アンデット退治と別れ
誤字報告ありがとうございます。読み返しているはずなんですが、学生時代ははるか昔。もう長いこと勉強してなかったので、色々忘れてしまっているんですね…
私もやっと7歳になった。これでテッドに子供だと馬鹿にされないはず!
そうして、覚えてしまったターンアンデット。
モコの恩恵だとしても、覚えるの早すぎない?
まあ…フレイの為にもお化け退治はしなきゃだよね。
亜空間移動して、みんなを連れてボロ屋敷の前に出る。
雑魚はエリアキュアで退治して、エメルの後ろに隠れる。
(私よりもモコの方が役に立つと思うわよ?)
それは気分的にちょっと…
「ユーリしゃん、来てくれたんでしゅね?」
「まあ…魔法覚えちゃったし」
ちょっと遠い目になるのは仕方ない。
玄関の扉は固く閉ざされていたので、ムーンに頼んで破壊してもらう。
ぼろぼろの内装、当然お金になりそうな物は残っていない。
ギシギシと鳴る床を踏みしめて、探知に強い反応があった部屋へ進む。
部屋の扉はやっぱり開かないので、ムーンに破壊してもらう。
「ひっ…!」
執務室なのかな?立派な机に向かっているのは、身体が腐り、青白く発光したもの。
私達に気がついたお化けが吠えると、椅子やら本やらが宙に舞って襲ってくる。
「ユーリしゃん、集中してくだしゃい!」
わ、分かってるけど、怖いんだもん!
やっと呪文を発動させて、お化けにぶつける。抵抗してみせたが、酷い唸り声を上げて、消え去った。
「あう…もう終わり?」
座り込んだ私をチャチャが抱き上げる。
情けないけど、腰が抜けたよ。
(強い気配はないな。…主にとってはそんなに怖かったのか?)
「だって、死んでるんだよ?それなのに実体があってポルターガイストまでおきて、怖いに決まってるじゃん!」
(そ…そうか)
屋敷から出て、やっと一息つく。
「フレイ、お仕事自体は終わったの?」
「終わりました。元凶を滅したので、アンデットが集まってくる事もないはずでしゅ」
目の前が光り、ホログラムのようなシャンドラ様が現れた。
「こうして顔を合わせるのは久しぶりね、ユーリ。そしてありがとう」
「フレイは時空妖精に戻れるんですか?」
「そうね。まだ半人前だし、正直時空妖精の数も足りてないし。ただし、一から修行をやり直す事。そして職務に復帰できても、何かあったらすぐに報告。前みたいに隠しちゃだめよ?分かった?フレイ」
「頑張りましゅー!ありがとうございましゅ!シャンドラ様」
「ユーリ、フレイとの契約を解除して」
嬉しい事なんだけど、ちょっと淋しいな。
「ユーリしゃん、ありがとうございました。お休みの日とかに遊びに来てもいいでしゅか?」
「勿論。ていうか、絶対来て!もうフレイは私達の家族同様なんだから」
「あうぅ…一人前になったら、改めて加護を付けましゅ」
それが絆の一つだと思うから、大きく頷いた。
「頑張って、フレイ」
「はい!」
フレイとシャンドラ様の姿がふっと消えた。
(結局ボク達にはフレイの姿は見えなかったね)
(え?そうだったの?)
(声は聞こえていたけど、私達に妖精は見る事は出来ないから)
(妖精は、私達とは真逆の存在。神聖なもの。喋っている事を聞いていると、あんまり凄い存在には思えなかったけど)
うん。そうかも。
(でもまだ、祝福は付いている。ボク達は何もしてあげられなかったけど)
(そんな事ないよ。きっとフレイにとってもみんなは家族だよ)
淋しいけど、永遠の別れって訳じゃない。私にとっては担当妖精だったから、祝福は消えても何らかの絆はきっとあると思う。
ここにいる妖精を救った事でフレイも赦されたのだろう。
微精霊達がふわふわと寄ってくる。
(みんな、元気で)
ふと思い立ち、この場所を脳内検索してみる。
色々な国のある大陸の南の方、アルメリア皇国の北端の地らしい。すぐ北には大陸を分断している海がある。
ここから東に行くと魔族の国、ワーフォレストがある。近いからか、魔素溜まりができている所が妖精達の安息地となっている。
ここに来る為に開いた亜空間だけど、ここから旅をしてみるのも面白いかも。
ちょっと怖いけど、魔族も人と同じように暮らしているみたいだし。
(あの黒い虫と今回のアンデット、どっちがユーリにとって怖い?)
(えええ…比べられる物じゃないよ。怖いのはアンデットの方かな?…黒いアレは生理的に受け付けない)
(ボク達魔物も、上の世界にはいないんでしょ?最初は怖かった?)
(そうだね。命の危険があるからね。でも、卵から孵したモコは大きめな猫そのものだったから、あんまり怖くなかった)
(良く分からないけど、ユーリがもふもふしてくれて、気に入って貰えて良かったよ)
あのアンゴラキャットのもふもふ感も懐かしい。モコのお陰で暖かい冬を過ごせたし。
フレイは最初から泣き虫だったな。実年齢が200歳越えてたのは驚いた。
一から修行か。私も初心に返って頑張ろう。




