ダンジョン
ダンジョン?
森を探索していたら、小さな丘を見かけて中に入ってみたら、ビッグコッコという鶏を大きくしたような魔物が、たくさんいた。
倒すと死骸は消えて、卵か鶏肉の一部が残る。ダンジョンあるあるだね。
やった!これで卵かけご飯が食べられる!
モコは、ビッグコッコより強い。私は突っつかれたり、蹴爪で蹴られたりしているのに。まあ、回復魔法もちゃんと使っているから大丈夫だけど。
やっぱり防具、必要だな。スペシャルショッピングで買ってもいいけど、皮が結構集まってきている。
うん。自作してみよう。
今の私じゃビッグコッコの相手で精一杯。ちゃんと強くならないと、いつまでもボアを相手に逃げ回ってばかりいられない。
ナイフは買って失敗かな?切れ味はいいけど、大物相手に戦えない。
でも、今の私に剣や槍が扱えるかどうか。重くて持てないと思う。
魔法ばかりだと、魔力切れが心配。錬金術でマジックポーションも作ってみたけど、苦いし美味しくない。
ナイフの練習もしないと。
スラ達は、従魔の恩恵で経験値がシェアされるから、それでレベルが上がっている。まあ、仕方ない。スラ達は突進しかできないし、当たっても痛くない。
それは私も一緒か。エメルが海で狩りをしてくれているから、強くなっている。
魔法って何でも出来るイメージだけど、魔法のレベルが低いうちは弱い魔法しか使えないから、実際弱い魔物しか狩れていない。
ショッピングでは廃棄された物しか買えないから、肉なんかは怖くて買えなかったんだよね。ホーンラビット位かな。美味しく食べられるのは。まあ、ダンジョンのお陰でこれからは鶏肉と卵も食べられるようになるかな。
今日は折角なので、親子丼を作った。モコは猫だけど魔物だからか玉葱も平気らしいので、同じ物を食べた。
エメルが料理を絶賛してくれた。今まではただ生のまま食べていたようなので、好きな物を作ってあげたいな。
「んー!この親子丼っていうの美味しいわ!人族って生で魔物を食べられないから面倒だと思っていたけど、料理って食べ物をこんなに美味しく出来るのね!」
「今度エメルの採ってきてくれた物も料理してあげるよ。エメルはどんな味が好き?」
「そう言われても分からないわ。だって料理なんて食べたの初めてだもの」
「そっか。なら色々作ってみるよ。今度ダンジョンにも一緒に入ろう?この親子丼も、ビッグコッコっていう魔物のお陰で作れたんだよ」
卵はだいぶ余ったけど、マジックバックのお陰で腐る事はない。
「面白そうね。その下は?」
「まだ一階層しか行けてないよ。私はまだ弱いもん」
弱いから、回避や敏捷、忍び足が向上しているんだけどね。
レベルアップ以外でも、数値は高くなる。鍬を振るっていたお陰で、力も少し上がった。今は力仕事はしていない。
今はカブを栽培している。もう少ししたらネギやダイコン、白菜を育てたいな。
家から少し離れた場所に、堆肥場も作っている。食べられない魔物を落ち葉と混ぜて発酵させている。
堆肥はショッピングでも安かったけど、最初だけだ。
おばあちゃんの家が農家だったので、色々知っている。小学校の頃は住んでいたし。
お父さんと離婚してから私はおばあちゃんの家に預けられた。
お母さんは職場が遠いからそのままあのアパートに住んでいたけど、週末や長い休みの時には必ず会いに来てくれた。
草むしり位しか手伝った事はないけど、色々教わった。
違う世界だけど、似た所もある。同じ物でも名前が違ってたり、異世界特有の野菜もあるみたいだけど、なんとなく元の世界の物ばかり食べている。
魔物は畑の作物を狙ったりはしない。という事は、魔物は基本肉食なんだろうな。
モコは私の料理した物しか食べない。野生は全く感じられない。
次の日の朝は、勿論卵かけご飯だ。そんなのでもエメルには珍しくて美味しいようだ。卵かけご飯は私も大好きだけど。
夕べはお泊まりしたエメルだけど、今日は海に戻るようだ。
エメルとダンジョンに潜るまでには鎧も作っておきたいな。