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シーナさんの苦手は

いつの間にか100話越えてました。


皆様が読んで下さるお陰です。いつもありがとうございます

\(^^)/

テッドはやっとエメルに守られながらではあるが、四階層まで来る事ができた。

皮は正直要らないが、モーモーばかり何日も戦っていたらさすがに飽きる。

「なあ、俺の前でならシールドトータスの姿でもいいんだぜ?無理しなくても」


「これは自分の為でもあるのよ。人化しての戦いは、私が一番慣れてないから、この姿でもちゃんと戦えるようにしたいの」

「そうか…魔物が人の姿になれるなんて正直聞いた事もなかったけど、よくある事なのか?」

「他は知らないわ。ただ、私達の主はまだ守ってあげなければならない子供だから、その為に人の姿を望んだの。…テイマー自体が少ないし、人の姿になると魔物の能力は封じられるから、ユーリみたいないい主だったらスキルを望むかもしれないわね」


そうか、落ち人のユーリには家族は必須だからな。しかも山を越えないと町に行けないし、二歳で魔物も出るこの世界の果てだと誰かの助けが必要だよな。

苦労した結果があの強さなんだから、羨ましいなんて思っちゃだめだよな。


収納庫に入るだけ全部チーズとか言われたけど、まだまだ余裕はありそうだ。牛乳と肉も入れたけど、ウルフの皮もどんどん入る。

まあ、ウルフの皮はそんなに高く売れないから、どうせなら米を入れたい。

先はまだまだ長そうだけど、自分の力で行きたいよな。


ユーリは今日は、シーナさん達と行く事になっている。

というのも、シーナさんはムカデが大の苦手で、ムーン達が守っているから大丈夫なのに、姿が見えただけで魔法を使ってしまい、魔力切れで12階層から下に降りられないそうだ。


「シーナさん、いっそ目隠しして行きますか?罠の類いもないので」

「だめよ!音が聞こえるじゃない!あのカタカタと脚が当たる音を聞くだけで鳥肌が立つの!しかも黒光りする体に赤い脚なんて、最悪だわ!昨夜はうなされたのよ!」

「まあ…誰にでも苦手はありますよね。私も台所に出る奴が大嫌いで」

「通称Gですね。あれは絶滅させるべき虫です!奴を好きな人などいませんから」

ああ。レイシアさんも奴が嫌いなんだ。


「なら、結界に防音の効果も付けますか。…まあ、普通は魔物から注目されないために逆ですけど、出来るはずですし」

「凄いわ!ユーリちゃん、あなた天才ね!」

その前にムカデの克服を…と思ったが、自分もGは絶対に克服できないと思い直した。


「では、ユーリさんは無理せず結界の維持に神経を集中して下さい」

私の後ろはモコが守ってくれている。

レイシアさんの剣は、甲殻の間に入り込むようにして、ムカデを倒していく。


「さすがに強いな。僕は何も出来ないや」

「うーん。流石に弓じゃ相性悪すぎでしょう」

「まあね。だけど普段これでもソロ活動しているから、そうも言ってられないよね。どんくさいと言われても頑張れば少しは違ったのかもね」

「弓って使った事ないんですよね。長距離だと魔法に頼っちゃって」

「パーティーで戦うなら、それでいいんじゃないかな?お姉ちゃんは支援魔法で、ユーリちゃんは攻撃魔法で」

「ボク、お兄ちゃん」

後ろを歩いていたモコの呟きは、誰にも気付かれなかったらしい。


「家族でパーティー組む冒険者はたまに見るけど、得意な事をみんなやっているね」

いるんだ。そういう冒険者。

「流石に六歳の子供が戦力になってるパーティーは見た事ないけどね。モコちゃんみたいに、十歳過ぎてからの子供が加わる例はあるけど」


「まあ、ユーリちゃんみたいに前衛後衛どっちも行けるっていいよね」

「逆に前衛がいないのによくソロできますね」

「隠密系のスキルがあるから、気付かれる前に必殺が基本。知ってる人には二の矢要らずって言われてる」

「ぐはっ」

「何?」

「厨二っぽい…」


「テッドにも前に言われたけど、それって何?」

「え、ええと…」

「ユーリちゃんにも前世?上の世界で生きてた記憶があるんだよね?」

「そうですね…その辺の言葉です」

「何かさ、褒められている気がしないのは何でなんだろうね?」


まあ、元オタクだった私にはそんな偏見はないんだけど。

「あ、ほら、階段着きましたよ」

「うん。じゃあシーナ母さんの結界を解いてあげて」

階段下からでも魔法を発射するシーナさんを止めながら、13階層に降りる。

「シーナさん、魔法はワニの為に使いましょう!」

「そうね。ワニの肉も美味しいし、皮もそれなりに売れるものね」

やっぱり主婦としてはそこは重要だね。


「そういえばユーリちゃんは、料理に変わった調味料を使っていたわね。あれはショユの実?」

「ええと…お父さんが持っていた調味料です。ショユっていうんですか?」

「確か東の方に行った時よね?ヘタを取って絞ると出てくるのよね」

「そうなんですね?因みに味噌は…」

「ミソ?…さあ?聞いた事ないわ」

「そうですか…」


でも、醤油は実になるんだ…凄いな。味噌の実とかもあったりしないかな?あとで調べてみよう!

それともどこかに糀があったりするのかな。ショッピングで買えるって事はあるって事だもんね。

「えへへ」

(ユーリ…戦いに集中しようよ)


その日、亜空間に戻ってから、ミルドラ辞典で調べてみると、ショユは、南端の国、アルステックの特産品らしい。ミソで検索したけど何も引っかかってこない。似た名前か、全く違う名前かもしれないな。

まあ、貯金はまだまだあるからショッピングで買えばいいんだけど、ここで生きていく以上は、自分で稼いだお金でなるべく生活していきたいから、頑張りたい。

物知りなアオさんに、味噌を見せて聞いてみようかな?


何気なく、手作りの時計付きカレンダーの魔道具を見て思わずため息を漏らした。私の誕生日、三日も前に過ぎてる。

せっかく今年は植物性生クリームを見つけたんだから、ケーキを焼くって決めていたのに。


深いため息をつきつつ、今日は私、ダンジョンに入らない事を伝えた。

「どうしたの?ユーリちゃん」

「あはは…六歳の誕生日、いつの間にか過ぎていて、だからケーキでも焼こうかなと」

「まあ!そうだったのね!そういえばテッドと誕生日近いって思っていたけど、私達も忘れていたわ!なら、ケーキは私達に任せて!ユーリちゃんには悪いけど、森に果物があれば採ってきて欲しいんだけど」

「え?いやいや、いいですよ!」

「だめよ!ユーリちゃんはテッドの大事なお友達なんだから」

「シーナさん、なら私も。本来なら母親として私がやるべき事ですもの。…良かったら作り方を教えて下さい」

「エメル…母さん」

「なら今日はダンジョンはお休みだね。僕も森を探索してみたいし」

「あ、俺も!」


「なら、材料はここに置きますね。ミキサーの魔道具もあるので使って下さい私は少し出掛けてきます」



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