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シタールダンジョンと、遅刻

今日はテッド達と別れてシタールのダンジョンに来た。攻略したいのもだけど、川魚の在庫が切れたのだ。

釣りをしても多少は釣れるけど、ダンジョンに来た方が手っ取り早い。


5階層で目的の魚をたくさん集めて、階段を下る。

ブラックウルフだ。ウルフの上位種で、素早さも攻撃力も勝る。

だけど、森にもたまにいるから初見の魔物じゃない。

「ガウッ!」

ふふん、威圧なんて効かないよ。それにしても、もう6階層なのに、そんなに強い魔物出てこないな。

やっぱりダンジョンによって色々あるんだな。


7階層はビックボアか。ドロップアイテムは肉かな?

突進してくるのを避けてすれ違いざまに斬りつける。

うーん、毛皮か。でもモコが倒したのは肉になった。

ん?牙が出る事もあるのか。まあ、多少は役に立つけど。


8階層はブラッククロウ。羽をもらったけど、集めてモコの玩具にする位しかないな。…でもその割には冒険者の数が多い。

あれ…採掘ポイントがあるんだ。

「すみません、ここでは何が採れるんですか?」

「子供?!…ど、銅だよ。買い取りは安いから、そんなに並んでないけど…採掘するの?」

ユーリは頷いて、後ろに並んだ。


他の冒険者はスリングで石をぶつけて追い払ったり、やっつけたりしている。

採掘をしている人のすぐ後ろの人が前にいる人が狙われるのも防いでいるみたいだ。

私も足下の石を拾って都度、投げつける。私は絶対に外さないから、他の人がびっくりしている。

(こんな所で魔力使ってたら勿体ないからね)

(銅は、何に使うの?)

(井戸にも使えるけど、やっぱり調理器具かな。銅は熱電導率がいいから、フライパンとか鍋を作りたいんだ。ただ、そのままだと中毒を起こす危険があるから表面にミスリルコーティングするつもり)


(?)

(チャチャも多分、使ってみれば分かると思うんだ)

(でも、ここで採掘できるなら、シタールに売っているんじゃないかしら?)

確かに。まあ…いいや。せっかく並んでいるし。


まあ、フライパンと鍋を作れる位には採掘しようかな?コーベットでも普通に銅は使っていたからちゃんと流通はしているんだろう。

バッグに入れるふりして収納庫にしまっておく。


適度に採掘して、次に譲った。途中離れていたムーンが、階段を見つけておいてくれたみたいだ。

「ありがとう、ムーン」

「5階層とここで大分時間を取ってしまったから、覗くだけだな」

「うん。残念」


9階層はビックラクーンだ。まあ、何を貰えるかは次のお楽しみにしよう。

狸肉かな?そういえば狸肉はしばらく食べてなかったな。


ダンジョンを出ると、冒険者達は、みんなシタールの方に歩いていくか、近くにテントを張っている人もいる。

ずいぶん中にいたみたいだ。という事は、人があんまりいなかった毒々ダンジョンよりは先に期待が持てる。

家近くのダンジョンにまだ人が少ないのは、山越えの時点で躓く冒険者も多いからだろう。


実際、ギルドカードが何枚も持ち込まれているみたいだし。

それでも自己責任だけど。ミノタウロスやオーガから逃げ切るのは難しいんだから。


丁度視界を遮りそうな木があったので、亜空間移動する。

いつもの場所で入り口を開いた状態で固定させる。

「あ、やっと帰って来たな」

テッドがホーンラビットを解体していた。

「先にお風呂に入っていいかしら?」

「どうぞ。待たせてごめんなさい。テッドも後はやっておくからいいよ?」


ホーンラビットか。せっかくだから夕飯の一品にしよう。

解体もまだ始めたばかりだったみたいなので、残りをさっさとやってしまおう。


「うさぎ美味しい 丸焼き こぶな美味しい 甘露煮」

「…お前、その替え歌はどうかと思うぞ」

「あれ?口に出てた」

因みにふるさとの替え歌だ。

「…やっぱり解体も慣れだな。俺もそれなりにはやってきたんだけど」


「練習あるのみだね。汁物と焼くの、どっちがいい?」

「一匹しかないし、汁物で」

丁度解体も終わったので、テッドは亜空間に入って行った。

皮はあとでモチになめしてもらおう。


銅の錬成は、魔鉄より簡単に感じた。まずはフライパンだよね。

もしかすると私には中毒の危険はないかもしれないけど、他のみんなは無効じゃないから、薄くミスリルコーティングする。

全部ミスリルで作ってもいいんだけど、あんまり軽すぎても使いにくい。


うーん、やっぱり足りないな。買い取り額は安いって言ってたから買ってもそんなに高くはないだろう。

魔物も弱いからそんなに強い冒険者が行く必要もないし。

採掘しないで次は狸だな。


再びシタールダンジョン。ビックラクーンとは戦った事はなかったな。

初見の魔物は油断せずに。


素早さはそうでもないけど、爪の一撃が重いな。けど、双剣の性能もいいから容易に刃が通る。

まだ魔法を使うような魔物じゃない。モコも短剣に持ち変えて戦っている。

ドロップアイテムは、肉か爪。長いしそれなりに硬いから使い道ありそうだな。


よし!次はボス戦だ。

え…ボスがオークなの?一匹だけハイオークが混じっているけど。

なら、ちょっと実験。モチの技、超音波ブレードを試してみる。

おー、さすがに切れ味がいい。


こんな攻撃力を持つなら戦いに…ダメか。モチには防御力がないし、素早さもない。メタルなんだから、素早くてもいいのに。


オークだからやっぱりバラ肉だった。そういえば、そろそろベーコンも作っておかないとな。


11階層は、フォレストキャット。猫系魔物はモコ以外で初めて見たな。

素早さとジャンプ力に優れているみたいだ。長い尻尾も使って拘束してくる。

簡単には捕まらないよ!見切りがあるから避けられる。

ドロップアイテムは皮か。使い道は後で考えよう。


12階層は、どういう仕組みか分からないけど、雨が降っている。

あー…昔懐かしのカエルか。でもあの時のゴムはまだ残っているんだよね。

あの時は強く感じたけど、今では雑魚だ。ゴムは売却決定だな。


階段がなかなか見つからない。もう夕飯の時間も迫っているし、取り敢えず帰ろう。

さすがに二日連続で遅くなるのは申し訳ないからね。


うわ…陽が落ちてるよ。待たせちゃってるな。


亜空間移動で急いで戻ったら、シーナさん達が串焼きを作って待っててくれた。

「遅くなってごめんなさい」

「気にしないでいいのよ?冒険者時代を思い出して楽しかったわ。テッドにも解体や料理を教えられたし」

「まあ、俺の収納庫にもパンとか入っているし。…本当は俺が亜空間を覚えればユーリも気兼ねなく好きな事をやれるんだろうな」


「そうよ。魔法神様の加護を頂いているんだから頑張りなさい?」

「うわ、薮蛇だ」


怒られるかもと思ったけど、杞憂だったみたいだ。

レイシアさんもいるし、この辺の魔物にはやられようもないから、余裕で待てたのだろう。




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