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妄想


いつもいた人がいなくなる。お母さんの時も、フレイの時もそうだったけど、まさに心の中にぽっかりと穴が空いた気分だ。

会いに行く気になれば行けるけど、テッドの為にならない気がする。

私がその園遊会とやらに行ける訳もないし、王都には…


元々私と眷属達で一つのパーティーなんだし、テッドは護衛対象だった。それでいいじゃん?モコが淋しがってもどうにも出来ないし、王都から戻ったらまた一緒に冒険すればいい。


戻って…来るのかな?華やかな世界を見て、綺麗な女の子達を見たらいくらテッドが女の子に興味がなくても変わるかも?

綺麗な女の子…モコの近くにはいたけど種族が違うしな。


まあ、ぐだぐだ考えてたってしょうがない。テッドが決める事だ。


ここのダンジョンで充分に肉が集まったら、サロモス王都に行く予定だ。あそこは17階層より下に行けてないし、思ったより海苔を使ってしまったので、海藻を集めてまた作りたい。チャチャの為に赤海苔も買わないと。


私はバラ肉が欲しかったので、モコと一緒にオーク肉を集めに来た。


ミルフィーユ鍋にしたけど、一人少ないだけで妙に淋しい。

しばらくは仕方ないのかな…。


サロモス王都内に入っちゃったら、雪も積もっているし、なかなか外には出られないだろう。

シタールダンジョンにも行っておきたい。レッドコークの肉は美味しいからね。


シタールに行くなら、マジックポーションをたくさん作って持って行こう。あそこはヌメヌメウナギのせいでマジックポーションが常に不足しているから。

私達の分は考えなくていい。今は魔晶石も一人二つ持ってるし、寝る前に各自で魔力を保存している。私は以前の経験から三つ持っている。魔晶石の容量は分からないけど、一回分では私の場合全く足りない。

燃費が悪いな…私。魔宝石はまだ成功してないから、精密魔力操作が上手くなるように少しずつ頑張っている。


ポーションを作りながら、チャチャに料理に圧力をかける方法を教えている。

会社の仕事を教えた経験はあるけど、魔法は想像力と感覚で使っている。

「ユーリ、出来てる?」

「うーん。これだと只の煮物かな?重力魔法は使えてる?」

「分からない…対象が鍋の中の物だけなんて、難しい」

まあ、進歩はしていると思う。鍋ごとぺちゃんこにしていた事を考えれば。

私がやり直すとチャチャはじっと見て何とか覚えようとしているみたい。

「ん…凄く柔らかい」


新しくオーク肉を切って鍋に入れると、今度は私がチャチャのやり方をじっと観察した。

「もっと大胆に、だよ」

チャチャの腕を掴んでチャチャの腕を通して魔法を使うようにしてみた。

「ユーリ…それ、は、無理」

チャチャが膝をついた。うわ…魔力酔いになった?!

「ごめん!チャチャ」

これでも他人の魔力を取り込んだ事になるのか。

自分の魔力を意識してチャチャから魔力を抜き取る感覚でやってみる。

なるほど。これがチャチャの魔力か。

チャチャの魔力も取り込んでしまったけど、私には影響がないみたいだ。


その後で癒しの聖域を使ってチャチャの魔力の動きを観察する。

光の粒子がチャチャに取り込まれると、私の魔力が消えていく。


何故か、絆が強くなるような感覚。その瞬間、普段無表情なチャチャが、とてもいい笑顔をした。

チャチャの魔闘気を強くなったパスを通して覚えたみたいだ。チャチャも、…は?パッシブスキル 妄想って何?


「ユーリみたく、魔法を色々に活用するスキルだと思う」

ていうか、私の特殊スキルに妄想が増えてる!!ルーン様の創造以外にだ。

他に加護や祝福は増えてないし…何で?ていうか、種族が超人じゃなくて、野良女神になってる…野良って…本気でしくしく泣きたくなってきたよ。何故野良?野生じゃないのかな…どっちにせよ変か。

いや、女神もおかしいけどさ。…ん?超人に戻った?…でも妄想は残るんだ。


多少オタクだから想像力は逞しいけど、それは妄想なの?いや、私だけが特別じゃないよね?ちょっと想像力逞しい人がいれば、これ位は普通だよね?


「チャチャ…それはチャチャが望んだ事なんだよね?」

「そう。そして色々考えていたら、並列思考も覚えた」

うん。それは役に立つスキルだね!妄想は役に立つか分からないけど。


私のスキルはどうなっているの?…え。特殊スキルの妄想を看破したら、固有能力って出たんだけど!

いや、妄想が固有能力とかないでしょう!酷過ぎる。


恥ずかし過ぎて、眷属達にも言えないよ…


とりあえず野良女神ってのは見間違いだよね?人族は飛び越えても、…いや、飛び越えたのかどうかも分からないか…レイシアさんはどうなのかな?レベルが100を越えたら超竜人とかになったのかな?

うん。恥ずかしくて聞けないな。何それって言われたらおしまいだ。


「ユーリ、圧力鍋の魔法、出来た」

うん。凄く柔らかい。

「やったね!チャチャ」

「うん。ユーリのお陰」

それって妄想?いや、想像力でしょ!

「ど、努力の結果だよ。ほら、物理障壁とか増えてるし」

「それ…取れたの随分前だよ」

「そっ…そう」

あうぅ…。他のテイマーは、自分の従魔の能力を把握してるのが普通なのかな…私、自分の能力も把握しきれてないんだけど。


「何か…凄く眠い。ユーリの力を貰ったからかな?」

力なんて…単なる妄想じゃん。

「寝てていいよ?料理は私が仕上げておくし。ほら、影に入って」

モノクロームに戻ってしまったチャチャを影に入れて、どうやって絆が強くなったのか考えてみた。特別な事は何もしてないんだよね。


あれ?ていうかチャチャ、進化?…それもまた私のせい?いやいや。

今度はどんな姿になるのかな?



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