表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
207/226

ゴーシュダンジョン

ゴーシュダンジョン。一階層に出たのはレッドラットだ。薄暗いダンジョンの中で、赤く光る目は、結構怖い。

集団で来るから、弱いとはいえ注意が必要。

ドロップアイテムは、魔石かと思ったら赤い実?

クランの実 酸っぱいって…クランベリーじゃん!ジャムにしてもいいし、ドライフルーツにしてもいい。

一匹につき1個だから、倒す方が大変だけど、一階層に留まっている冒険者は少ないから、遠慮なく頂ける。

通路に魔法を放って一列総採り!


「これ凄く酸っぱいんだけど、ユーリにとっては美味しいのかな?」

モコが一粒食べて、顔をしかめる。

「美味しく出来るのよ。ユーリは」

「これは果物という物だろう?ユーリは果物が好きだからな」

「ん。数を集めるのは大変だけど、頑張る」

「売ってるかもしれないから、程々でいいよ?」


何しろ一階層だ。新人冒険者も来るだろうから。


割とすぐに階段を見つけた。半分も回ってないかもしれない。まあ、きっとまた来るし、採掘なんかは出来ないだろう。


二階層はエテル。割とどこにでもいる魔物で、悪知恵が働く。人が持ってる食料を狙ったり、食べようとしている所を掠め取ったりする。そういう所は上の世界の猿と一緒だな。

ドロップアイテムは魔石だけど、質はあんまり良くない。


新人冒険者にとってはエテルも厄介な魔物だ。人の動きを読むので、大振りな動きは完全に避けられる。それを上回る動きと最小限の動きで仕留められないと駄目だ。


まあ、私達にとっては問題ない。得る物がないからさっさと進みたい時に限ってなかなか階段が見つからない。

救いはそこまで広いダンジョンじゃないって所だ。


よし!三階層だ。魔物はレッドマンティス。食べられないなと思ったら、ドロップアイテムは何故かグミだ。山に入れば割と見つけられるけど、美味しいからたくさん欲しいな!

やっぱり一粒だけど、違う種類のグミを落とす事もある。


魔物の部位とかと全く関係ない物を落とすのも珍しいな。

火耐性があるのは一緒みたいだけど。

「山で見つけた方がたくさん採れるよね?」

「まあ、そうなんだけどね」

拾い食いはお行儀悪いけど、クリーンがあるから綺麗な物が食べられる。


子供の頃、山で遊んだ時には最高のおやつだった。勿論上の世界でだ。


ここにも冒険者はいないな。もっと冒険者にとって美味しい階層があるのだろう。


丁度階段も見つけた事だし、次に行く事にした。グミは洞穴住居近くの森にもたくさん生えていたからね。


四階層はポイズンモス。30センチ位の蛾の魔物だ。落とす麟粉は毒と麻痺の効果がある。

こういう虫系魔物を倒すのに、収納庫にはいつも一定量の石が入っている。

小石位にした魔鉄も入っているけど、こいつには普通の石で充分だ。

ドロップアイテムは毒の小瓶をたまに落として、あとは羽…気色悪い。


うう…さっさと五階層に行くのさ。


階段を下りきる前に熱気がきた。

中はまるで真夏の林だ。

地面から何か大きな物が飛んできたので避けると、壁に当たって砕けたそれはスイカだった。なんて勿体ない!

保護色になってるそれを見つけたら、飛ぶ前にショートワープして素早く刈り取る。

頭上から降ってくるカボチャも同様に。

それと、木陰から粒を飛ばしてくるのはトウモロコシだ!


考えてみたらここは甘い食べ物が多い。果物ダンジョン?なら、リンゴとかメロンとか…えへへ。


「ユーリ、お腹空いたよ。もうご飯の時間じゃない?」

…はっ。記憶が飛んでた。野菜採りに夢中になってたみたいだ。

「ごめんね。帰ってご飯にしようか」


早速カボチャを煮た。

「懐かしいね。ユーリが畑を作らなくなってからは食べてないよね?」

ん…そういえばそうかも?

コーベットに来てからなし崩し的に学校に行ったりしてたし、だから今はもやしと醤油の実だけだ。あと、ほぼ放置で育つキノコだ。


正確には醤油の実は海水を生み出す魔道具を設置してあるから、手をかけているのはもやしだけ。手をかけているというか、加護のお陰で異様に育つのが早いから、収穫のサイクルが速くなってるんだけど。


店やダンジョンで手に入るなら、それでいいと思ってたけど、手に入らない野菜や果物もあるんだよね。果樹まではさすがに育てる気にはならないけど、畑で育てられる物なら…


冒険が楽しい今は落ち着いて畑を作る事もできない。

いつか落ち着く事があったら畑を持ちたいな。


食後のデザートでスイカを楽しんで、皮を脇に置くとモチが食べてしまう。

「モチって味覚はあるの?美味しいと思う物って何?」

「主の魔力、美味!」

あー。魔力の味はきっと味覚関係ないよね?

食べられない物もモチは食べちゃうからな。


次の日も階段を見つけてなかったから、五階層からだ。私としては非常に嬉しい。

「ユーリ?今日はちゃんと階段見つけるよ」

だからこうして、目を凝らしているじゃん…攻撃も避けられるし、カボチャやスイカを無駄にするのも勿体ないし。


壁際にあると思ってたけど、草原の中にあった。なかなか見付からない訳だ。

六階層はアーマードリザード。鎧のような皮に守られた表皮は硬い。ひっくり返したお腹の方の皮は刃が容易に入るので、いつかシーナさんがやってた畳返しの魔法でひっくり返してやっつける。

それなりの値段で売れるので、この階層には他の冒険者もいる。

たまに落とす魔石もそれなりにいいものだし、ここは稼げる階層なんだろう。


まあ、私達も程々にドロップアイテムを回収する。

傷みやすい食べ物は買い取ってもらえなかったりするけど、ちゃんと売れる物だし、こういう物が実績にもなる。

それにしても、肉はないのか。ロックリザードの肉は美味しかったから、これも食べられるとは思うんだけどな。


7階層は…おお!栗だ!魔化してるから大きいし、トゲトゲも痛い!でもいっぱい採る!

目の色を変えた私を見て、眷属達がこっそりため息ついていたけど、もう今日はここで栗を採り尽くす!


他の冒険者もいるからそこはわきまえてるし、栗相手に自重は要らないのさ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