ダンジョン17階層へ
ダンジョン15階層。
うわ。今日はトレントが多いな。お陰で視界が悪い。タケノコは少なめかな。
その日によってランダムになるらしいから仕方ないけど、今日は階段を探したいから間が悪い。
火が弱点なのは分かっているけど、火魔法は私しか使えない。
しかも通常の火魔法だと、枝が伸びてこないようにするのがやっと。
私は火魔法を剣に纏わせればいいけど、他の子が不利だ。
火魔法を牽制にばらまくのは訳ないけど、威力が…。
なら、ここは得意の妄想で。というか小説の定番だよね。太陽光を火イメージするのは。
温度の高い青白い炎の光線が、トレントに穴を開けて後ろにいたトレントまで貫通して、倒した。
『スキル ソルレーザーを覚えました』
あれ?何故かスキル化した。通常の火魔法とは別物って事だね。
簡単にスキル化するのは、恐らく他の落ち人も使っていたからだろう。
魔力もたいして使わないし、スキル化したから使い易い。
人前でおいそれと使える魔法じゃなくても、ここなら問題ない。
見える範囲のトレントを攻撃して、トレントの実もいくつか見つけた。
よし。視界も良くなった。キラービーが飛んで来たのを、蔓の罠を展開して捕まえ、後ろにいたチャチャに任せる。
げ。またゴーレム…って事は、罠部屋かな?
振り下ろす腕をバックステップで避けて、魔力を込めて切りつける。
今まで散々使ってきたけど、自動修復の付与がされているから多少の刃こぼれは治るし、ミスリルだからか、傷も付きにくい。
頭から剣を降り下ろすと、真っ二つになって、ボール?が出てきた。
ダンジョンに飲み込まれる前に拾ってみると、細かい魔法文字が重なるようにして書かれている。
欠けているからちゃんと読めないけど、恐らくはゴーレムの核。
魔道具作りの初心者の私には作れないな。折角だから貰うけど。
そうしてやっぱり階段が出てきた。あ。魔法石がある。って事は、やっと見つけた?
みんな揃って階段を降り、中にいたのは、やけに細くて長い蛇。
鑑定 ロングスネイク 長い体で大型魔物さえも巻き付いて絞め殺す。毒に注意
うわ。まんまだね。
(毒と巻き付きに注意して)
まあ、油断さえしなければ大丈夫かな。
ドロップアイテムは、ロープ?
鑑定 魔力をかけて相手に投げつけると、巻き付いて逃がさない。
試しに使ってみたら、まるで生きてるみたいに動いて相手を拘束した。
凄い罠だ。それにしても自分のドロップアイテムに負けるってどうなのよ?
便利だし、護身用に多めに集めよう。たまに毒の小瓶も落とすけど、そっちは要らない。
てか、普通に収納庫に入ったって事は生きていないんだろうけど、ならどうして動くかが不思議。まあ、考えても分かる訳ないけど。
迷路の定番。右へ右へと進んで行くと、割とあっさり階段が見つかった。
まだフロアの半分も探索してないけど、まあいいや。気が向けば探索する事もあるかもしれない。それよりも17階層!
魔法石に触れて階段を下ると、いきなり体ががくんと水の中に落ちて、水びたしだ。私の腰位まで水に浸かる。
慌てて階段に上がるけど、少し遅かったら何かに攻撃されてたな。
うむう…これはどうやって進もう?魔物(食料)は?
大人だったら膝上位の水位だから何とか進めるだろうけど、魔物のいる中、腰まで水に浸かってたら危険だな。
モコも水の中には入ってこないだろうし。
(私に任せて)
エメルが中に入っていく。と、すぐに魚を咥えて浮き上がった。噛み砕くと、魚の切り身になったけど、すぐにエメルが拾ってくれた。
鑑定 シャケの切り身 美味。
それだけ?まあいいけど。
(エメル、シャケは強くなかった?)
(私には効かないけど、ユーリだったら噛み砕かれるわね)
うわー。さっさと上がって正解だったな。
この階層はエメルの独壇場だな。残念だけど魔力探知で場所は分かっても、槍で刺す前に逃げられそう。
歯が武器なら蔓の罠は突破されそうだし、何か上手い方法はないかな?
ドライ…うわ。魔力が持って行かれる!この量を乾かすのは無理だな。
無謀な事をしてしまった。マジックポーションを飲んでまた考える。
(他のみんなは影に入れて私がユーリを乗せて階段を探せばいいじゃない?)
そうなんだけど、それは最後の手段にしたかった。だって負けたみたいじゃん?
(そうしたら?魚はエメルに採ってもらえばいいじゃん)
(むう…悔しいけど、それが最善かな?でも今日は、シャケを集めるよ!)
蔓の罠を投網のようにして放ち、引き上げる。当然網は切られるけど、何匹かは引っかかったままだ。
みんなも牙や爪で攻撃して、とどめを刺す。
うん。今日はちゃんちゃん焼きにしよう。
(ユーリ、お腹空いたよ)
モコに言われて結構な時間が経っていた事に気付いた。
(ごめん、つい夢中になってた)
網を投げまくってたから、どっと疲れが来た。とりあえずリフレッシュで治すけど、無理は良くないよね。
大漁だ!また来よう!




