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ダンジョン15階層

 ダンジョン13階層。

 適度に肉を集めながら進んで行く。と、壁が不自然にほんの少し黒い所を見つけた。

 落ちる前のド近眼と違って今は目がとっても良いので見つけられた。

(罠の可能性もある。ユーリは下がっていろ)

 ムーンが壁に向かって爪を振り下ろすと、小部屋の中にあったのは宝箱。

(開くぞ)


 ムーンが爪で引っ搔くと、宝箱が開いた。

(?魔石か)

 ソフトボール位のそれはかなりの大きさだけど、ユーリはそれに鑑定をかけてみた。


 鑑定 魔晶石 魔力の保存や魔道具に使われる。


 おお!これがそうなのか。今は空っぽみたいだけど、いざというときの魔力タンクに使えそうだ。

 試しに魔力を込めてみると、大体1000位吸われた。

「半分弱位か…出来ればもっと欲しいな」

「え?半分位なんでしゅか?」

「うん…何で?」

「シャンドラ様に作り直してもらったとしても多いでしゅ。普通の大人の魔法使いが1000位なので」

「あとは、レベル?」

「ユーリしゃんは…レベル42でしゅか…因みに2000だと、宮廷魔術師レベルでしゅ」

「へえ」

「…分かっていると思いましゅけど…」

「バレないようにするよ」

 冒険者になったとしても、私には従魔達がいるからメンバーはこれで充分だし。


 今の私には魔晶石を使えるような魔道具を作るのも無理だから、当分は魔力タンク用かな。

(どうせだから、下に降りる前にみんなで使おうか)

(ユーリ、いくら主でも、他人の魔力はそのまま使えないのよ)

(あれ?でも暗黒魔法にはマナドレインがあるし、聖魔法でも確か…)

(それは魔法というものの力を介しているからよ?魔力の質はそれぞれに違うのは分かるわよね?)

「魔晶石でも汎用に使える術式を組み込めば使えましゅ」

 むう。そうなのか。

(無理に他人の魔力を受けると魔力酔いと呼ばれる症状を起こすな。俺達にはマジックポーションで充分だ)


 因みに魔道具は魔法文字という特殊な文字と文言を銀と魔石の粉末を混ぜた物で魔鉄に書き込む。

 言語理解があるからこれらの文字もちゃんと読めるけど、フレイに聞くと、普通は言語理解の範囲外だそうだ。

 どんなミスしたら、そうなるのか分からないけど、これに関しては有難い。


 ただ、やり方が分かっていれば作れるという物ではなくて、対応する魔法の習得は勿論の事だし、錬金術や鍛冶のスキルにも関係してくるから、知っていても作れないとかがある訳だ。


 魔晶石の汎用化は魔道具と同じ扱いになるから、最低でも私が魔晶石を作れるレベルにならないと作れない。

 まあ、だったら一つを使い回すより私がみんなの分を作って渡しておいた方がいい。

 苦いマジックポーションを飲むよりずっといいはずだ。

 まあ、その為には私が頑張って色々作れるようにならないといけないんだけど。


 やっと下る階段を見つけた。みんな忘れず魔石に触れて、階段を下りる。

 出た魔物は、羽根が四枚のコウモリみたいな奴だ。

 キラーバットというらしいけど、闇に紛れて見づらい。

 それにこの階層は天井が高いから、チャチャには不利だな。


 しかもソニックウエーブを使っての遠距離攻撃。まあ、結界で防げるけど。

 他のみんなは体にそうように、魔力障壁を纏っている。

 攻撃は避けられそうだ。ムーンとモコは立体機動を覚えているし、私も使える。エメルは元々飛べるから、チャチャだけがダークショットで戦っている。

 私はチャチャにマジックポーションを追加で渡してあんまり使えてなかった立体機動を使って攻撃する。

 ドロップアイテムはコウモリの羽で、鑑定すると薬の材料になるみたいだから、とりあえず集める。


 しばらく進むと、採掘ポイントを見つけた。

 採れたのは、燃焼石。

 衝撃を与えると熱くなるので、範囲指定して土魔法で干渉して取り出す。

 今度の冬からは大いに役に立ってくれそうだ。


 私が動かないからみんなも結界内に入れて、しばし採掘する。

 みんなにはちょっと早めの昼食になるし、いいだろう。


 しばらく進むと、やっと階段を見つけた。期待の15階層は、どんな食べ物…じゃなくて、魔物かな?


