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色々やばい事態?

ミスリルで出来た大剣に、重量増加と自動修復、斬撃強化とクリーン、そして鑑定阻害の付与を付けた。

春近くなってやっと出来たそれを、ムーンに渡す。

本当はチャチャのガントレットも作ってあげたかったけど、無理そうかな。

錬成は魔力はかかるけど、綺麗に出来るようになった。銀に魔力を込めるよりも効率はいいけど、鉱石の採掘率が悪くて、全く出ない日もあったので、そういう時は魔道具を作ったり、銀からミスリルを作り出していた。


今回は夏に一度帰省するつもりなので、稲の苗も育てている。

雑草は生えるだろうけど、仕方ない。


生えていればいいかな?位の気持ちで、夏野菜の種も蒔いておく。

アスパラは二年物だから、まだまだ細い。


銀の採掘もかねて、アオさんの所にも行った。町の話をたくさんしたら、少し寂しそうだった。コーベットからならそう何日もかからずに来られるのに、どうして冒険者は来ないんだろう?ダンジョンもあるのに。

タケマツは結局あれ以来見かけない。それでも諦められなくて通ったお陰で、収納庫の中は出汁の素やフリーズドライのスープの素でいっぱいだ。

アオさんにもお裾分けして、帰りにまたたくさんの果物を貰った。


田植えもして、モコが好きなピザもたくさん焼いた。多めにベーコンもハムも作ったし、出掛ける準備は整った。


よし!コーベットに向けて出発だ。


魔物の生息地も変わってないので、ミノタウロスも仕入れた。

宿の食事よりもみんな私の作る料理の方が好きなので、なるべく作るようにしている。


(テッド、久しぶり。戻ったよ。念話覚えた?)

うん。何も聞こえないって事は、まだなんだね。

(ちっ、うるせーのが戻ってきた)

?!あれ…

(テッド!念話覚えたの?)

(ええっ?…うわ。マジだ)

(ふーん。うるせーの、ね。せっかくテッドが泣いて喜ぶお土産持って来たのに、そんな事言うならあげなーい)


(はあ?泣いて喜ぶとかねーし!)

(コーベットにもリロルにも米ってなかったよねー?)

(!な…まさか!)

(ふふん。どうしようかなー?)

(い、意地悪言うなよ!)

(はいはい。自生してた位だから、ここでも作れるんじゃないかな?)

(!ほ、本当か?!)

(午後にはなると思うけど、楽しみに待っててよ)

(は、はやく食わせろ!)


(まだ山の中だから、時間かかるってば)

(結構な距離届くんだな)

(冬の間は何も聞こえなかった?)

(ああ)

(じゃあ、今度帰る時に実験してみよう)


山から降りて、ウオーターバッファローが群れていたので、ギルドに引き取ってもらう分も含めて狩った。

ウオーターバッファローの肉は、割といい値段で売れる。それよりもミノタウロスの方が高いけど、売った事はない。

収納庫があるから悪くならないし、美味しい肉は確保しておきたいよね。

脂身の少ないオージー・ビーフみたいだけど、ミノタウロスとはまた違った美味しさがあるから、私は結構好き。


町に入ると、門の所でテッドが待ち構えていた。

「遅いぞ!ユーリ」

これでもムーンに乗って透明の魔法を使って時間短縮したんだけどな。

「ギルドに行ってからじゃだめ?」

「俺、昼飯食ってないんだ」

「…えええ。もう夕方近いけど」

「だから待ちくたびれた!」

どんだけ楽しみにしてたの。


「なら、俺達はギルドに行って宿の手配をしている。前と同じ所が取れればいいが」

「ついでに私もギルドに登録するわ」

「ユーリの新しい母さん…な訳ないか」

「そういうていなの。詳しい所は聞きたければ後で説明する」

「とにかく家に行くぞ!ユーリ!」

「はいはい」


まあ、おにぎりは多めに作ってきたし大丈夫だろう。

「いらっしゃい、ユーリちゃん。テッドがユーリちゃんが美味しい物を持ってきてくれるからってお昼も食べないでいたのよ。今日来なかったらどうするつもりだったのかしらね?」

「元々今日の午後って約束だったんですよ。私は辺境で暮らしているから、日付を把握するのも大変なのに、無茶言いますよね」


夕食の一品て扱いみたいだけど、テッドは主食にする気満々だろうな。

マジックバッグから出すふりをして、塩むすびや焼きおにぎり、味噌握りを出す。

「これはシラコメ?スープの具材にでもしないと、固くて食べないんじゃ?」

テッドは無心に頬張っている。感動して瞳がうるうるしているのは黙っておいてあげよう。


「温かい。もしかしたら収納庫?」

…あ、やばい。エーファさん鋭い!

「僕も収納庫を覚えたんだよ。すごく便利な魔法だよね」

へえ。エーファさんは時空魔法の適性があるんだ。確か時空魔法は適性がある人は少ないよね?まさか亜空間移動も?


「時空魔法はどこまで使えるんですか?」

「残念ながら収納庫までだよ。旅に便利だから亜空間も覚えたいんだけど、上級魔法は習得が難しいね」

「そう…ですね」

「ふっくら柔らかくて美味しいわね!家畜の餌のシラコメが、こんなに美味しくなるなんて」

「父さん!町でも農家に頼んでシラコメを作ってよ!」


「確かに、こんなに美味しくなるなら、いい主食になりそうだね。でも自生してたって聞いたけど、育てる方法が分からないと」

「それなら、私が分かります。一昨年は水田を作っていたので」

「は?それじゃ今食べてるこの米はどうやって手に入れたんだよ。去年はずっと町にいただろう!」

「家の側にダンジョンがあって、そこで見つけたんだよ」

「ダンジョンだって?!ユーリ、君の家は私の領地じゃないのか?」


あ、あれ?私、何か不味い事言った?


