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シタールダンジョンと、海

シタールダンジョン19階層。そこにいたのはホーングリズリーという角の生えた熊だ。

頭の角で電撃のスキルを操り、四本の腕から繰り出される攻撃は、強力無比。

(ユーリ、みんな、下がれ!)

人化を解いたムーンが相対する。呪いの魔法をかけつつ、階段まで戻る。

飛んできた黒い雷をエメルの甲羅が弾いた。


うん…これは無理だわ。多分魔法全般が効きにくい。スコルのムーンだからこそ戦える魔物だろう。

一匹倒したムーンがドロップアイテムの毛皮を拾い、戻ってくる。

(テッド、超強い熊だった。戻るね)


一旦亜空間に戻る。


鑑定 ホーングリズリーの毛皮 強度と魔法耐性に優れる


やっぱりか。呪いも少しは効いたと思うけど、弱体化した様子はなかった。

「ムーンだからこそ倒せた相手か」

「ダンジョンて、元々人を殺す為に誘い込んでいるんだから、油断しちゃだめなんだよ」

「…お前がそれ言うか?」

「スーパー代わりにしてる自覚はあるけど、無茶はしないよ」

だって仕方ないじゃん?小さい頃は食料品を手に入れるのも大変だったんだから。


「とにかくしばらくは様子見かな?近づけない、魔法も効かないじゃ仕方ないよ」

サイクロプスはリベンジしたいけど。てか、サイクロプスは単体で出たし、ボスっぽかった。なのにホーングリズリーは迷路にいた。

複数は見てないけど、ボスって感じじゃなかった。

シタールダンジョンは、なかなかいいダンジョンだったな。何といっても鰻だ。


「まあ、鰻でも狩って帰ろうよ」

何とも中途半端な時間だけど、ここのダンジョンはみんな引き返すのが早い。

単純にバッグの容量の問題だと思うけど…あとは魔力切れかな?

他人の魔力量は数値で見られないから、私がどれ位多いかは分からない。

収納庫の容量で測ろうにも、時空属性持ちは数が少ないし。


でも夕方の今、魔法で倒している人は少ない。ダンジョンでは魔力回復が遅いし、マジックポーションも只ではない。

ラノベみたく、魔力切れを起こしたら魔力量が増える事もないし…てか、魔力切れは危険だし。

休憩を入れてもうひと狩りだろうか?戦士系の人達は元気なのに、ローブを纏った人は可哀想な位青ざめている。

「ちゃんと休憩挟んでやったんだから、しっかり働けよ?」

「うう…」


私達のすぐ後に入って来た人達だけど、何だか心配な人達だ。

案の定、魔法一回で立てなくなっている。

「そんな魔力量で魔法使い名乗れるのか?前の奴は一度の休憩で最後まで乗り切ったぞ?」

「もう二回も休憩入れてるんだからな!」

ブラック企業か!

「あの!マジックポーション使いますか?」

「ああ?要らねーよ!分け前が減るだろうが…ああ。こいつに払わせればいいのか」

「そんな…」


「ユーリ、俺達の側から離れるな」

ひょい、と担がれて元の位置に運ばれた。魔法が必要な階層に来なければいいのに。

どこにでもこういうのはあるんだな。あの魔法使いの人はすぐにパーティーを抜けそうだ。


ほんの数時間だけどそれなりに採れた。

「ユーリ、白焼きにして」

チャチャはワサビで食べるつもりなんだな。まあいいけど、またワサビを採りに行かないと。

繁殖力が強いから、間引いて採ってもすぐ増える。…私はちょっとしか要らないけど。

カレー、研究してみようかな?チャチャが味見すれば好みの味に出来るだろう。


夕ご飯は鰻だ。白焼きもあるけど、タレもある。私はタレの方が好きだな。

「ねえこの鰻、ピザに乗せても美味しそうだよね?」

「そうだね…折角だから、それぞれ好きな具材を乗せて焼いてみようか?」

「賛成ー!ベーコンはまだある?」

「無ければ作ればいいよ。バラ肉はまだあったから、燻製にすればいいんだよ」

「フルーツを乗せるのもいいわよね?」

「キムチ」

「俺は無難にチーズだな」

ピザパーティーだね!私はやっぱり海鮮かな?槍イカを採ってきてもいいな。

あとはバブルフィッシュも美味しそう!


明日は海に潜るのもいいな。蟹も欲しいし。


予想通り、テッドも海に潜りたいと言い出したので、ワンピースの下を半ズボンに改造した物を渡した。前の部分を切ってボタン留めできるようにしたから着られるはずだ。

「身体に結界を纏うイメージだよ?あと、パンツは脱いでね。海で脱げたら流されちゃうから」

「おー…用意しといてくれたのかあり合わせだけど、助かる」

「モコが作ってくれたんだよ。モコ、女子力高いから」

「へえ。とりあえずやってみる」


亜空間から戻って来たテッドを見て思わず吹き出した。モコ用のお古のワンピースだから大きめだし、フリルがそのまま残ってる。

「笑うなよ!…何とか服の上から纏えないか試したけど無理だったな。けど、更に呼吸補助の魔法も使わなきゃならないんだろ?」

「それは仕方ないよ。…そうだね。右手と左手を使い分ける感じ?」

感覚でやってる事を人に教えるのは難しい。でも身体に結界を纏うのは出来たんだし。あとは念のためにエメルにも手伝ってもらおうかな?

「とりあえずやってみる…何とかするから先に行ってろよ」

「エメルにも来てもらうね?」

「出来なかった時の保険か?…まあ、仕方ないな」


久しぶりの海は楽しい!早速蟹も見つけた。…あ、二つ同時じゃないや。獲物を見つけたら、仕留めなきゃ…まあ、エメルもいるし、何とかなるでしょう。

(ユーリ?何とか潜れ…ぐっ!)

ええっ?!まさか、念話を使ったから?

(大丈夫?)

(な…何とか。器用だな。ユーリは)


(テッド君は大丈夫よ!しばらく練習が必要そうね)

(ありがとう、エメル)


獲物を狩る効率を考えたらシールドトータスのエメルには敵わない。けど、私も久しぶりの海を堪能したい。

イソギンチャクは、ダンジョンにいる方が狂暴だな。

片手槍で簡単に仕留めながら、逃げていく海老に罠をかける。


ハサミで切られたけど、もたもたしているうちに仕留めた。

1メートル位の大海老だ。前にも食べたけど、身が甘くて美味しかった。


槍イカは、えんぺらの先に槍が付いている。良くみるとイカの骨?が発達したみたいだ。

海でも採れるけど、イカはダンジョンの方がいいね。

骨!…えええ。ボーンフィッシュは普通に海で泳いでいるんだ。

アンデットは死んでいるんだから動かないで欲しいよね!

聖魔法で倒して魔石だけ頂くのさ。


結構泳いでいるけどまだマグロは見た事がない。エメルはどこで採ってきたんだろう?カマトロ食べたい。


うわ!鮫だ!

慌てて剣を出して構える。やっぱり海の中では分が悪いな。

噛まれても、結界を張っているから全然平気だ。

どうにか倒して、考えた。鮫って食べられるんだっけ?鑑定には特に書いてない。分かんないけど、フカヒレとか?…高級食材は

分かんないや。

まあ、魔石はあるだろうし、テッドに聞いてみよう。


ダンジョンで槍イカをもっと採ってきて、シーフードピザを作るぞ!


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