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物作り

コーベットの稲が実った。既に刈り取られ、干す作業も終わっているし、籾も外されている。私がやるのは精米の作業だ。

「へえ。ちゃんと玄米になってる」

畑関連はテッドとの共同依頼なので、一応テッドも来ている。

精米の魔道具は不完全だから、米の様子を見て自分で止めなきゃいけない。


軽く魔力を流し、7分づき位で止めた。

「これ位が理想ですね。あとは少しずつ自分でやってみて覚えて下さい」

田んぼを任せた人じゃない人もたくさん集まっている。

将来的にどれ位米を作ってくれる人がいるか分からないけど、広めたかった。


竈で炊いたお米は美味しい!炊飯器の魔道具と何が違うのか分からないけど、特に炊きたては全然違う。

米を作っていなかった人達も、米を作りたいと口々に言い出した。

ここから先はアルフレッドさんやキースさんのお仕事だ。私達で勝手にやる訳にはいかない。

「これ程の物なら、間違いなく特産品になるでしょう。早急にアルフレッド様と相談して小麦との割合も決めませんと。ユーリさん、その時は井戸の魔道具はお願いします」


まあ、そうなるね。ちゃんと商業ギルドには登録したから、私じゃなくても作れると思うけど、

コーベットには魔道具作りの職人さんも少ないから仕方ないね。

「それと、熱量交換のレンガの方も」

あー…何枚作るか分からないけど、一人でやれって言わないよね?


錬金術のスキルがないと作れないから仕方ないけど、テッドにも依頼をまわしてもらって、たくさんの焼成レンガに術式を書き込んでいく。

勿論私達の他にも職人さんはいるけど、子供が混じっているのを見て驚いていた。そして更にこれを考えたのがその子供だと知って、落ち込んでいる人までいた。

…だって、考えた時にはここまでおおごとになるとは思っていなかったんだもん。


(俺が馬車を改良した時もかなりの騒ぎになった。ユーリ、目立つのは程々にな)

言われなくても。

まあ、ここにいる職人さん達は、ギルドのルールで個人情報をやたらと広める事はない。


(バイクなんて作ったら、これの比じゃないと思うけど?)

(俺は貴族だから、落ち人だと疑われる事もない。まあ、馬の代わりにしか見てくれないだろうけど)

馬がいるんだから、代わり要らないじゃん。

まあ、人の趣味にあれこれ言うつもりはないけどさ。

出来た物がある程度溜まったら、運び出してくれる。これだけの量があるのに交換する所は主街道だけだっていうから驚きだ。


今日1日はこれで潰れちゃうけど、領主依頼だからそれなりに収入がある。それと商業ギルドに登録したのは私だから、特許権の収入がある。

個人で登録したんじゃないから安めだけど、量がある。

そうして今は冒険者も集まっているので、いい宣伝になるだろう。


冬の間の冒険者の仕事を取る事になるかもしれないけど、この魔道具は屋根には使えない。

このレンガ自体が発熱する訳じゃなくて、あくまでも一メートル下との熱交換だからだ。

だから後から魔力を込める必要のない省エネタイプの魔道具になるんだけど。


(凄い道具だとは思うけどさ、ムーン達に気軽に会いに行きたいってだけでこんなの思い付くか?普通)

(去年はもふもふに飢えていたんだよ。今はみんな眷属になったからお互いの亜空間に移動できるから、必要なくなっちゃったけど)

(眷属の事俺も少し調べてみた。強い絆はともかく、熟練のテイマーってのが条件合わないんじゃないか?)

(知らないよ。なっちゃったんだもん)


熟練の錬金術師のはずなのに、マジックポーションを飲みながらやっている人もいる。まあ、このマジックポーションは支給品だからいくら飲んでもいいんだけど、普通の薬草から作ったマジックポーションは苦い。

(普通の人ってそんなに魔力ないのかな?)

(生産職だからレベルもそんなに高くないのかもな。加護の問題もあるだろうし)


私も老後は付与職人になりたいと思ってたけど、こんな苦い物を飲みながら仕事するのはごめんだ。加護があって良かった。


(うー、冷えてきたな)

(カイロの魔道具貸そうか?)

(お前、そんな物まで作ってたのかよ)

(これはそんなに難しい魔道具じゃないよ?)

(火単一だろう?…俺も後で作ろう)


こんな風に地道に同じ作業をするのもたまにはいいな。


夕方になったので今日の作業は終了だ。みんなにこっそりリフレッシュをかけてあげたら驚いていたけど、笑顔になった。

私達は学校だけど、職人さん達は明日からも作業だ。

「お疲れ様でした」

「ああ、ありがとうな」

「え?何がですか?」

「仕事と、さっきの回復魔法だ」

ばれてる。

「あはは。まあ、今日だけですけど」

ヒールか何かと勘違いしているのかな?まあ、疲れを回復する魔法だから間違ってはいない。


確かに座って作業してると、下から冷気が上がってくるんだよね。皮は敷いてあるけど、長時間座っていると、体温を奪われる。

温度自動調節じゃ駄目だ。かといって熱を発生させる付与は服に施したくない。低温火傷が怖いからね。

リフレクトの魔法を自分の体温を反転させるように付与できないかな?


よし!こんな感じかな?スパイダーシルクを使えば付与できるだろう。これを大動脈が通る所に縫い付けて…リフレクト付与!


ミスリルの錬成にも大分慣れた。眷属達の武器防具もミスリルだし、私のはアオさんに作ってもらったのがまだ自動調節範囲内だ。

あの時よりも随分大きくなったとは思うけど、まだ範囲内に収まっている。

いつかきつくなった時の為にインゴットにして収納庫に入れてある。金の採掘にも何度か行って、こっちは板状にしてある。


今は使う予定も売る予定もないけど、金自体を材料に使う錬金術もある。それまではとっておいてもいいかな。

魔石同士の錬成は出来たけど、まだ魔晶石にはなっていない。魔石にも良し悪しがあるから、等級の高い魔石同士じゃないとだめなのかもしれない。


当面の目標は魔晶石かな。みんなの分の魔力タンクはやっぱり欲しいよね。


もうすぐ冬がやってくる。学年が変わる前に冬休みがあるから、またダンジョン攻略を頑張ってみよう。


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