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収穫

 グリーンキャタピラーっていう芋虫の魔物が出す液体がべとべとして糊みたいになるので、砕いたブレードディアの角の粉末を混ぜて爪に塗ってみた。

(これでどうかな?)

(ふむ。少し攻撃力が上がるようだ。無理言って悪かった。主)

(ユーリでいいよ。モコ達はどう?)

 ムーンは、たまに主って呼ぶ。主従関係には違いないんだけど、ムーンはお父さんて感じだから、名前で呼んで欲しい。

(うーん。多分強くなれた?)

(あまり変わらない)

(私達は武器が持てないものね)


(みんな、そのままでも充分戦えているから大丈夫だよ…モチもごめんね)

 強くなれるかもしれないと知ったモチが、さかんに自分もとアピールしたけど、武器に形を変えられるモチは、充分に役に立ってくれている。主にモグラ退治に。


 余ったブレードディアの角の欠片はモチが吸収してたけど、さすがに生物の物だから新たな進化はないだろう。


 収穫も第二期を迎えて畑も忙しくなった。収穫だけは自分でやるしかない。

 ユーリが忙しくしている間は、エメルは海に出た。

 チャチャは狩りに出掛けて、モコはムーンに戦い方を教わっている。

 一番の従魔はモコだけど、素早さ以外皆に負けているのが悔しいらしい。


 ムーンはかなり強い。戦い慣れている。私もムーンには教わる所ばかりだ。

 ムーンには教わりたいけど、今は収穫が先だ。まだ実りそうなのもあるけど、大体耕し直して冬野菜に変えられる。

 本来ならば種の蒔き時は真夏だけど、肥料の心配もしなくていいから、間に合うと思う。

 耕すのも、今は魔法だ。前は鍬で耕していたけど、魔法が上手くなったから魔法で楽して耕せる。


 大根、白菜、長ネギなど、鍋に合う野菜中心に多めに種を蒔く。

 すぐに蒔いても大丈夫かと思うけど、フレイが問題ないって言うんだから大丈夫なのだろう。


 一応白菜とキャベツは離して育てる。

 冬の積雪量を考えると春キャベツは期待出来そうにないから、全て冬キャベツだ。

 いつかは果樹も育ててみたいな。


 いやいや、果樹なんて育て始めたらここでずっと住む事になりそう。

 子供一人で町に住めるかは分からないけど、少なくとも町に通える位置に住みたい。

 全てを一人でこなすのは本当に大変だから。本来ならショッピングなんて利用しなくても生活できるようにならないと。


 家に戻ったら、氷がすっかり溶けていた。

「スライム達、暑かったね」

風が抜けないので、空気が籠もっている。すぐに氷柱を立てて、空気を動かした。

 この暑さでももう、ピークは過ぎたと思う。

 

 去年よりは余裕を持って夏を乗り切れたと思うけど、去年はベッドやら何やらを作るので忙しくて、今年は農業で忙しい。

 まあ、ショッピングに頼り切りだった去年に比べたら精神的にも楽だ。

 貯金はまだまだあるけど、貧乏根性が染みついているんだよね。


 魔道具を作るのに、銀は必須だ。色々と作りたい物はあっても、そこで足踏みしてしまう。

 本当はダンジョンで銀鉱石が発掘できればいいんだけど、そう上手くはいかないよね。

「フレイ、この近くで銀鉱石が採れる場所無いかな?」

「北の霊山にあったと思いましゅけど、買った方が早いんじゃないでしゅか?」

「そもそも入っちゃだめなんじゃ?」

「聖域を侵さなければ問題ないでしゅ」

「そういうもん?」

「ただし、行けるのは私とユーリしゃんだけでしゅけど」


 そっか。魔物には辛い場所なんだっけ。

「ということは、うっかり聖域にさえ入らなければ安心?」

「でしゅ」

 けど、行って帰るだけでも子供の足で二~三日はかかりそうだ。

「それ位なら、私の亜空間を使っても使い過ぎにはならないでしゅよ」

「なら、畑仕事が一段落ついたら行く。秋の恵みはチャチャ達にお願いするよ」


(ええー…でも)

(俺がぎりぎりまでは送って行く。近くにいるから、帰りはまた呼べばいい)

(それなら早く済むね!)

 有難いけど、ムーン大丈夫かな?

(心配するな。無理はしない)

 魔道具の基本は頭の中に入っている。色々と作りたい物はたくさんある。

 幸いにも魔鉄はたくさんあるし、魔石もたくさん持っている。


 作りたい物は、たくさんある。今日は収穫を頑張ろう。



 

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