テッドと米
タケノコと戦って、テッドも随分怪我しないようになってきた。見切りスキルのお陰だろう。
「そろそろ16階層に行きたいな」
まあ、テッドも加護持ちだから、石化はしないだろう。
「なら、ゴーレムに挑戦してみる?」
「罠の可能性もあるんだよな?」
「そうだけど…団体さんと戦う気はある?」
「も…勿論手伝ってくれるんだよな?」
「最低限は守るけど、頼り過ぎないで?大半は魔法でやっつけられると思うけど」
そうして、使う魔法も指示しない。
ストーンゴーレム戦は、出来るだけテッドの魔法でやらせる。
頭を狙った攻撃で、ストーンゴーレムは倒された。
ラッキー?魔法石がちゃんとある。
「罠部屋には当たらなかったな」
「余分な魔力を使わなくてラッキーだったね」
バジリスクは、石化さえ対策できていればそう心配するような魔物じゃない。
「これじゃ、私達の方が足手まとい」
「そんな事は気にしないで、チャチャ」
私達だって、加護がなかったら石化されていたと思うし。
多重思考のお陰で眷属達が同時に石化されても即時に同時に治してあげられる。
間に合わなくても今の私なら部位欠損も治してあげられる。
蘇生はまだ出来ないけど、モコのお陰でそろそろかな?と思う。
暗黒魔法、重力魔法に関しては、まだ先がありそうだ。
死をもたらす呪文、デスは使い所が難しい。実力が離れ過ぎていると効果がないのだ。
弱い魔物に使っても魔力の無駄使いだし。
強制的に魔物を従わせるギアスも、恐らくは精神の値が関係してる。
因みに人を隷属させるスキルとは全くの別物だ。
ギアスはダンジョンの魔物には無効というのも分かった。
一階層のビッグコッコにも効かない。外の魔物には普通に効いた。そうしておいて、同士討ちもさせる事が出来る。
テイムと違って心を繋げる訳でもないし、魔法を解けば普通の魔物と変わりない。
バジリスクの階層を抜けたら次はシャケだ。ここはエメルに乗せてもらう。
「おおお…!!遂に来たぞ!米!」
テッドのテンションがちょっとおかしい。夢中で稲を刈りまくっている。そうしながらイナゴが襲ってきたら、見もしないで魔法を当ててやっつけている。
「…邪魔しちゃ悪いかしら?」
「そうかもね。コーベットで買える米と同じ物なのにね」
まるで欠食児童だ。…まあでも、私も初めてこの階層に来た時は似たような物だった。
米はかなり消費するし、いくらあっても困る物じゃない。
私の収納庫もかなり物が増えたけど、まだまだ底が見えない。
本当に亜空間と収納庫の大きさが同じなら、底が見えないのは分かる気がする。
眷属達の中でムーンだけがまだ亜空間を覚えられていない。
テッドの収納庫はかなり広いみたいだし、きっと亜空間も広いだろう。
「今日は俺が収穫した米を食ってくれ!」
「農家魂に火がついた?」
「そんなんねーって。やっと、ダンジョンの米を収穫できたんだ」
「なら、精米までやってよ。おかずを作るから。何がいい?」
「卵かけご飯だな。一番シンプルで飯が美味い」
同感だけど、ムーン達には肉がないとね。
圧力をかけてオーク肉の角煮だ。
「凄いね!口の中で溶けちゃうよ」
「重力魔法だよ。残念ながらみんなに適性はないね」
時空魔法に重力魔法。どちらも料理には欠かせない。
「そうやってちょくちょく使っているから熟練度も上がるのか」
「魔法は生活を便利にする物だからね。テッドも米を拾うのに範囲指定使ってたでしょ?」
「前に話しは聞いていたからな。でも実戦で使ってこその魔法じゃないのか?」
「それだけじゃ、勿体ないよ」
何気なく自分のステータスを確認してて、驚いた。スキル管理者のエレノスさんが加護をくれたみたい。
怒った感じだったけど、アオさんの言うように気に入られたみたいだ。
加護の効果はスキル上昇しやすくなる。
スキルに熟練度があるのは分かっていたけど、それが上昇しやすくなるなら、頑張ればオリハルコンの錬成もしやすくなる?
それと魔晶石だ。みんなの分欲しいし、それの上を行く魔宝石にも挑戦してみたい。
夢が広がるね!本で読んだけど、魔宝石を使った転移魔術具では界を越えて人を呼び出す事も出来るらしい。
だとしたら、逆も可能なのではないだろうか?界を越えて上の世界へ…でも、帰っても何もない。お母さんは死んじゃったし、籍だって残っていない。
今生きている世界はここだし、眷属達は魔物。家族を置いて違う世界に行くなんて考えられない。
知りたい事は多々あるけど、気軽に行き来は出来ない。
落ち人でないと界の妖精の加護は付かないし、無駄な実験だったんじゃないかと思う。
あとは作者不明の結界の魔術具は、機能している唯一の魔術具で、街一つを丸々魔物から守っているとか。
まあ、そんな凄い物でなくても、魔宝石自体が凄い物らしいから、鑑定してみたい。
スキルの件でお世話になったのに、お礼も言えてなかったんだな。
神様に管理者、四神獣。色々いて複雑だけど、それぞれに役目があるんだろう。
「ユーリ、誕生日は戻って来いって言われてた事、覚えてるよな?」
「うん。分かってる」
丁度野菜も仕入れたいと思っていたから、送りがてら買い物もしよう。




