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山を超えたら

 びっくりした。亜空間から出たらミノタウロスが結界石を破ろうとしていた。

 すぐにみんなを呼んで結界石を回収する前に、私は麻痺の魔法を、ムーンが氷魔法で足場を固める。

 モコの支援魔法がかかるとみんなで飛び出した。

 

 もっと、弱点を狙わないと。

 結局リカバリーされてしまって、すぐに動き出す。

 そこにチャチャが強力な一撃を加えた。


 チャチャは強くなったな。なら私も!

 ジャンプで木の枝に飛び乗り、飛び込んで首に斬りつける。

 流石にミスリル。よく斬れる。


 っと。ムーン達が苦戦している。

「アイスウォール!」

 ムーンを打ち据えようとしていた拳が届く前に、氷の壁で止める事ができた。

 うん。確かにイメージはしやすいけど、ちょっと恥ずかしい。なんて、言ってられないか。本当はもっと長々と呪文を唱えないといけないんだけど、簡易詠唱って事にする。


 エメルが顔面にヒットしてミノタウロスは倒れた。

 ムーンが首筋に噛みついてやっと終了。

 

 オーガとかミノタウロス以外にはここまで強い魔物はいないよね?少なくともここには。

 とりあえず先を急ごう。


 罠感知が働くけど、何も見えない。そろそろと進むと、急に魔物の気配が濃くなる。

 く、蜘蛛は嫌!てことは、罠は蜘蛛の糸か。

 重力魔法で押し潰そうとするけど、抵抗してくる。

 チャチャの重力魔法も上乗せされて、蜘蛛は潰れた。

 はあ…そのうち巨大なGとか出てくるんじゃないだろうか?そんなのいたら泣いちゃうよ!


 とりあえずお昼休憩。ミノタウロスの血抜きは大きいから大変だ。しかも山の反対側は若い木が多い。

 木魔法で強化して、ミノタウロスを吊す。


 解体は、後にしよう。今日中に山を降りたいしね。

 材料を焼くだけになってしまうのは仕方ない。なるべく荷物は出したくないし、万一人に見られた時も、鍋とか使ってたら怪しまれるから。


 ただ、若い木が多いってことは、木を伐採しているって事だ。

(三人はご飯が終わったら亜空間で着替えして?)

(え、もう?)

(一応ね)

 エメルと二人で山を降りる。…!人の気配!


 揃いの鎧を着た兵士がたくさんいる。馬で移動していたから、急に探知に引っかかった。


 槍を持った隊長らしき人が、単騎で近づいてくる。

 槍先を細かく動かしている?

 辺りが氷の霧に包まれる。

「君、早くこっちへ!」

 私…じゃない?とりあえずマジックブレイク!

「な…?!」

 よく見ると、隊長さんの視線はエメルに向いていたので、エメルを影に入れた。

「あー。君の従魔だったのか。済まない。グリーントータスに狙われていたかと思った」

 ああ。だから氷魔法だったのか。とりあえず動きを鈍らせようと。


 初の異世界人は、エルフ?耳が尖っている。

「私はアルフレッド イグニタス」

「控えよ!領主様の御前である」

 え?え?どうすればいいの?正座とか?

「こら、ルーカス。子供を脅しちゃいけないよ。一人でこの山へ来たの?」

「いえ…家族とはぐれまして」

「そう。私達は定期的な山狩りに来た所だけど、途中誰とも会わなかったから、もう山に入ったかな?」

「妙ですな。従魔がいるとはいえこんな幼子がいなくなっても探さぬとは」

 オッサンは黙っててよ。

「魔物にでも襲われたのかもしれない。さ、後ろに乗って」

 うう…どうしよう?これじゃこっそり亜空間から出せないよ!


 麓にある囲いの中に馬と一緒に降ろされた。

「そうだった。名前を聞かないと」

「ユーリです」

「そう。家族と会えたら伝えるよ。ここで待っててもらえるかな?」

「わ、私も探しに行きます!」

「申し訳ないけど、魔物と戦わないといけないからね。きっと見つけるから待っていて」


 馬の見張りの為に兵士も立っている。隙を見計らって塀の外に亜空間を開こうとしたけど、亜空間は自分の側にしか開かない。

(どうするの?ユーリ)

(何とかしたいんだけど…ごめんね)

(私達は大丈夫。ユーリが心配)

(俺達の事は気にするな。モコの収納庫にも食料は入っているし、事情は分かっている)

(私ならユーリを守れるから、大丈夫よ)


 やがてたくさんの獲物を持って、領主一行が帰ってきた。

「残念だけど、人はいなかったよ。ここで狩りをするつもりだったんだろう?」

「はい」

「住んでいる所はコーベットでいいのかな?」

「え、あ…それは」

「それともトトスの方?まさかリロル市かな?」

「う…ちょっと…分からないです」

「移民の類ですかね?まさか落ち人とか」

「それはない。マジックブレイクが使えたんだから、それなりに長く魔法を使っているはずだよ?てか、うちの末息子と同じ位の年齢で聖魔法を使えるのは凄いけど」

「アルフレッド様の坊ちゃんも、充分凄いですが」

「うちのテッドは生後半年で魔法を使ったからね。しかし、困ったな」

「教会に孤児として預けるのが宜しいかと」

「…いや。うちで預かるよ。念の為にユーリという少女を保護しているとうちの領内の兵士には伝えておこう」

「了解であります」

「今からコーベットに戻る。もし見覚えのある町だったら、家に帰れるだろう」

 子供の意見は通らないんだな。マップは頭の中に入ってるけど、さすがに町の名前までは分からない。

 この人を鑑定したらどんな風に出るのかな?


 鑑定 アルフレッド イグニタス (40)

 エルフ

 職業 子爵 一つの市と二つの町の領主

 スキル

 精霊魔法 氷魔法 水魔法 槍術 統率 

 指揮 精霊視 気配隠蔽 交渉術


 え…どう見ても20代なんだけど?エルフあるあるかな。

 貴族か…それにしては気さくな感じだけど、他の貴族は分からないよね。


 出来ればとっとと離れて私達だけで町に行きたいけど、どう考えても善意だけで言ってくれてるのが分かるから、離れづらい。


 うう…それにしてもお尻痛い。時々こっそりヒールをかけるけど、みんなよく平気だな。


『補助魔法 念動を覚えました』


 おお!念動でほんの少し体を浮かせると、痛くなくなった。

 覚えた理由は呼吸補助と同じでちょっと情けないけど、助かった。

 うん。魔法は便利に生活する為に必要なものだから、何も間違っていない。


 

 

 

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― 新着の感想 ―
[一言] 何でみなすぐバレる嘘つくんだろうね?記憶喪失とか親と逸れたとかさ(笑)嘘つくなら旅してるとか親が死んだとか気づいたらそこに居たとかの方がよっぽど賢いわ(笑)
2021/05/08 05:58 退会済み
管理
[一言] ありゃ(;・ω・) 第1異世界人?はエルフで領主様 拗らせた人じゃなきゃいいけど。 息子は天才少年の模様。 気の合う少年ならセーフ 駄目なら脱走かな?
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