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卒業

学校最後の生活は、テストと復習。要するに出来ない所を徹底的にやり直す。とはいえ、戦闘技術は先生以上。魔法もだ。

ユーリにとっては物足りない。ので、許可を取って、レイシアさんに技術を習う事になった。テッドもだ。

モコは魔法には問題ないが短剣の扱いを指導してもらう。


テッドのメイン武器は暗器。レイシアさんは多少使える程度なので、テッドに教える事はできなくなった。

近接武器として使う片手剣を教わる。


私の双剣もレイシアさんの剣とは違うけど、まだまだ習う所は多々ある。

私の双剣は刃が薄い。レイシアさんの剣もそうだ。

ミスリルだから折れる事はないけど、通常の叩き切る動きとは全然違う。


元々のブレードディアの角は突く事に特化していたけど、鍛冶魔法で形を変えたのだ。

お陰で反りが凄い剣になってしまったけど、今の私には一番使い易い形だ。


学校を卒業したらレイシアさんに教わる機会もなくなるのだろう。

テッドの護衛だけが仕事じゃないし、今後についてはどうなるか分からない。家を継ぐ立場にないとはいえ、伯爵の子供だし。


亜空間移動があるんだから、旅に出ても会えなくなる訳じゃない。

ていうか、テッドが好きそうな料理は料理人に幾つか教えたんだから、別に私いなくても美味しいの食べられるじゃん?

ミノタウロスは、レイシアさんとシーナさんに頼めば狩ってくれるし。


卒業式、なんて物はないので、先生が最後の授業で話をすれば終わりだ。

進学も勧められたけど、冒険者になって旅をしてみたい。

テッドは二年間の猶予を貰っていた。確かに中学二年間、高校三年間と考えると、成人までに卒業できる。

結局テッドは、私との差が開くのが面白くないんだよね。

この負けず嫌いな性格は、どうしようもないね。案外二年経っても屁理屈こねて学校に行かなそうだ。


付いてくるのはテッド一人。一応護衛という形で依頼も受けてるけど、私達を全面的に信頼しているんだろうな。

エメルの守りの技術は凄いし、ムーンの力も知っている。

あとはまた井戸の魔道具の依頼も受けた。今の所、米を出荷する割合が高く、価格も高騰し続けていて、代わりに小麦を他の地域から買った方がかなり儲かるようだ。

リロルに余っている土地はないけど、トトスでも稲作を始めるつもりらしい。


米の普及は嬉しい。ダンジョン産の米が流通するのが難しいとなると、田んぼで作るしかないから、手伝うのは勿論快く引き受けた。


数が多いので結構大変…なのでテッドにも手伝ってもらった。

「錬金術って意外と大変だな。実はさ、エンジンの出力が上がらなくて悩んでるんだけど」

「重さがどれだけになっているか分からないけど、通常の魔石だとそう大きな力は出せないんじゃないかな?魔晶石を作るとか」

「あー…因みにユーリは」

「作れない。みんなの魔力タンクに欲しいんだけど、難しい」

「熟練の錬金術師に頼むか」

「そんなお金あるの?さすがに趣味に親のお金を頼ったらだめだよ?」


「くっ…正論が耳に痛い。でも、普及すれば馬が要らなくなるぜ?先行投資って考えれば」

「魔晶石が必要になるとしたら、まず普及は無理だね」

テッドは大きくため息をついた。

「まずは軽量化だけど、ミスリルなんかで作ったら、盗んで下さいって言ってるような物だよね。プラスチックは…石油がないからダメか」

「大型の魔物もいるから、化石とかありそうなんだけどな」

「アオさんがないっていうんだからないんじゃない?」

「まあ、強度も足りないしな。環境破壊もしたくないし、まあ…色々考えてみるよ」


「諦めるって選択肢はないの?ていうか、今の体に合わせて作ったら、乗れる頃にはバイクが小さくなるんじゃ?」

「何言ってるんだ。そのままの大きさで作るよ」

「じゃあ、大人になるまで乗らないの?」

「それは嫌だな…まあ、ちゃんと出来るようになるまで作れないし、問題解決までお預けかな」


テッドにも透明化の補助魔法を取れるように教えてあげるか。

補助魔法はいいけど、テッドにはマップの情報がないんだよね。

最初はそんな物より常識って思ってたけど、結構便利に使えてる。


という訳で教えたけど。

「凄い想像力だな。もはや妄想」

「ぐはっ!」

撃沈。

「まあ、便利そうだな。マップが無くても索敵で魔物の情報が分かれば便利だし…何落ち込んでいるんだ?」

「んー…何でもないよー…」

自覚はしていても、他人に言われると結構ショックなのさ。


「隼の情報が正確に分かるのはいいな。ユーリは覚えてないだろ?」

「いや…車種とか見分けつかないから」

「まあ…それでも6年前の形だよな。あー、そのショッピングでバイクの雑誌が買えればいいのにな」

無茶苦茶だ。印刷技術だってないし、写真なんて載るわけないんだから。

「時空魔法って界を越えたり出来ないのかな?」

「出来たら大問題だろ。神様位だろ」

シャンドラ様は出来そうだな。


そんな事が出来ないように管理してるともいえるのか。

神様、管理者、四神獣。一番偉いのは神様だろう。管理者の下で働いている妖精は…フレイは、元気かな。界の妖精に戻れたのかな。

どんな修行をしているか分からないけど、時空魔法の力が上がるなら私もやってみたいな。


「なあ、この扉の向こうはまだコーベットなんだろ?どうせならダンジョンにして欲しいな」

「作るの飽きた?まあ、モコ達は亜空間を通して私の亜空間に来られるからどこでもいいんだけど」

「なら、王都もか?」

「…!う…まあ、行けるけど、私は外にでないよ?」

「一応さ、考えが変わったか訊きたいと思ったけど、いいや。俺がディスペル覚えてからで」

「ごめんね?」

「いや。でも一生王都に近づかないつもりか?」

「それも負けた気がするから嫌なんだけどね。てか、王都の図書館とか魔道具店とかは行ってみたいな」


「そういえば、水晶石を使った魔道具。無限に水が出てくる水袋。あれを見かけるようになったな」

「それね。どうせなら蛍石もかけ合わせて浄水が出るようにしたいよね」

「普通の水より旨いのか?」

「その水で作るポーションは品質が上がるんだけど、それなら壺にした方が使えるかな?」

「けど、それはそもそも錬金術師しか使わないし、自分で作ってるんじゃないか?」

「水晶石が結構出回ったからね。まあ、作るけどさ」

もし仕事で何日も亜空間に入れない時、それがあればモチが安心だし。

影の中なら水も必要ないけど、可哀想だし。


「場所、シタールダンジョンでいい?まだ途中なんだよね」

「俺も攻略したい!気分転換にもいいだろ?」


「なら、私がテッドの護衛だね」

「いらねー…って訳にもいかないのか。仕事だしな」

「そういう事。夕方までね」


シタールダンジョンも久しぶりだ。テッドがいるから一階層からだけど、まあいいや。






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