「アルフレッドさんの領地は、山の向こう側もですか?」

「山の向こうだって?…じゃあユーリは、山を越えて来たのか?いくら強いお父さんがいてもあそこには強力な魔物がたくさんいるのに!」


「私は…魔法が得意なので、それなりに戦う事もできますし」

「それなりにってレベルじゃないだろう。オーガやミノタウロスもいるし、山の向こうに住んでいる人がいたことも驚きだけど」

「それは…」

「君のお父さんのパーティーは、去年ギルド登録したばかりなのに、オーク肉やウオーターバッファロー等、登録したてのFランクの頃から納品していたって聞くけど、普通ならCランク相当だ。以前はどんな職業に付いていたのかな?」


「父さん、冒険者の強さの秘密を探るのはマナー違反だよ」

「確かに…けれど、山向こうには青龍の聖地もある。それと新たなダンジョンが発見されたら、国に報告する義務もある。発見者は君のお父さんでいいのかな?」

「あの…あまり目立ちたくないので、発見はアルフレッドさんて事でいいですか?」


「それはいくら何でも…」

「私達親子は目立つ事を望んでいないんです」

「そうね。ユーリちゃんの事をろくでもない貴族に知られたくないわね。うちのテッドの事だって家族内の秘密に留めておく事にしたんだし」


「なら、発見者は僕かシーナ母さんでいいんじゃないかな?そこそこの実力もあるし、特に僕はエルフだから、変に絡んでくる事もないよ」

「でも、兄さんが嫌み位は言われそうだな」

「それこそ今さらだよ。ライアン兄さんが人族だから助かっているようなものだね」


「まあ、とっとと息子に領主の座を譲れってうるさいけどね。地方領主の息子は、王都で人脈等を作る為に五年以上働くのが通例だっていうのに。まあ、連中にとっては人族以外が貴族を名乗るのが許せないだけさ」


結構苦労しているんだな。平民は種族差別をしないみたいだけど。

「とりあえず、一度ユーリのお父さんとも話し合いたいな。我々だけで勝手に決める訳にはいかないからね」

「それと、仮に僕とシーナ母さんが発見者になるなら、現地を見なきゃならない。その時は案内を頼めるかな?」

「俺も行く!米が手に入るなら尚更だ!」

「テッドはダメよ。さすがにオーガやミノタウロスがいる所でテッドを守りながら戦うのは無理があるもの」


「嫌だ!だってユーリはそこを越えて来たんだから、俺だって行ける!それに米は自力で手に入れたい!」

「それは無理だよ。米はダンジョンでも結構下の方だし。それに米を手に入れるなら、畑を田んぼにしたり、苗を育てないと。私が種籾なら持っているから」


「それは空いている畑から探さないと。それにシラコメの育て方はユーリに訊かないと。それともテッドは知っているのかな?」

「全然。農家とは関係ない暮らしだったし」

「まあ、私はお母さんの実家が農家だったし、数年はそこで暮らしていたから知っているけど。アルフレッドさん、米を作るのにはたくさんの水が必要です。そしてそれは、水魔法の水が望ましいです」


「うーん。確かに畑に魔素が豊富な方が作物は育ちやすいけど、具体的にどれ位の水が必要なのかな?」

「土が完全に見えなくなる位ですね」

「うーん。なかなか難しいね。畑の都合さえつけば、試しにユーリが育ててみるかい?案内は君のお父さんに任せる事になるけど」

「それは、ダメです」

「どうして?」


「どうしても、です。最初だけお手伝いすればあとはそんなに手はかかりません。ダンジョンの案内はその後でもいいでしょう」


「…分かったよ。特に問題はなさそうだし、それで行こう」

「ありがとうございます」

「お礼を言うのはこちらの方だよ。これはギルドを通して指名依頼とさせてもらうよ」

ランクに関わってくるから有難いけど、ギルド依頼にすると手数料とか税金が…あれ?税金は領主の所に来るから、…ええと、いい…のかな?


「いいんだよ。難しい事だし、理解できなくてもいいんだよ」

政治的な事はさすがに分からない。

こっちには有難いけど。


はあ…やっぱり私、迂闊な所は治らないな。ダンジョンの事は国に報告の義務があるっていうのは知らなかったし。


「ムーン父さんと話すのは、いつがいいですか?」

「こちらはしばらく家にいるから、いつでもいいよ。お父さんにも聞いてみて」

「日銭稼ぎの冒険者なんですから、いつでもいいですよ」

「なら明日かな?なるべく早くがいいよね」

まあ、米の方は種籾を水につけて発芽を促す位しか出来ないし。


(なあ、大丈夫なのか?まあ…俺の我が儘のせいでもあるんだけど)

(何とかするしかないよ。案内するなら、亜空間はばらすしかないけど)

(げ!亜空間使えるのかよ!俺なんて収納庫もまだなのに!)

(その話はまた今度ね。そろそろ宿に戻らないとね)

ムーンとも打ち合わせしておかないと。


最悪落ち人だとばれるかもしれないな。けど、アルフレッドさん達なら大丈夫な気もする。ムーン達が魔物だとはばれたくない。そこは気をつけないと。






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― 新着の感想 ―
[一言] ぶっちゃけ良い人だけどって疑って迷うなら制約とか契約して破ったら死ぬってやる方がいいよね。誓約書とか契約書があるか知らんけど
2021/05/08 06:33 退会済み
管理
[一言] 「うーん。なかなか難しいね。畑の都合さえつけば、試しにユーリが育ててみるかい?案内は君のお父さんに任せる事になるけど」 上から目線で「ユーリが、育ててみるかい?」って、わざわざこの町でユー…
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