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会議とお礼

フレイとの再会は、本人が一人前になる前に果たされてしまった。

「けど、魔物の形とかも全く違うけど、これでいいのかな?」

山から魔物が降りたのは恐ろしい存在から逃げる為だったとしても。

「大丈夫でしゅ。魔物を目撃して生き残ったのはユーリしゃん達だけなのでしゅ」


それもまた嫌な話だ。

「ユーリしゃん、加護を与えるという約束は果たせそうにありましぇんが、ユーリしゃんは私より魔法が上手なので大丈夫でしゅ…私はもう行かないと」

「え?もう?」

「これは大切な荷物なので…というか正直持っていたくないので」

まあ、正体不明の魔物の遺体なんて確かに持っていたくはない。

「また、会えるよね?」

「今度はちゃんと時空妖精になったら会いに来るでしゅ」

「そっか…頑張って」


淋しいけど、目標に向かって頑張ってるんだもんね。

私には別に目標がある訳じゃないけど…そうだね。魔法全てを覚えてみるのはいいかも。いつまでも守られるばかりじゃなくて、私もみんなを守れる位、強くなれたらいいな。

でも私が追い付こうとするとみんな進化して強くなっちゃうんだもん。


登りは大変だったけど、帰りは亜空間移動で一瞬だ。

倒した証拠として蛇君は見せなきゃならないけど、提出しなければならないという決まりはない。是非とも最高級の蛇肉を味わってみたいしね!


とりあえずは教会へ。他のみんなは亜空間で休んでいるそうだ。

(えっと、アリエール様の眷属達に会いました。加護を与えてくれてありがとうございます…?!)

途中だったけど、体の中身が引っ張られる感覚。そう、ルーン様に会った時みたいな。


うええ?!ここはどこ?アリエール様と神像そっくりな神様達。四神獣、シャンドラ様や一度出会ったスキルの管理者さんもいる。それとその他にも管理者?と思われる人達がいる。

「ユーリ、やっと会えたわね!本当は聖域に行った時に会いたいと思ってたんだけど、色々といそがしくて」

アリエール様は憂い顔でため息をつく。そんな姿も神々しいです。


「というか、今も忙しいのでは?」

「そうだけど、丁度今、アレについて話してたから、折角だから会議に参加していって」

ルーン様が笑顔で手招きしてる。ええー。確かに倒したのは私達だけど、看破で何も見えなかったし。

「アレについては今、調査中なの。一つ言えるのは、私の世界の物ではないということ」

「え…私みたいに上から落ちてきたとか?」

「あなたのいた世界に魔物なんていないじゃない。それに界を通らないとここには来られないはずなのよ。でも、察知出来なかった。そうよね?シャンドラ」

「はい。ただし、魂だけなら感知されずに抜ける事は可能です」


「問題はそこよね?ユーリ、戦っている所は見たけど、かなり強かったわよね?」

「そうですね…ブレスの軌道さえもずらせて、かなりの強度と魔法抵抗力。生まれたばかりの魔物なんて思えません」

「いや。我らの世界でもドラゴン等の元から強力な種族なら、強くなる」

「そこまでの魔素濃度は、あの辺にはないわ」

「む…であるか」


うーん。色々知らない私がいても役に立つのかな?てか、元の場所にいる私はどうなってるの?時間、止まってるの?あ…私の中にいるエメルは?

「ねえアリエール、ユーリはとりあえず帰してあげたら?」

「ええっ?!でも…やっと会えたのに。お礼だってちゃんと出来てないし」

「でも、ユーリの眷属には時止めは効いてないし、進化中だから」

「そ…そうよね。変に影響されちゃまずいわね…ユーリ、もっと教会に来てね?私の眷属の所でもいいけど…本当にこの忙しい時に変なのは来るし、私もたまには休みたい…」


うーん。神様世界って、結構ブラックなのかな?

「仕方ないわね…今回の件が落ち着いたら、また会いましょう。ね?」

「は、はい…?」

いや、お礼はあの巨大蛇君で結構です。どうやって調理しようかな…えへへ。

「あの場所はしばらく放っておけば元に戻るはずよ?平地に降りた魔物も多分戻って行くと思うわ」

なら、良かった。



あ、アオさんが近づいてきた。龍の姿だけど、邪魔になるからか、縮んでいる。

(ユーリ、これを)

アオさんは私に綺麗な石を渡した。

「じゃあまたね!ユーリ」

「気を使ってくれてありがとうございます、ルーン様」

その言葉が言い終わらないうちに私は元の場所にいた。

途端にがっくりと疲れが来た。あんな戦いの後だし、今はエメルが進化中だから、魔力も持っていかれている。


あの場所にいた時は何も感じてなかったのに、不思議だ。

とりあえず休もう。


亜空間に戻ってみたら、もふもふ達も寝ていた。疲れたのだろう。

もふもふ達の間に入り込んで先程渡された石を出した。


看破 聖域を作り出す結界石 使用者の周囲に簡易聖域を作り出す神具 ダンジョン内、界を超えたら使用不可


凄い物だった。まさかこれ、貸してくれただけだよね?こんなの貰えません。


奴が纏っていた魔力?は異質だった。どんな魔物にも感じた事がないもの。

あんな奴に出会ったら、並の冒険者じゃあっという間に殺されちゃう。私も、一人だったら絶対に勝てなかった。

この世界だけじゃない世界もあるのかな…上の世界とか下の世界とかじゃなくて。


ああ…もふもふが暖かい。


次の日。まだエメルは出て来なかったけど、依頼をこなした事はギルドに報告しないとまずいよね。

怠そうな私を見かねてムーンが抱っこしてくれた。もう子供じゃないけど、体調が悪いから仕方ない。

「依頼は達成しました。イビルバイパーを恐れて他の魔物は逃げてたみたいです」

「えっ…ええっ?!イビルバイパーって…本当に?死体は」

「収納庫にありますけど、ここじゃ出せないですよ?」

「とりあえず、ギルマスに報告して来るので、待ってて下さい!」

上へ下への大騒ぎで、結局小一時間位待たされた。私は抱っこされたまま寝てたけど。


広い倉庫に案内されて、その間にどんな状態かとか、素材はどれ位売るとかそんな話になったけど、出来れば全部欲しい。皮は薄くて軽くて硬いので、加工すれば優秀な防具になる。


傷口の下に受け皿を置いて、身体をうねらせるように出した。倉庫に入り切るか不安だったけど、何とかなった。

「間違いない…本物のイビルバイパーだ。あんたらだけでこれを?」

「あと、エメルが怪我して寝てるけど」

「そ…そうか。出来れば少しでも素材を売って欲しいんだが…肉も領主様に献上する程度でいいから、頼む!」

「それ位なら…。血はどれ位取れたかにもよるけど、骨は要らないかな。皮はこの辺から上の部分は使うので、それ以外で」

「有難い!解体には時間がかかるが立ち会うか?」

「私が。肉、悪くなる前に回収する」

「いいの?チャチャ…ありがとう」

「ユーリはゆっくり休んで」


大勢の人が解体に取りかかる。

「くっ…やっぱり硬いな。すぐに刃がボロボロになる」

「打ち直しも手が足りん!鍛冶職人に応援を要請してくれ」


現場は大変みたいだけど、今の私には手伝いは無理だな。まあ、解体のプロに任せておけば大丈夫だよね。


チャチャはしっかり者だから安心して任せられる。報告の義務も終わったし、エメルが出てくるまで休もう。



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