欠陥品の体と幼児化
新連載始めました。よろしくお願いします。
はあ…今日も疲れた。
近頃の若い子は仕事を覚える意欲が足りないと思う。
大学まで行ってるのに、言われた事しかできないなんて。
私、三波 優梨はギリギリ20代の会社員。高卒ながら10年務め上げた。
コンビニで弁当とお茶を買って、家路を急ぐ。急いでも待っている人なんていないけど。
路地を曲がると、今朝まではなかったカラーコーンが目についた。
工事予告の看板も立っていなかったから、緊急工事だろうか?でも、水道管が破裂した訳でもなさそうだし、別に穴も開いていない。
悪戯だろうか?
苛々していた優梨は、コーンバーを蹴飛ばした。コーンバーは綺麗に抜けて転がる。そして優梨のヒールも一緒にすっぽ抜けた。
はあ…仕方ないな。
優梨はヒールを取りに中に入る。どうせまだ何もやってないのだからいいだろう。
なのに、体がガクンと落ちる感覚。ど、どこまで落ちるの?!穴も開いていなかったのに!
「あわわ。入っちゃダメにしておいたのに。仕方のない人でしゅね」
トンボ?…え?女の子?まさかの妖精?緑の髪と瞳の少女は、背中の羽で闇の中を飛んでいるように見えた。
夢でも見てるのかな?路上で?
「落ちたら上には戻れないんでしゅよ。下に降りるしかありましぇん」
「あの…あなた、何?」
「私はフレイ。穴を塞ぐお仕事をしていたでしゅ」
暗くて見えなかった?そんな筈は。
「体を修復して、下の世界に落とすでしゅ。何か希望はありましゅか?あ、チートは無理でしゅよ」
「?チートって…お話じゃあるまいし。何か私、自分の家に戻れないって事?」
「はい…上から下に落ちるのは簡単でも、逆は難しいのでしゅ」
「希望…てことは、色々良くできたり?」
「多少は、でしゅよ?」
「なら、お手入れの要らないお肌。それと健康な体かな?あと、目も良くして欲しい」
つい先日、いつまでも元気で女手一つで育ててくれた母が心筋梗塞で亡くなった。人間いつかは死ぬものだけど、さすがに50代で亡くなるとは思わなかった。
それにコンタクト無しでは殆ど見えないド近眼を、何とかなるならして欲しい。
「うー、頑張って作るでしゅよ!」
…は?作る?何言って…!
痛い!痛すぎる!何が…
私はあまりの激痛で、意識を失った。
波の音で目を覚ました。
辺りは森で、その向こうに海が見える。それと、緩やかに流れる川が海に流れ込んでいる。
視界がおかしい。右目が開かない。
それに立ったはずなのに、地面が近い?
体の右半分もまるで麻痺してるみたいに動かない。
ぷにぷにとした小さな手。そっと右目の上から触ってみると、眼球自体がないっぽい。
それと、スーツを着ていたはずなのに、ごわごわした服に皮っぽい上着、下はやっぱりごわごわしたズボン姿だ。
グルル…と低いうなり声に驚いてそちらを見ると、狼が三匹…これは詰んだかもしれない。