表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
179/226

羊料理と錬金術

錬金術店を最後にまわり、本日の買い物は終了。

羊肉の料理はあまり知らないので、地元で味わう事にした。

店内を見ると、骨付きの羊肉を豪快に食べながら、エールを飲んでいる人が多かった。

「いいな。ラムチョップ。俺達も食べようぜ!」


私はこのトマト煮込みにしよう。

「ムーン、エメル、お酒はどうする?」

「エールか…外だし、たまには飲むか」

「私も!」

実はエメル、結構飲む。コーベットで売られだした蜂蜜酒がお気に入りだ。


この世界は子供でもお酒を飲む。いや、上の世界でも国によって違ってたっけ。

元日本人としては何となく飲めない。というか、そもそも子供の舌には合わない。エールは苦いのだ。

「か…!!」


涙が出る。スパイシーなトマト煮込みだった。

「ムーン…お願い」

辛さに注意とか、メニューに書いてくれればいいのに、不親切だ。

私が辛いのを大好きになったのはいつ頃だったかな?確か高校生位。

味覚まで幼児退行したのは悲しい。


チャチャがトマト煮込みを顔色一つ変えずに食べていたので驚いた。

「チャチャは辛いの平気なの?」

「ん…割と好き」

知らなかった。

シェアして食べたラムチョップやステーキはとても美味しかった。

前に食べたジンギスカンも美味しかったけど、これもまた食べたいな。


陽気になってふらつくエメルをムーンが支え、町の外に出る。

ムーンは酔っても変わらない。ほんのり気分は高揚すると言っているが、魔物が出ても変わらず戦えるだろう。

「あ…まずい!」

ユーリは咄嗟にエメルを影に入れた。中でエメルが元に戻るのが分かった。

今日は普通のワンピースだったから、破けちゃったな。

うん…でも誰にも見られてない。良かった。


「外での飲酒は危険だな」

「うん…あんまりいいお酒じゃなかったとか?」

「む…確かにコーベットやリロルの酒より質は悪い気がするな」

「ムーンは平気?」

「問題ない。進化してから色々耐性が上がっている気がする。多分聖属性にも」

「そういえばそんな事言ってたね。…んー。特に新しいスキルは増えてないみたいだけど…あれ!でもフレイの祝福が消えているよ!」

「む…だから皆が亜空間を覚えたのに俺は覚えられないのか」


念のために他のみんなの祝福も見たけど、ちゃんと付いていた。

「まあ、フレイだからね」

「多分適性もないのだろう。収納庫まで覚えられたのは良かった。それに祝福がなくとも、魔法を使って努力すればいいだけだ」

「そうだね」

私は大分前から祝福は消えていた。ただ、魔法神の加護があったので、そんなに影響は無かったのかもしれない。

フレイの事だから自分で祝福を取り下げた訳じゃないと思う。フレイはどこまで行ってもフレイなんだな…。

まあ、他のみんなの祝福が付いているって事はフレイは元気でやっているのだろう。


シールドトータスに戻ってしまったエメルを寝かせて、モチにもラムチョップのお土産をあげた。

「ちょっと香辛料がきつかったな」

「私の味に慣れちゃうと、薄めの味の方が良くなるね」

「ユーリのご飯の方がいいな、ボク達は」

「モコ達は魔力の味まで分かるからね…私には分からないけど」


「地方によっても味の傾向は変わるからな。内陸部の方だと塩が高価になってくるし。岩塩が取れたりすると違うけど」

「商人が馬車で運ぶしかないってなると、そうなるよね」

せめて鉄道でもあれば違うと思う。燃焼石の力で作れないのかな?

