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ダンジョンの終わりと、夢

 カレールーは、当たり前だけど無かった。そこまでご都合主義だったら逆に怖い。

 というかカレールーは買えなかった。代わりに薬草セットとしてスペシャルショッピングに売っている。

 種の状態から売っていたから買ったけど、どれをどれだけ配合したらいいかなんて知らないんだけど。

 落ち人の誰か、研究しなかったのかな?マヨネーズもソースも、ケチャップもあるんだから、料理好きな人が落ちてきたはずだ。


(痛っ!)

(大丈夫?モコ)

(花に噛まれた)


 鑑定 ポイズンフラワー  シロップフラワーが魔化したもの。


 モコに毒消しポーションを飲ませて花を切ると、小瓶を落とした。


 鑑定 シロップ 甘味料の一種


 少し手のひらに垂らして舐めてみると、確かに甘いし、香りもいい。

 あんまり見ない花だったから、レア植物なのかな?

 一般的には花の部分を煮詰めて濾すとこのシロップになるみたいだ。


 5階層最高!砂糖を買ったら液体砂糖が買えたのは、こういう訳だったんだ。

 オリゴ糖的なものなのかな。

(みんな!さっきの花を探すよ!毒には注意してね!)

(ユーリ?さっきの花はそんなに咲いていないんじゃないかしら?こういう複数種類の魔物が出る階層は、日によって割合が変わるから、また後で来たらいいじゃない?)

 そうなんだ。まあ、ここは何度も来る事になると思うけどね。

 もし花がたくさんポップする日があったら、一日中籠もっているかもしれない。


 気軽に何でも買えた地球が恋しい。ここではお菓子一つ気軽に食べられないのだ。

 料理は嫌いじゃないし、中学からは私が夕食の用意をしていたから、むしろ大体は作れる。ただここにはオーブンも電子レンジもないから、それなりの物しか作れない。

 まあ、命拾いしたのはフレイとシャンドラ様のおかげだから、もう一度人生をやり直せる事に不満はない。


 お母さんももういないし、後悔があるとすれば仕事を途中で放り出す事になった位だ。まあ、私一人居なくなった所でどうということはない。上司が使えない部下の教育に苦労するのと、私が受け持っていた顧客を誰かが担当する事になる位かな?


 六階層は、ブラックスパイダーだ。蜘蛛はちょっと苦手。まあ、台所にいる黒い奴よりはましだけど。

 大きさも私の知ってる蜘蛛よりかなり大きい。30センチ近くあるだろうか?近づきたくないので、足で踏み潰すイメージで重力魔法で潰していく。

(怖いの?大丈夫よ。ただ天井を歩いてたりもするから、気配と毒には気をつけて)

 私、見かけはこんなだけど、エメルよりずっと年上なんだけどな。

 確かに嫌だけど、大人なんだから怖がってたらだめだよね。

 ドロップアイテムの蜘蛛の糸は、かなり強力な糸だ。

 毒の小瓶は要らないかな。


 蜘蛛の糸なのに、ベタつかない。しかも素材としての質もいい。

 滑らかで触り心地もいい。

 これが布になれば、きっと色々付与も付けられるんだろうな。

 町に売ってたりしないかな?


 蜘蛛にはナイフで戦いたくない。でも魔法でばかり戦っているから、残り魔力が少なくなってきた。げ。マジックポーションがあと一本しかない。

(ユーリ?マジックポーション頂戴!)

 うん…仕方ないな。

(はい。もう帰ろう?)

(あら。ユーリも魔力切れたのね。まあ、あれだけ使っていればね)

 急いで戻ろう。モコ達にも声をかけて、なるべく戦闘にならないように後退する。


 う…辛い。と思ったら、チャチャが抱き上げてくれた。

(もう少しで階段よ!頑張って…もう。自分を優先させなきゃだめじゃない!)

 エメルは私を乗せて泳ぐ事はできても、飛ぶ事はできない。

 うん。私が飲んで、エメルは影に入れた方がよかったね。

(ごめん…あとは任せた)


 意識が落ちた。魔力が切れると気絶しちゃうんだ。知らなかったな。


 あれ…シャンドラ様が、偉そうな人達から何か言われてる…フレイみたいな妖精達にも何か説明してる。

 もしかしたらシャンドラ様って中間管理職なのかな?

 ため息ついて、どこかに行ってしまった。


 なんか親近感わくな…色々大変なんだね。

 

 あの男の子の妖精、穴を塞ぐんじゃなくて、逆に大きくしちゃっているし。

 …うわ。体が千切れた人が落ちてきたよ。妖精君は頭抱えてる。

 おお!落ちた人が生き返ったよ!ちょっとだけ若返ってる。…あれ…あの人、は…。


「んあ…?」

 目を覚ますと、自分のベッドの上だった。肩が暖かいのは、モコが丸まっているからだ。

 ちょっとまだボーッとしてる。夢の中で、懐かしくも見たくない顔を見た気がする。

 ああ…お母さんが死ぬちょっと前まで付き合ってた人だ。

 浮気して別れたくせに、私に大金が入ったと思ったのだろう。復縁を迫ってきた。

 そう。ろくでなしな人だった。そんなのとずるずる付き合ってたんだから、私も…そしてお母さんも、男運が悪い。

 結局連絡しても、線香の一本もあげに来なかったな。


(大丈夫?ユーリ)

(私…ベッドで寝た記憶ないんだけど)

(魔力が切れるとそうなるのよ。大丈夫?どこも悪くない?子供のうちの魔力切れは危険なんだから、気をつけてね)


 確かに、体の中の魔力の流れが悪くなってる。意識して動かしてやると、正常に戻った。

(ん、もう大丈夫だよ。もう夜かな?)

(そうね。待ちきれなくて、モコは寝ちゃったのね?)

 チャチャもいつもの場所で、大きめのベッドで寝ている。

 あ…スラミー達も、寝るんだ。三匹で寄り添って寝ている。初めて見た。

(ふあ…私も寝るわね。ユーリもちゃんと寝なさいね)

 ずっと寝てたからあんまり眠くないけど、朝までは寝る事にした。


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