ダンジョンと、すあまの進化
すあまは、畑仕事に熱心だ。一番に雑草…もだけど、雑草のように生えてくる薬草も食べてしまう。
育てている毒消し草じゃなければいいんだけど、ポーションの苦さを考えると、草自体も結構苦いんじゃないかと心配になる。
マジックポーションは、ましな部類だ。糖蜜で苦さが誤魔化せるから。
舌も幼児化したせいで苦いのが辛い。春の山菜は苦いのが多いから、お陰で楽しめない。
辛いのも辛い。幼児の舌は大人より敏感なのだろうか?
ていうかすあま、苦くないのかな。
後の事をスラ達に任せて、私達はダンジョンに行く。
エメルの提案で、今日は八階層に行く。階段の位置は把握しているので、オークを倒しながら進む。
そうして八階層。出てきたのは、巨大なカマキリ!
素早さも上がっているので、刃を回避しながらミスリルのナイフを振るうと、硬そうな足が一発で切れる。
魔法も使って倒して、出てきたアイテムは体の一部だった鎌の部分。正直要らないけど、何かに使えるかもと取っておいた。
みんな割と余裕で倒しているので、早々に階段を見つける事にした。
階段は、割とすぐに見つかった。この階層を全部見て回った訳じゃないけど、別にいいかな。というか、次が気になる。
九階層は、猪…ボアだ。ただし、体の表面が鎧のように硬くなっている。突進してきた所を、咄嗟にエメルがカバーしてくれた。
こういう硬い系には、重力魔法かな。脳に重い衝撃を与えて揺さぶると、割とあっさりと倒れた。
ムーンもチャチャも対応出来てるけど、モコの爪攻撃が通っていない。
フレイも魔法で…え、一瞬で切り裂いた?凄い魔法だ。魔力は私のを使っているけど。
ドロップしたのは、いい感じの赤身肉と、皮の一部だ。かなり硬いので、いい防具になりそうだ。
肉の方は、ハムにするのも良さそうだな。猪肉…ジビエ料理が作れるね。
ジビエ料理といえば、モコがラクーンという狸の魔物を仕留めて持ってきた時があった。当然狸汁にして食べたけど、芋もたくさん入れて増量して、なかなか美味しかった。
「フレイの今の魔法、凄いね」
「時空魔法の、空間断絶でしゅ…でも結構魔力を使うので、ユーリしゃんには申し訳ないのでしゅ…」
「ううん、いいよ。マジックポーションは多めに持ってきてるから」
それに、最初にシャンドラ様が精神を高くしてくれたため、レベルと共に上がる魔力量が半端ない。
きっともう魔法だけなら、冒険者のように使えていると思う。
モコにはアーマードボアはキツイみたいなので、サポートにまわってもらった。
鎧も作り直そうと思ったので、皮も集めていく。
今日はぼたん鍋かな?
猪肉の臭みは料理酒に漬けこめば多分大丈夫だろう。
うん。いっぱい集めよう。
アーマードボアとの戦いも、慣れてきた。突進を避けて、ミスリルのナイフで切る事もできるけど、刃の部分が短いから、あんまり攻撃向きじゃないな。
槍はまだ慣れない。それでも最初の頃よりも随分上手くなった。
魔物によって使い分けは重要。そして練習も大事だ。
今日は槍を使うようにしよう。
夕ご飯は、猪鍋だ。いつも大鍋いっぱいに作っているけど、それでも足りない時がある。今日も他に、ハーブを揉みこんだ猪のカットステーキを焼いた。
どっちも美味しくできたけど、私が食べるのはいつもほんの少しだ。それでもみんなより食べるのが遅い。
仕方ないよね。幼児だし。
すあまが私の前でぴょんぴょん跳ねる。さすがに三度目ともなると分かる。
影に入れたけど、すあまは何に進化するんだろう。雑草ばかり食べていたからウイードスライムとか?
モチの進化の時には金属ばかり食べていたし、食べているものにも多少は影響があるんだと思う。
従魔の気持ちにもよるから、変な進化はないと思うけど、どうかな?
進化しても皮のなめしはやってくれるから、私としては何に進化してもいい。
次の日に出てきたすあまは、見かけ上は元のスライムと殆ど変わらない。
すあま(0)
ポーションスライム
レベル 21
スキル
薬液精製 分解 ジャンプ 分裂 体当たり
薬草を食べさせると、ポーションを吐き出した。
毒消し草も、マジックポーション用のルルニ草も、それぞれのポーションにしてくれる。
素直に凄いと思うけど、魔力を使うみたいなので、多用はできない。
でもスラミーと一緒に使えばかなり役に立つ子になってしまった。
もう畑の管理は三匹に任せても大丈夫だろう。
できれば今作っている水田の管理も任せたい位だけど、それには新たに結界石を買わなければいけない。
苗は順調に育っているので、そろそろ田植えができそうだ。
勿論土魔法で耕して水魔法で水を張ったので、魔素も充分だろう。
田植えなんて、小学生の時以来だな。




