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ダンジョン27階層

チャチャのように、私も真似して剣に魔力を集める。魔法を使う時とはまた違う感覚で、刃に魔力を乗せ、キラースパイダーに振るう。

「うわ?!」

何だ!今のゲームっぽい技は!

ステータスを確認すると、スキルに魔刃術が増えていた。

剣からビームが飛んで行くなんて、本当にゲームっぽい。そして、目の前にいたキラースパイダーをあっさり倒した。

何度も練習して、振る瞬間だけに魔力を乗せると、魔力の消費も押さえられるようになった。


魔法は効きにくいはずなのに、これはまた別みたいだ。

貫通はしないから、ホーリーと使い分けて階段を探す。

最初の頃の階層よりも今は、二割位広がっている。一階一階は大した事ないけど、ワイバーンのいた25階層なんかは仕切りがない分、だだっ広く感じた。


やっとの事で階段を見付けた。

「えっ…?」

まるでボス部屋のように後ろの扉が閉まった。天井から絶えず水が流れ込み、巨大なイカ、キラークラーケンに降り注ぐ。

「モコ!」

支援魔法をかけていたモコに、脚の一本が巻き付く。

伸ばしたダークソードで脚を切る。モコが抜け出して、私達の後ろにまわる。


切れた脚は切れた所からまた伸びてきた。

たくさんある脚で、絶えず攻撃を仕掛けてくる。

ムーンと合図しあって、ホーリーとソルレーザーを頭の辺りに叩き込んだ。

ああ…巨大イカが消えていく…。


と、思ったら、切ったイカゲソは残っていた。勿論即回収。

そして、ドロップアイテムは宝箱に入っている。うん、ここはボス部屋で間違いないね。

中に入っていたのは、スキル珠だ。役に立つスキルだといいな。


鑑定 補助魔法のスキル珠


(確か、ムーンだけは補助魔法覚えていたよね?)

(ああ…だが、未だに何一つ使えない)

補助魔法の覚え方は特殊だからね。

(じゃあ、欲しい人!)

三人の視線が交わる。まあ…私が魔法神様に作って頂いた魔法以外はみんな微妙だし。


てか、みんな私が決めてって目で見てくる。

うん…なら、モコにしようかな?何か戦闘で役に立ちそうな魔法が覚えられれば活躍の場も出てくると思う。

(じゃあ、モコね?)

(ボク?…何も覚えられなくても、怒らないでね?)

怒る訳ないじゃん。

(ムーンにも怒ってないでしょ?モコはサポート担当だから、何か役に立つ魔法が覚えられたらラッキー位に思っているよ)


生活に不便を感じないと、案外覚えられないものなのかもしれない。

一応、ムーンには図書館で補助魔法の種類と効果は見せたけど、本気で欲しいと思う事が条件なのかも。

ウエアとかは覚えてもいい気がするんだけどな…人に見られる所で魔物に戻ったりしないからそれほど必要と思ってないふしがある。

そうして、羞恥心もないから余計だ。私がムーンの裸を見るのが恥ずかしいだけで、スコルの時は当然何も着てないし、人の姿はあくまでも仮の姿。そして他のみんなの姿は私が見ても恥ずかしがらないから、ムーンからすれば不思議なだけなのだろう。


(ムーン…出来ればウエアの習得には努力して欲しいな)

(そう言われても…どう努力すればいいのか)

(ボクもウエアを習得した方がいいよね?)

(別に、モコの裸は恥ずかしくないからどっちでもいいよ)

(俺だけ、なんだな…)

ムーンが微妙に落ち込んでいる。

せめて恥ずかしいって気持ちだけでも覚えてくれたらな…

まあ、服を着る魔物なんていないから仕方ないのかな。


それにしても、切り離せば消えないなんて、初めて…あ。そういえば、トレントの実が生っているのを取ってから倒しても消えなかった。

それと同じ事だったのか…次からは気を付ける!

まあ、3メートル越えのイカゲソだから、食べがいはあるけど。

それに、太さは私の体より太いし。

やっぱり唐揚げがいいかな?


(どうする?階段はあるが…)

(続けて下るのは止めておくよ。調子に乗るといい事ないからね)

それにこの下は多分食べられない魔物だし。だったら無理する必要はない。

ホーリーとソルレーザーの合体技なんてちょっと卑怯な気がするし。


唐揚げにしようと、まず吸盤に付いてる軟骨みたいなのを取ろうとして、手がザックリと切れた。恐ろしく切れ味がいい。

「キュ…ア?」

呪文をかけるまでもなく塞がる傷口に、開いた口が塞がらない。

祝福から加護に変わったから、効果が上がっているのか…人前で怪我なんてできないな。


どうにか切り分けて、後でも食べられるから、次々に揚げた。

…凄い量。お昼のお弁当代わりにもなりそうだな。

「うわ…歯応えが凄い」

なかなか噛みきれないけど、イカ独特の旨味が口いっぱいに広がる。

「美味しい!」

「本当?食べていい?」

「これからご飯だから、一個だけね」

集まってきたみんなにもあげて、喜ぶ顔を見て私も嬉しくなる。


その後、何度か27階層には挑戦した。出るのは巨大なイカかタコ。

タコも勿論すごく美味しい!刺身が最高!

タコ焼きも作った。どうせなら、テッドやシーナさん達も呼んでタコパしたいな。焼きながら食べた方が美味しいよね!


残念ながらスキル珠が出たのはあの時だけだ。何も出ない時が多い。

たまに装飾品とか要らない物も出るけど、ギルドで売ってもいいな。特に武器は自分で作った方がいいし。


もう、冬休みも終わる。そうしたらまた学校だけど、去年と違って大通りに雪が積もる事はない。

今年からは休みの日は学校の寮に籠っている必要はない。大手を振ってムーン達に会いに行ける。

春からはムーン達も本格的に冒険者活動をするつもりみたいだけど、それまでなら休みの日はずっともふもふできる。嬉しいな。




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