みんなでダンジョンへ
防具を作ってみた。と言っても皮のベストだ。あとは一応膝から下を守れるように、ただ巻き付けられるようにしただけ。
本当はマジックテープがあれば一番良かったんだけど、無いからボタンだ。
こんなんで本当に大丈夫かなとも思ったけど、少なくともビッグコッコにつつかれても痛くなくなった。
ビッグコッコの頭が丁度私のお腹辺りに来るので、まあ、丁度いいかな。
エメルは、地上でも強い。突進はかなりの攻撃力があって、頭にヒットすると、ビッグコッコは一撃で消えてしまう。
そしてカバーは、背中の甲羅で私を守ってくれる。
(なるほど。確かにダンジョンは不思議な所ね。ね、下に降りていい?ユーリの魔法も大丈夫だと思うし、モコも行けるわよね?)
「にゃっ!」
(任せろって?もう。階段からは離れないでよね?)
二階層は、キラーアントだ。倒すと甲殻の一部を残すけど、正直要らない。
(エメル、魔力が尽きそうだよ)
(そのナイフじゃあ上手く戦えないわね)
あ、そうだ!鍬ならいけるかも!
苦いマジックポーションを飲んでから、鍬を振るう。
ナイフよりもこっちの方が楽でいいかも。
(変わった武器?ね…)
振るえば頭や首に当たるから、使い勝手がいい。
よし!レベルアップだ!今のでレベル8か。キラーアントは強いのかな?…まあ、ボアよりは簡単に倒せているけど。
ボアは、まだ倒せていない。猪肉…私のジビエ料理…兎肉も、ジビエ料理か。
セーフティエリアを見つけてショッピングで買ったポテチをつまむ。
賞味期限は切れているけど、悪くなっていればちゃんと鑑定に出てくる。
それに腐っていたりカビたりして食べられない物は、ショッピングでは買えないようになっているようだ。
(不思議な味。でもクセになるわね)
そうなんだよね。ポテチって食べ始めると止まらないよね。
(ね、向こうに階段が見えるんだけど、降りてみない?)
(でも…ちょっと不安)
キラーアント相手にモコは苦戦していた。爪が通らないのだ。
(ちょっとだけ、ね?モコも守るから)
(分かった…どんな魔物がいるか覗くだけね?)
ユーリは階段を降りて、辺りを窺う。
(牛だー!)
鑑定 モーモー 一般的な牛種の魔物。雌はミルクを出す
(エメル!モコ!倒すよ!)
突進を避けて、魔法を放つ。
何とか倒して現れたのはチーズ。残念。牛乳が良かったな。
(まだまだ修行が必要ね)
一人余裕のエメルが言った。
「頑張るよ。牛乳も牛肉も欲しいし」
チーズも大好きだ。
時空魔法のレベルは、なかなか上がらない。明らかに上位魔法っぽいし、仕方ないのかな。
ただ、空間固定、移動を覚えてからは、室内お風呂への希望が湧いた。
風呂内のお湯を一気に抜けそうだ。
風呂桶、どうしよう?水漏れしないように作るのには職人レベルの技術が必要だ。
巨大な壺とか売ってないかな?…うん。ないな。トロ箱もない。
素直に木で作れと。
まあ、ここは森だから木はたくさんある。ただ、重い木は持てない。冬までには作れるように頑張ろう。
重力魔法で少しなら重さを軽くする事が出来るようになったけど、二歳児には無茶かな?
まあ、当分は川のお風呂でいいかな。
お風呂に入りながら、重力魔法の練習。なかなか上がらない魔法の一つだ。
補助魔法は、今の所放置だ。何かが出来るようになる魔法なんて説明じゃ、曖昧過ぎて全く分からない。
ショッピングは、そのタイミングで買える物が変わるので、まめにチェックしている。
多分廃棄されてから焼却処分されるまでの時間にしか買えないのだと思う。
パックのご飯はない時が多いのは、他の落ち人に買われているのかもしれない。
米は意外と買えるけど、普通の鍋で炊くのは難しいよね。
それに多分、古米なのだろう。水分の吸いが悪く、美味しく炊けない。
魔道具はまだ試せていない。魔鉄がないのだから仕方ない。
銀ならまだ、廃棄された銀製のアクセサリーや食器を買えたから、もう既に錬成してインゴットにしてある。
スペシャルショッピングで本を買って、魔道具の作り方は勉強している。やけに高かったのは、手描きの本だからだろう。
他はともかく、炊飯器の魔道具は欲しいな。