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《聖女育成ーー暁の帝国の黄昏》


あのゲーム、妹に無理矢理やらされた乙女ゲーム!


『アハハ、暁なのに黄昏てるの〜?変なタイトル〜』


『そこは拘らなくていいから!お姉ちゃん育成ゲームは好きよね?コレ前半はステータス上げるための修行が多くて。ステータスがある程度高くないと攻略者の好感度上がりにくいし、RPG要素もあってラスボスを倒せないと好感度最高でもハッピーエンドにならないのよう』


『へー』


『わたしはコツコツ上げる系のはキライなのよ』


『知ってる』


『お願い、前半のステータス上げ手伝って』


『見返りは?』


『クリア後にホテルニュービレッジでフランス料理ディナーで、どう?』


『乗った!』


という事でわたしは妹の乙女ゲームを手伝う事になったのだが


『ちょっとお姉ちゃん、何してくれてるのよ?攻略者達の好感度が軒並み下がってるじゃないの!』


前半がステータス上げの修行がメインとは言え、元々は乙女ゲームである。修行の合間にたまにはイベントという物がある。どうやらそこの選択肢を間違えていたらしい。


『え?だってここの答えはAじゃあまりにも普通すぎでしょ?何か裏があるんじゃない?だからあえてBを選択してみたけど』


『コレ乙女ゲームだから、推理物とかじゃないから!裏とか深読みとかしなくていいの!犯人いないから!』


『……これ、殴るとか、蹴りを入れるって選択肢は?』


『ありません!』


『……合わない…。とことん乙女ゲームとは合わない……このむず痒いセリフ、裸足で逃げたい……』



わたしにとってかなりの苦行の日々だった。

とりあえずステータスを九割ぐらい上げたところで妹にバトンタッチした。


『予想以上に高いステータスと予想外に低い好感度……如何してくれよう……』


『クリア頑張れ、ホテルディナー楽しみにしてるね!』


妹の呟きは聞こえ無かった事にした。


それから一月後、妹から全クリのお祝いディナーのお誘いが来た。


『結構時間掛かったねぇ』


『ええ、誰かさんが好感度下げてくれたおかげで』


『………』


『でも、おかげでラスボスは楽勝だったわ』


その日の食事はとても美味しかった。奢りのご飯は格別だなぁ。食事中の会話にはいささか辟易したけど。ほとんどゲームの事ばかりだったので。


別れ際に妹から一冊の本を渡された。


『あのゲームの小説。お姉ちゃんも続きは気になるでしょ?』


わたしはありがたく貰って家に帰って早速読んだ。

ゲームの時から思ってたけどヒロインも攻略者も好きになれなかった。

ヒロイン(プレイヤー)のためのゲームなのだから仕方ないのだろうけど、あまりにも周囲の反応がヒロインに甘すぎる。

最後まで読んだがやっぱりヒロインが優遇され過ぎている。

反対に悪役令嬢のエレンティア・アレイスターが、不憫すぎる。

巻末にあったエレンティアのショートストーリーが、また涙を誘った。

あくまでヒロインの敵役という位置付けなんだろうけど、この子ばっかり酷い目にあってる。


エレンティアは建国の王の妹が王籍を抜けて興した公爵家の娘だった。

フレイデア王国でも特別な公爵家アレイスター。

代々当主は女性であり、エレンティアは次期女公爵。

エレンティアの母の前公爵はエレンティアの出産時に亡くなっているため、現在は父親のアンソニーが当主代行となっている。

エレンティアは父親に愛されず、孤独な少女時代を過ごす。

十三歳で第二王子と婚約し学院に入学する。婚約者となった第二王子、レイナルドとはそこそこ仲が良く、今まで放置気味にされていたエレンティアにとっては一番幸せな日々だった。

しかしそんな穏やかな日は僅か三年で終わる。

異世界から勇者と聖女が召還されたのだ。

勇者と聖女は一年、魔王討伐のために学院に通い訓練をしつつ、旅の同行者となる攻略者達の好感度を上げる。その中には勿論婚約者のレイナルドも含まれている。


一緒に旅をするのは聖女が好感度を上げた攻略者達と悪役令嬢のエレンティア、そしてサポートキャラのキャロル。

キャロルはエレンティアの異母妹という設定。妹だが、キャロルが味方するのはヒロインである聖女。

旅のメンバーは勇者と聖女の攻略者とキャロル。エレンティアにとっては過酷な旅だった。魔王側に落ちてもしようがないんじゃないだろうか。

思いだしたら腹が立ってきた。

理不尽すぎるよ!エレンティア可哀そう。


色々思い出したけど一番肝心な事はわたしがエレンティアの母親だという事。

わたし、今まさに陣痛の最中なんだけど?

死ぬの?エレンティア産んだ後に⁉︎


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