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16階層とモコの力

翌日は、早速モコの普段着を買いに出た。チャチャとほぼ同じ大きさなので今はチャチャの服を着てるけど、どちらかというと中性的なデザインを好むチャチャの服はモコには似合わない。

モコは気にいっているみたいだけど、モコには可愛い服が似合う。


「ねー、またボクスカートなの?」

「モコに一番似合う服を選んでるんだから、これでいいんだよ」

「じゃあせめて、ユーリもサイズ違いの同じような服を着てよ」

「私か…自分の服は、割とどうでもいいんだけどな」

「可愛い人が可愛い服を着るのは義務なんでしょ?ならユーリも可愛い服を着ないと」

「まあ…モコには負けるけど」

「ユーリも可愛いわよ!ね?」

「いや、俺に振られても困るんだけど」


テッドは女の子には興味ないもんね。服も何着ても一緒って感じだし。

進化して美しくなったモコと並んで歩いてもドキドキしたりしないのかな?

「こんなの着てテッドと歩いてたら恋人同士に思われるかも?」

やばい。萌える!

「モコは男だろう…こんなの着せてモコがナンパとかされたらどうするんだ?」

「うぅ…萌えるけど許せないかな…でも相手が美形だったら…」

「妄想を暴走させるなよ」

「ぐはっ…」

撃沈。


とりあえず普段着は手に入れた。防具はミスリルを採掘しに行かないと足りないから、ちょっと後回し。

「ブーツとマントの皮は何がいいかな?」

「ユーリ、戦い方を変えてもいいかな?ムーンには負けると思うけど、ボクも充分前衛で戦えると思うんだ」

「それは実戦を見てからだな。飛天虎のままでは強くても、人化した時にどこまでその力を出せるか。それにサポート役は必要だと思う」

「中衛のテッドが支援魔法も使う?聖魔法、上手くなるかもよ?」

「今の俺ではカバーしきれないぞ?」


「まあ、私も今までのデバフに加えて支援系も使うよ」

「ユーリはむしろもう少し下がって欲しいわ。私より前に出たらカバーしきれないのよ?」

まあ、元々私はどの位置でも戦える。一番魔力があるのも私だし。

「モコはやっぱり後衛にいて?スキル構成見るとピンチの時は動けるアサシンスタイルがいいと思うんだ」

「まあ、補助魔法で影移動を覚えたからね」

「種族特性か…面白そうな魔法だね」

「補助魔法に分類されるから、特性って訳じゃないと思う」


という事は、私もその魔法を覚えれば、影から違う影に移動できるのかな?

うーん…ショートワープがあるからあんまり必要じゃないかも。


モコの実力を見たいので、行くはずだった16階層に行く事にした。

モコは強くなってるって言うし、大丈夫だろうと判断しての事だ。


16階層の魔物は、ウォーターアナコンダ。フロアー全体に雨が降っていて、その雨をスキルとして利用できる大蛇だ。

「雨はやだよー!」

ああ…モコが影に入ってしまった。濡れるのが嫌いなのは種族が変わっても一緒らしい。


前に食べたグリーンアナコンダの肉は美味しかったので、今回も期待が持てそうだ。…モコの実力は、別の所で見ればいいかな。


雨が鋭い刃になって襲ってくるけど、発動にタイムラグがある。発動前に動いて仕留めればそんなに怖い魔物じゃない。

うちの子達は近接戦闘向きだから、あっさり仕留めてくれる。

テッドは…まあ、お陰で助かってる感じかな?覆われていない顔なんかが傷つくけど、すぐに治せる…てか、自動回復しちゃう。


落とすのは割と大振りな蛇肉だ。それか蛇皮。かなり丈夫そうだ。


うかうかしてると子供は飲み込まれてしまいそうな巨体で、力も相当ある。皮も簡単には絶ちきれない。

ミスリルの刃でさえ下手にやると刃こぼれしそうだ。


モコの実力は、見られずに終わってしまったけど、チャンスはいくらでもある。

それよりも今は蛇の照り焼きだ。

「うわ…美味しっ!」

たくさん作って良かった。まあ…一回で無くなるだろうけど。

「雨は嫌だけど、倒せばこれが食べられるんだよね?」

「まあ、別に無理しなくていいよ。それより、どこで戦う?」

「ワイバーンはどうだ?人化した時と、元の姿の両方の実力が見られる」

「うん…がんばる」

ん?…あんまり自信ないのかな?


そういう訳で聖域近くのダンジョンに帰って来た。

ここに来ると小さい頃から良く食べてたフレンチトーストが食べたくなる。

あの頃はまだパンもショッピングで買ってたな。自力で卵を採れるのが嬉しかったから、ビッグコッコに蹴爪で蹴られながらも頑張ってた。

シロップもだけど、蜂蜜が採れたのは嬉しかったな。

醤油の実はちゃんと育っている。海晶石を使った魔道具がしっかり海水を出しているお陰だ。


幾つか収穫して戻ると、ダンジョン前でみんな待っていた。

「お待たせ。行こうか」


ミスリルの採掘をしてからワイバーンの所に向かった。テッドは米だ。

やっぱり17階層より下にはまだ冒険者の姿はない。見られる心配がなくて何よりだ。


飛天虎の姿では、空を駆けながらモコも余裕でワイバーンを倒していた。

問題は人化した時。飛翔のスキルは封じられるので、魔法しか攻撃手段がない。

ホーリーはまだ覚えていない。木魔法の罠はすぐに引きちぎられる。

雷の魔法は麻痺効果が殆ど効かない。

「ここまでだな」

「やっぱり…ずっと後ろにいたのがいけなかったのかな」


それはあると思う。でもパーティーで戦ってるんだから、それぞれの役割があって当然。それでいいと思う。

「モコは、モコの役割を果たして」

「…悔しいよ、ボク」

「本気でそう思うなら、俺が色々教えられると思う」

「ムーン…お願いね。でも、無理はしないで」

モコの武器は杖と短剣だ。力押しで行くムーンとは戦い方が全く違う。


気配を完全に消すとか、影を渡るとか、暗殺者っぽい戦いができるなら、そっちで極めていけばいい。まあ…ダンジョンでは役に立たないかもしれないけど。


午後いっぱいはモコはムーンと訓練していた。


せめてモコの好きな物を作ってあげよう。カシオブツのたっぷり乗ったぶた玉と、マヨネーズをたっぷり使ったタマゴサンド。

「ユーリ…ボク、頑張るよ!」

うん。少し立ち直ったみたい。気分屋なモコだから心配はしてなかったけど、だからって放っておくのは違うからね。




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