 もしかしたらと思ったけど、やはり迷路じゃなくて、青空が広がっていて、広場全体は森のようだ。

 魔物らしき物は今は見えないけど、気配はたくさん感じる。

 そっと一歩踏み出すと、突然足下から何かが突き出してすぐに引っ込んだ。

(罠?)

(違う…来る!)

 見切りで剣を振るうと、何かが足下に落ちた。


 こ、これ…!タケノコだ!素早さに勝るモコとムーンがたくさん採ってくれる。

 もちろん私も嬉々として集める。

 

 チャチャが、動き出した木に爪の攻撃をかける。

 うわ…トレントってヤツかな?

「シャーッ!」

 うわ、木のくせに威嚇までするの?

 エメルも風魔法で攻撃する。

 ドロップアイテムは…木の枝か。小説だと弓とか魔法の杖に使うみたいだし、一応拾っておこうかな。

 と思ったら、今度は赤い実を落とした。


 鑑定 トレントの実 甘くて美味、ハイポーションの素材になる。


 子供の掌サイズの実に、辺りを警戒しつつかぶりつく。

「うわあ…桃みたいな味」

 そして、少しは魔力回復の効果もあるみたいだ。

 さっき魔晶石に使った魔力が回復した。


 ダンジョンだと、魔力回復が外より遅い。それは中に入る者の魔力をダンジョンが吸い取っているらしい。

 全然回復しない訳じゃないけど、確かに遅く感じる。

 

 魔法を使わなくても魔力は多少自然に漏れる物らしい。

 魔力制御が達人レベルになると、そういう魔力も遮断できるらしいけど、私にはまだ無理だ。ただ、魔力を感知できる魔物からも気配を隠せるので、魔力制御は毎日やっている。


(ユーリ、ジャイアントビーが来る)

 チャチャの言葉にそっち方面に目を向けると、本当に大きい、一メートル位ある蜂が飛んできた。

 刺されたらすごく痛そうだ。

 牽制に投げた石を、器用に避ける。直線的な魔法も避けられた。

 さすが15階層の魔物ともなると、油断ならないのが出てくるな。


 なら、木魔法で縛る!…って蔓も避ける!なら、罠にするまで。


 すっかりお馴染みの蔓の罠を作ると、さすがに捕まる。

(チャチャ、とどめお願い!)

 一番近くにいたチャチャが、蜂を踏み潰す。


 ただ、一匹ずつだから効率が悪い。しかも頭がいいのか、私の蔓を罠にする前に大きく避けるし。


 ただ、ドロップアイテムはいい!小瓶に入っているのは多分蜂蜜だ!あとはたまに羽。何に使うか分からないけど、忙しいから鑑定は後だ。

 

 エメルの回転してからの高速体当たりはさすがに効く。蜂もトレントも倒れる。

 ついでにトレントの根元にはアジタケも生えてたりするから、倒す前に採取する。

 

(よし!みんなおやつ休憩だよ!)

 その場に、特に下からの攻撃に耐えられるように結界を張ると、みんな入ってきた。


 皮を敷いて、上に火鉢を置くと、中に軽く錬成した燃焼石を入れた。早速実験だ。

(え?今から料理するの?)

(大して手間がかかる物じゃないよ)


 ボウルに卵を割り入れて卵液を作り、食パンを浸す。

 おっと。牛乳を入れ忘れた。

 フライパンに乗せて焼いて、蜂蜜をかける。

(フレンチトーストだよ)

(んー!甘くて美味しいわね!)

 甘い物はあまり食べないムーンには、横で焼いた串焼きを渡す。

 

 懐かしい味だ。そういえばホットケーキミックスはショッピングで買えるのかな?後で確かめて見よう。


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