ダンジョンと、お風呂
ダンジョンの1、3、5と、奇数階層を重点的に攻略して、食料を集めた。
蜘蛛対策もしたし、六階層を攻略すればその下にはまた食料になる魔物が出るかもしれないからと、頑張ってみる事にした。
途中からムーンが手伝ってくれたから、蜘蛛との戦いが随分楽になった。
やっと階段を見つけて、七階層へ。
うわ。これがあの有名なオークか。本当に豚みたいだな。
オークと言えば女性の敵だけど、私もエメルもそういう意味で狙われていない。
そういえばチャチャは雄なのか雌なのか分からない。
名前付けておいてあれだけど、ムーンも分からないけど、何となく雄っぽい。
スライム達は別。性別という物がないらしいので。
分裂で増えるスライムは、カテゴリーとしては単細胞?でもちゃんと知能はあるし、スラミーは進化して魔法も使えるようになった。
科学的に考えても無駄だ。分からなくても、魔法はちゃんと使えているんだから。
オークは身長が高いので、戦うのが大変だ。それにやたら体力がある。
それを軽々と仕留めてしまうムーンは凄い。
ドロップアイテムはやっぱり肉で、豚バラだろうか?脂肪分が多い。
モーモーの牛肉は赤身ばかりだった。それはそれで美味しいけど、個人的には豚肉の方が美味しいと思う。
ここに来るまでは辛い物大好きだった私だけど、幼児の舌には辛い物は無理なようだ。
どうしても無理だったので、カレーは甘口になってしまった。
適当に配合してみたカレーはスープカレーにしかならなくて、カレールーで作るようにはいかない。
とろみは何で付くんだろう。片栗粉ならジャガイモから出来そうだけど、そんなの使うかな?むしろ小麦粉?何となくそんな覚えがある。
一匹倒すのにこんなに時間かかってたらだめだな。
モコもオークには苦戦している。チャチャやエメルはそれなりに戦えてるのに私は魔法なしでは戦えない。
レベルが上がっても、上がる所が違うんだろうな。
例えばチャチャなら力とか。モコなら素早さが上がっている感じ?
私は、わりと平均的に上がっているけど、一番は魔力かな。
素早さが上がっても、一歩の幅が違うし、リーチも足りてない。
レベルのおかげで以前の私には考えられない程運動神経は良くなっているけど、同じレベルなら、従魔のみんなには敵わないだろうな。
オークとの戦いにも少し慣れて、程よく豚肉も集まって来たので、早めに帰る事にした。
帰り道、私はムーンに乗せてもらった。重くないか聞いたけど、全然大丈夫みたいだ。
家に着いたので、早速豚大根を作った。懐かしい味だ。
空気を圧縮させて擬似的な圧力をかけたので、肉もほろほろと口の中でとろける。
なんちゃって圧力鍋のおかげで煮物が美味しくなった。
そうしておいて、味を染みこませる為に鍋に範囲指定した時間加速魔法を使う。こうすればあっという間に具材に味が染み込んでいい感じに出来上がる。
キラーグリズリーの解体をしたら、久々の大物にスラ達が喜んでいた。
迷っていたけど、スラミーが分裂したスライムとも従魔契約した。名前はすあま。私にネーミングセンスはない。
一番の古株のスラミーが何となくみんなをまとめていたけど、最近はその座をモチに奪われている。
本人は全然気にしてないみたいだから、平和なら別にいいんだけど、スラミーは一応進化したスライムなのに、穏やかなものだ。
私がクリーンで綺麗にした食器を、チャチャがまとめてくれる。チャチャは意外とまめな性格なのかもしれない。
(ありがとう、チャチャ)
(美味しかった…ユーリ)
(あれ?!チャチャ!念話覚えたの?)
(そうみたい。やっと)
(そういえばチャチャは男の子?女の子?)
(………)
あれ?チャチャ呆れてる?
(やあね、ユーリ。チャチャ可哀想)
モコは分かったんだけどね。尻尾をピンと立てて歩くから。
(ボクも分かってたよ?チャチャが雌だって)
(う…ごめんね。チャチャ)
(いい。それよりも、大人になったら私は契約解除されちゃうの?)
(それはチャチャが決める事だよ。もう…恨んではいないよね?)
(仕方のない事。今はユーリが大好きだよ。モコの事も)
モコの張った罠だって事は分かっていたんだね…もしモコが恨まれる事になったら、主として私が恨みも引き受けるつもりだったけど。
(そっか…なら改めてよろしくね。チャチャ)
(うん。ユーリ、こちらこそ)
ムーンは念話が気になるのかじっと聞いていたけど、すぐに首を落として寝る態勢をとる。ムーンならきっと、念話もすぐに覚えてくれるだろうな。
木で作った大きなお風呂に水魔法と火魔法の合体技で、お湯をたっぷりと出すと、エメルが喜んで入ってきた。
スラ達は、こぼれるお湯を浴びて喜んでいる。
モチはジャンプして入ってきて、浮かんでいる。
モコはお風呂は嫌いで、チャチャはたまに私の後に入る。
ムーンは入るかな?と思っていたら、中に入ってきた。
お湯が一気に減ってしまった。というか段差を越えて隣の部屋までお湯が行っちゃうかと思った。もうクリーンで綺麗にはしてあげたけど、どうせならとボディーソープをたっぷり泡立てて、洗ってあげた。
洗った後、お湯を変えてもう一度ゆっくりと温まる。ムーンも気持ち良さそうだ。
うん。ムーンは予想どおり雄だね。前の彼氏と別れた時にちょっと男性不信になっていた私だけど、従魔の性別まではさすがに気にしない。
チャチャがちょっと羨ましそうに見ていたけど、一緒に入ったらさすがにお湯がなくなる。
(いいな、ムーン)
(春になって暖かくなったら、川のお風呂に入ろうね)
というか、お風呂がもっと大きければいいのかな?
冬の今は、木を切る事も難しいんだけどね。




