兵士の防衛も敵わず、腕の中で泣いている姫様の両親であったであろう者達の亡骸も無残に転がっていた。
文字通りの地獄が、ここには広がっている。
「随分と好き放題やったみたいだな。殺人以外、役に立たない出来の坊共め」
惑星『ギャール』の中世な世界観には似合わない黒く塗装された機械を睨む。
『敵対勢力レンジャーを確認』『敵対勢力レンジャーを確認』『敵対勢力レンジャーを確認』
『抹消します』『抹消します』『抹消します』
「敵が多い。しかし、強行突破は可能だ」
ここは王宮のど真ん中に位置する王室。建物内とはいえ、広い。
救助者の姫を両腕に抱えながらも窓から飛び出せば逃げられる。
『ターゲットロックオン』『ターゲットロックオン』『ターゲットロックオン』
『発射します』『発射します』『発射します』
――キランッ
俺達を包囲する黒い機械達の目が赤く光る。
「しっかり捕まってろよッ‼レーザーが来るぞッ‼」
「…え?」
俺達を囲んでいた機械達の目からレーザーが発射される。
四方八方から飛び交い、このままでは貫かれるが――俺は駆け出し、両足で床を蹴った。
バリィィィィィンッ‼
機械達を飛び越え、窓を突き破る。
俺がこんな手段に打って出るとは思っていなかったのだろう。姫はギョッと目を開いた。
「お、落ちます‼」
「大丈夫だ。起動ッ‼CODE819ッ‼」
地面に叩きつけられる寸前、どこからともなく鋼鉄の二輪車が生成され、俺は飛び乗った。
「こんな乗り物、初めて見ました…」
「これはファスロイドと言って、俺の故郷ではバイクとも言われていた――まあ、この話は今するべきではないな。少しキツい体勢になると思うが、俺の腰に手をまわして、しっかり捕まってくれ」
「は、はい…失礼します」
女の子は恐怖が抜けきっていない震えた手で腰に手を伸ばそうとした時だった――
「あっ――」
「危ないッ‼落ちるぞッ‼」
風圧で振り落とされそうになった女の子の手を掴むと、腰に手を回して、グイッと引っ張り、胸元に寄せた。
「姫様抱っこの状態からバイクの後ろに乗れなんて無茶なことを言ってわるかった。女の子に無理をさせるべきではなかった」
「あ、あの……顔が……近いです……」
女の子は酷く赤面すると俺から顔を逸らす。
「次は、俺がしっかり君の身体を支えておく。だから、ゆっくりと慎重に後ろに移動するんだ。この乗り物は本来、1人乗りだからな。2人だと、どうしてもバランスが悪くなる」
「あ、ありがとうございます。なんとか……」
「よし、よく出来た。これで俺も運転に集中できる。ありがとう」
俺は片手でハンドルを握り、もう片方の手で女の子の頭をなでる。
フワッとした質感の蒼い髪。触っていて、不思議と心地が良い。
「———ッ‼」
女の子の身体がビクッと震える。
「そ、その……あ、あんまり……触らないでください……。は、恥ずかしいです……」
「恥ずかしかったか?君は多分、俺より年下だと思っていたが……褒め方が子ども過ぎたようだ。申し訳ない、謝罪する」
「だ、だ、大丈夫ですから……。あんまり顔を見ないでください……」
茹で上がるくらいに顔を真っ赤にした女の子は、隠れるように俺の背中に顔を埋めた。
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表紙描いてたんですがヘタクソなので消しました。絵の練習してきます
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