テッドのレベル上げ
完結作品目当ての方、申し訳ありません。この作品はまだ続きます。
やっと戻し方が分かったので連載中に戻させて頂きます。
テッドのレベル上げの為に、山の麓まで来た。シーナさんがオークを麻痺させて、テッドが巨大な雷を落とした。
いや、こういう方法なら確かにレベルは上がるだろうけど…。まあ、私は人の事言えないか。従魔のみんなの経験値シェアのお陰で近場の魔物に対応できるようになって、ダンジョンのお陰で安全にレベルが上がった。
いきなり強い魔物と戦うっていうのがそもそも無理なんだよね。
「やった!レベル10!」
「おめでとう、テッド。でも、補助されてしか倒せないのはダメよ。イメージは悪くないんだから、もっと素早く発動して。まあ、魔法が当たるようになったのは進歩だけど」
「命中スキルも手に入れたし、俺、頑張るよ!」
「では、これから剣の修行もしましょうか」
今まで黙って見ていたレイシアさんが近づいてくる。
「ユーリさんもどうぞ」
「へ?私?」
いや、レイシアさんとの戦いは学ぶ所も多いから、願ってもないけど。でも、同時になんて…。
剣を変えて、テッドと同時に向かっていく。
やっぱり、私とテッドでは手加減の仕方が違う。凄いなぁ。レイシアさん。
よし!私も!ここなら思いっきりやれるし!
立体機動…ううん、それよりきっと上位スキルだ。やっと本気出してきた?レイシアさん。
いつの間にかテッドが抜けて、一対一の訓練だ。その方がいい。ここに下手に入ったら怪我させちゃう。
双剣でも、つい利き手で攻撃してしまう癖が抜けていないのを読まれ、攻撃が集中する。
「あっ…」
剣が折れてしまった。木剣とはいえ、それなりの硬さがあったのに。
「なかなか良い戦いでした。剣が折れていなかったら、私が負けていたかもしれませんね」
「そんな事全然ないです!私は身体強化だって使ってましたし」
「私も使ってましたよ?全力でやらないと楽しくないですから」
「レイシアは、相変わらずだなぁ。ユーリちゃんもさすがね!レイシアは、個人ではAランクなのよ?」
「…うわあ」
敵わない訳だ。竜人族は人族よりも身体能力が高いらしいし。
何にせよ、直すべき箇所が見つかった。スキルで剣捌きは出来ているつもりでも、私の剣は完全に自己流だから、いつか道場とか通った方がいいかもしれない。
テッドの剣捌きは、魔法に比べるとまだまだだけど、町付近の魔物になら負けないレベルだ。
誰かに習っているのかもしれない。基本が出来ているから、レベルさえ上がればそこそこ戦えるんじゃないかな。
エメルは、盾は完璧に使いこなしているけど、剣の扱いは全然だ。
これはまあ、仕方ないかな。覚えようと頑張っているみたいだけど、しまいには盾で力づくで攻撃してる。
ムーンが教えようとしてるけど、ムーンも短剣は扱いづらいみたいだ。
「モコが教えてあげたら?杖主体でも、接近戦には短剣使っているでしょ?」
「あんまり接近戦にならないから、ボクも短剣は下手だよ?」
「後衛でも、後ろから魔物が来る場合があるんだから」
「そうだね。練習してみる。手先の獣化で爪攻撃に頼っていたらダメだよね」
獣化というより、戻しているだけなので、モコ的には問題ないけど、扱えた方がいいに決まっている。
「ユーリ、さっきオークの血抜きに使っていた魔法教えてくれよ」
「血を水って考えるんだよ。てか前にも教えたよね?」
「だって魔物を倒す許可が出てなかったんだから、実戦なんて出来ないし」
「ゴブリンはよかったんだから、ゴブリンでやってみればよかったのに」
「臭いからやだよ」
「見てるから、やってみたら?」
剣で首を落としたら、テッドが引いていた。
「何?首を落とさないと血抜き出来ないよ?」
「…俺、あんまりグロ耐性ないんだよ」
「お坊っちゃまだね。でも、そんなんじゃこれから先、冒険者としてやっていけないよ?」
「うるせー。そのうち慣れるさ。流水…リキッドコントロールか」
流水操作よりは魔法名な感じがするな。
「うっ…かなりの量出るのな」
情けないなぁ。ま、六歳の子供としては普通の反応かもしれないけど。
風魔法で臭いを散らして、ピュアで綺麗にする。聖魔法はなるべく使わないと。
本体を収納庫に入れて、臭いにつられてやってきた双尾鳥を、ナイフを投げて仕留めた。
「いや、そこは魔法を使う所だろう」
「まあ、投擲の練習にもなるし」
森ではあんまり見かけないけど、旨味があって美味しい鳥なんだよね。
「投擲か。簡単に取れる?」
「てか、投擲と命中はセットのスキルだと思ってたよ。石投げて取れるスキルだから、テッドも興味あるなら取ったら?」
「あとでゴブリンとかを相手に取るよ。さすがにこの辺の魔物相手に投石はちょっと」
テッドはまた、シーナさんの所に行ってレベル上げに励むようだ。
暇になった私は、さっきの双尾鳥を取り出して、下処理をしてしまう事にした。
たらいに湯を張って、羽根を毟る。綺麗になったところで一口大に切って、下味をつける。
串に差して焼いていたら、みんな集まってきたので、結界石で周りを囲ってお昼ご飯にした。
簡単な焼き鳥だけど、ピクニックみたいで美味しく感じた。
テッドがおにぎりを要求してきたけど、シーナさんがサンドイッチを作ってきたので、それと交換にした。
「美味しいです!マヨネーズは自作ですか?」
「テッドに教わったのよ。自分では料理なんてしないくせに、作り方はやけに詳しいのよね」
マヨネーズと聞いてモコもサンドイッチに手を出した。
「ユーリの作るマヨネーズの方が美味しいや」
「こら、モコ!失礼な事言わないの!てか、大した違いはないよ?」
「マヨラーのボクの好みはうるさいの」
「マヨラー?」
「マヨネーズが大好きな人をそう呼ぶんです」
「そうなの。マヨネーズは王都にも売っていたわ。機会があったら食べ比べてみたら?」
「その時は、お好み焼きで食べたいな」
モコの場合、その上に乗ってるカシオブツもお目当てなんだよね。
「いいな。そういえばお好み焼きも食べてなかったな」
「じゃあ、その作り方も訊かないとね」
「俺、お好み焼きなら作れるよ。本当はモダン焼きが好きなんだけど、焼きそばの麺があったらな…」
「うちはもっぱらぶた玉だね」
「豚じゃなくてオークだろ?」
「いいの。そういう料理名なんだから」
そろそろ焼けたみたいだ。
「ちょっと待って」
串に手を伸ばす前に、醤油を振りかける。
「んん~!」
最っ高!
「う、うめー!しかも醤油とか。最高かよ」
そろそろ苗も育つし、帰るんだけど…亜空間、いつ話そうかな?