「魔道具で電車を作れないかな?」

む。似たような事考えてる。

「魔道具では無理だよ。物凄く質のいい魔石か、魔晶石…でも持つかどうか」


「だよな。魔晶石は簡単には作れないだろうし、それさえ消耗品になったらもうどうしたらいいか分からない」

「難しいよ?熟練の錬金術師でも難しいんだから」

奇跡の一個は作れたけど。

魔力タンクに使う予定だし、売るつもりもない。

それこそ子供が作れるような物じゃない。


多分、鍵になってくるのは精密魔力操作かな。指輪の助けにばかり頼れない。

もっと普段から気をつけて魔法を使うようにしよう。


今日は魔道具作りをしようと思う。

「という訳なんだけど、みんなはどうする?」

「俺、稲刈り!」

「俺は…釣りがいいな」

「ならボクはテッドと一緒に行くよ」

「私、久しぶりに海に行くわ。少し頭を冷やしたい気分なの」

「私も米。いい?」

「ああ!今日こそはモチゴメを見てみたいしな!」


みんなを見送って、ユーリはモチソファーに寝転んだ。

どうしようかな…髪はドライで乾いてしまうけど、巻いたりは出来ない。

というか、ケアする方が先かな?シャンプーはあるけど、洗った後で軋む。

保湿といえばヌメヌメウナギの液かな…あっ!

うっかり瓶を落としてしまった。すぐにモチが綺麗にしてくれる。

「クリーン使うから、大丈夫だよ?」

ウナギ成分だから食べられない事はないと思うけど、美味しいとも思えない。


「成分、分析、生成」

あ…そういえば、薬液として精製出来るんだっけ。

「そうだよね…モチはポーションも作れるんだもんね。ヌメヌメは?」


モチは、空のお皿に液体を吐き出す。鑑定すると、ヌメヌメ液だ。

「ポーションだけじゃなかったんだね?…もしかして前に舐めてた毒も?」

おお…。まあ、毒は要らないけどね?でも材料要らずで作れるんだから、凄い。

「じゃあモチ、これからマジックポーションはこの甘い方ね!」

トレントの実から作ったマジックポーションだ。


これを瓶に詰めて…えへへ。これで苦い思いをしなくて済む。まあ、最近は滅多に魔力不足に陥る事もなくなった。


ショッピングで買っても髪が軋むから、そういう成分の物が出回っているのだろう。

流石に何がいいかは分からないし、大概クリーンで済ませちゃうけど、上手く行けば世の女性達の為になるはずだ。

髪に良さそうな物を幾つかに分けて入れて、あとは実験するしかない。


オリーブ油に昆布、蜂蜜…香りも付けたいな。香りといえば、カシオブツの香りをさせている人もいたな。

ハーブならまだ分かるけど、カシオブツは…モコに食べられそう。

そういうのは大概体臭を誤魔化す為だけど、錬金術の薬の中には匂い消しの薬もある。

鼻の利く魔物にも有効だから、本当に匂いが消えるのだろう。私も作った事がある。


魔晶石も…よし。出来た。何かコツを掴んだ気がする。

うん…出来たけど、かなり神経使ったから疲れた。

ひんやりのモチが素晴らしく気持ちいい。目を閉じると、ストンと眠りに落ちてしまった。


気配に目を覚ますと、みんな次々に亜空間に帰ってきた。エメルは…まだ海かな?

「なんだ。寝てたのか?見てくれよこれ、噂のモチゴメだぜ!巨大な稲にイナゴが襲いかかっていて、驚いたな」

「そうだね…ふぁ…」

「全く…って、え?これ、魔晶石か?」

「うん。出来た。今日は二個も作れたよ。綺麗に融合するように、神経をすり減らして…疲れた」

「お…おう。すげーな」


「ユーリは休んでて」

「ボクも手伝うよ!チャチャ」

二人に甘えてもう少しゆっくりする事にした。

ムーンの今日の釣果は…サバ一匹と海藻、大アサリ?

「何故か草ばかりがかかってな。ならばと罠を仕掛けてアサリを集めた」

「ありがとう、ムーン」

砂抜き中のアサリは生きているので収納庫に入れる事が出来ない。バケツにたっぷりと入っている。

「明日の味噌汁でいい?」

「ああ。楽しみだ」

海藻も、選別すれば食べられるのもある。こっちはサラダにでもしよう。


エメルは今日は帰って来ないかもしれないな。服を破いてしまった事を結構気にしていたし、居場所はかなり遠そうだ。

きっと大物狙いだな。それで気が晴れればいいんだけど。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