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人生色々

 周囲の雪も溶けて、本格的な春になってきた。畑の状態も極めて良好なので、早速種を蒔いていく。

 フレイによると、畑に充分な魔素があると植物は速く育つらしい。

 この辺りは自然にある魔素が少ないみたいだけど、多ければ魔物は強いのが棲息する。

 この畑に魔素が多いのは、私の魔法のせい。土を柔らかくするのにも、水をやるのにも魔法を使っていたからのようだ。

 

 それでもこの畑は結界石で守られているから、魔物も寄ってこられない。

 唯一厄介なのが、モグラの魔物だ。土の中までは結界石は作用してくれないから、見つけたらざくっとやるしかない。

 これはモチにお願いした。実物を見せながら形を覚えてもらい、刃も鋭くなるように薄く撫でてやると、その形を覚えてくれる。


すあまには進化の兆しは見えないけど、一番後に契約したし、元々のんびりした子だから、別に焦らないし、特に期待もない。

 元々残飯整理や汚物処理の為に連れてきた子だし、皮のなめしは嬉しい誤算だ。

 因みに聖魔法を覚えた今ではピュアで汚物も分解できるようになったし、黄ばんでごわつく生地も、本来の手触りに戻った。


 単なる光魔法の延長線上にあるわけでもない。凄い魔法だ。

 となると暗黒魔法も気になってくる。イマイチ使い勝手が良くない闇魔法は、多分一番使ってない。

 見るだけ麻痺はしばらく封印して、麻痺の魔法を使うようにしよう。

 

 すあまは、のんびりと雑草を食べている。あ!それは一応薬草…まあいいや。畝の上だけを注意すれば。

 元々雑草のように自然に生えてくる物だから、その辺にもたくさん生えている。

 毒消し草も、種を蒔いたら家の周りにかなり増えた。

 もうあの小さな島まで採りに行く必要はなくなった。

 

「そういえばユーリしゃん、亜空間は覚えましたか?」

「どういう魔法?」

「ふふふ。じゃーん!どうぞ入ってくだしゃーい!」

 フレイの指し示す先には、空間に切れ目が入っている。

 これはもしや、異次元別荘?

 中は仄暗く、体感温度は15,6度位?隅の方に雑多に荷物が置かれている。

「これが亜空間でしゅ。どこでもテント要らず、宿屋要らずの優れものでしゅ」


「凄い!私も覚えられるかな?」

「大丈夫でしゅ。私の祝福がありましゅから」

 仮にも時空妖精を名乗る位だから、凄いのだと思うけど、フレイだからな…。

 こんな魔法手に入れたら、絶対私はここに住むと思う。

 今の洞穴住居にも愛着がないわけじゃないけど、特に雨の日はドライで乾かさないと地面が酷い事になるから。


「フレイはここに住んだりしないの?」

「ユーリしゃん、私は妖精なので、眠る必要もないと分かっているじゃないでしゅか」

「そうだけど、あまりにも殺風景じゃない?せめて絨毯とか…も、要らないのか。飛んでるし。でも休憩したりとか」


「界の妖精だった時は、常に魔力が供給されていたので、必要ないのでしゅ。精々落ち込んで一人になりたい時に入る位だったのでしゅ」

 

「何かごめん。そこに寛ぎの空間があったら仕事にならないよね」

「それにここに籠もるのは落ちこぼれの証拠でしゅ。人には便利な空間だと思いましゅけど」

「でも、今は私といるんだから気にしなくていいよね?というか間借りしていい?」

「そのつもりだったでしゅ。ここに数日間住んでみて、ユーリしゃんが可哀想だと思ったのでしゅ」


「可哀想…かな?私はそれなりに気に入ってたけど」

「これも過干渉になるのかとも思いつつ、小さくし過ぎた私の責任もあると思って…うぅ。怒られてシャンドラ様に仕えられなくなっても、ユーリしゃんを見捨てられないのでしゅ」


「えええ!自分の事第一に考えてよ!私は数年我慢すれば町に行けるけど、フレイはいつ復職できるか分からないんでしょ?安易に考えちゃだめだよ!」

「ふぇ…ユーリしゃんが優しいー!罪滅ぼし位したいのにー!」


 あああ。また泣いちゃった。


 どういうのがだめとかそういう決まりは分からないけど、あんまりフレイの手は借りない方がいいな。

 フレイもやけになっている所がありそうだから、気をつけないと。

 まさか200歳超えのお子様の面倒を見る事になるとは。

 人生色々だね。


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