Remember-54 再びノールド村へ/大和撫子の座談会(第一回)
……あれからどれぐらいの時間が経ったことだろう。
準備の物音も終盤に差し掛かったのか、ドッタンバッタンと大きな音がしたり、ガラスが割れる音と共に「ああっ!」なんてアザミの声が聞こえたりした。
正直、物品の整理から手伝った方が良かったんじゃないかな~と、今更ながら考えてしまったり。
「ッ、お待たせしましたユウマさん! こちらに来て頂けますか!」
「はーい、今行くよ。……ベル、また暫く隠れててもらうが……」
『はいよ。私のことは心配も遠慮もせず、彼女の事に集中しててくれ』
「……うん、ありがとう。シャーリィの許可が下りればすぐにベルのこともアザミに紹介するよ。コレは俺の勘なんだけど、アザミとベルは結構話が合うんじゃないかと思ってるからさ」
『そうだな、私も彼女と話せるのを楽しみにしているよ』
ポケットの中にガラスを入れて、靴を履いてからアザミの声がする方に足を進める。玄関から入ってすぐの工房のような部屋の中で、アザミは大きなリュックサックを二つ用意して待っていた。
「すみません、こちらのバッグを持って頂けませんか?」
「……ん、随分と軽いな」
身構えていたせいなのか、力を込めてリュックサックを持ち上げるとヒョイ、と軽々と持ち上がった。
……多分、中には着替えなどの衣類のみが入っているのだろう。だとすれば、もう一方のリュックサックには――
「……アザミ、軽い方を俺に持たせてないか?」
「…………」
「無言になるな目を逸らすな。あ、ホラ見ろやっぱりー! そっちの方が重いじゃないか! そっちは……なんだ? なんか固い物がゴチャゴチャと入っているな」
「ああっ、そちらは私が持ちますのに……」
アザミの性格を考えればきっと重い荷物を俺に持たせないようにと遠慮したのだろう。俺はアザミに頼まれた方のリュックサックではなく、もう一方の重いリュックサックを問答無用で背負った。
「割れ物があるなら言ってくれ。あるいは、何らかの事情で俺にこの荷物を持たせるのが嫌だって言うのなら、遠慮せず言ってくれ」
「うう……す、すみません……お願いします。あと包装はしてますが割れ物が多数あるので転ばないようお願いします……」
「ん、了解」
遠慮する気満々だったところを阻止されて、シュンとした顔でアザミはそう言うのだった。
彼女のこういう遠慮する性格は、友好がどうとかそういうの関係無しに一生続いていきそうだ。
「それじゃあ行こう。シャーリィならもう下準備とやらを終わらせて待っているだろうし」
「そうですね、では早く行きましょうか。久しぶりにこの地を離れるので少し緊張してしまいますが……」
玄関の戸を開けて先に出たアザミに続いて、俺も大きなリュックサックを担いで外に出る。空気の温度も良い感じで、雨の心配も要らなそうな乾いた風が優しく流れていた。これならノールド村までの移動中、雨に見舞われる心配は無さそうだ。
「……っと、戸締まりよし、荷物よし、耳と尻尾は……隠れてるので、ヨシ!」
「……ところで気になったんだけど、耳は帽子で隠しているとして、尻尾ってどうやって隠してるんだ?」
「尻尾ですか? この和服の内側にポケットを作ってあるので、そこに違和感が無いよう上手く収めてます。そのせいで正座以外の座り方をすると、尻尾をお尻で踏み潰しちゃうので痛い思いをするのですが……」
そういうと和服の腰の辺りを弄って「普段は閉じていますが、ここに尻尾を通す穴を開けてるんです」と説明してくれた。これなら服の内側に尻尾が隠されているようには見えないし、服の穴もぱっと見じゃ分からない造りになっている。
……昨夜見た時は、結構ふっくらとした毛並みだったからどうやって隠しているか疑問だったが……事情を知っても不思議に思える。よくもまぁ違和感なく隠せているものだ。
「って、呑気に説明している場合じゃありませんでしたね。シャーリィさんを待たせていますから」
「そうだな。あんまり遅いとシャーリィに後でイジられるかもしらん。随分と遅かったけど緑茶でもご馳走になってたのかしら――なんて言われそうだ」
「……? 確か前にも叱られるとか言っていましたが、シャーリィさんってそんなご冗談を言う方なんですか?」
一緒に山道を下りながらそんな声真似をしていると、アザミは首を傾げて尋ねてきた。
……ああ、確かにそういえばアザミはシャーリィの本性を知らないし見ていないんだったか。アザミはまだお嬢様のような立ち振る舞いしか見ていないが、こちらは藁にまみれて寝る姿も発狂して窓から書類を投げ捨てる姿も知っている。
「そうだな……シャーリィはなんていうか、雰囲気はまるで大人だけど、その芯は年相応に子供だよ。アザミももっとあの子と仲良くしてみると良い。仲良くなったら最後、アイツにトコトン振り回されるからな」
「そうなんですか? 確かにシャーリィさん、見た目は遊び盛りな子供ぐらいですけ――――」
――瞬間、言いかけていた言葉と共にアザミの姿が掻き消えた。
もうちょっと丁寧に状況を説明するなら、木の根っこにつまづいてガクンッ、と転んでしまっていた。
……そういえば、木の根っこの周辺に足跡とか、誰かが躓いたような跡がクッキリ残っていたっけなぁ、なんてぼんやり思い出してみたり。
「……大丈夫か?」
「だ、大丈夫です……ああ、リュックに土が……ここしばらく晴れ続きで助かりました……」
「雨が降ってたら水たまりに突っ込んだり泥だらけになってただろうな……怪我は?」
「うぅ、怪我も大丈夫です。ユウマさんに荷物を交換してもらったお陰で、荷物がクッションになってくれましたので……」
そういえば、俺が背負っている方は割れ物が沢山入っているんだっけな……もしもあの時、俺が重い方の荷物を持っていなければ――うーん、きっと大惨事だったろうなぁ。
「そういえば、シャーリィと初めてここに来た時に、何度も木の根に躓いた痕跡を見つけたんだけど……アザミって足腰が弱かったりするのか?」
「あ、あはは……気づいてましたか。実は昔、両足首の健を怪我してしまったことがありまして、こういう段差に弱くなってしまったんですよね……」
「足首に怪我を?」
「はい。もう治っていて古傷のようなものですが、後遺症が少し残ってまして」
予想しなかった返答に思わず彼女の足首を見る……が、靴と黒いソックスのような服で覆われているので特に何も分からない。
それに、昨日は怪物相手に戦えていたじゃないか。とても負傷しているとは思えないが……
「……獣人族って聞くとさ、それこそ獣道みたいな道が悪い中を歩いていそうな印象があるんだけどなぁ」
「い、一緒にしないでください! 私は獣とは違って、由緒正しき大和撫子――の、見習いなんですからッ」
「やっぱ見習いなんだ……」
ふくれっ面を見せながら、アザミは転んだ際に脱げた魔女帽子を被り直して異議を唱えていた。相変わらず何故か“見習い”を主張しながら。
■□■□■
「あら、ユウマ。結構時間がかかったわね」
まあ、案の定と言いますか。戻って来るなりシャーリィは待ちくたびれた様子で俺たちを待っていた。
別に怒っていたりしている様子は無いのだが、あの悪戯っぽい笑みはからかったりしてくるんだろうなー、と慣れている身からすれば分かってしまう。
「……ところで、さっきから気になって仕方なかったんだけど……」
……と、そこで俺ではなくアザミさんの方に注意が逸れた。
いや、まあ。これも案の定と言うか、俺とシャーリィが逆の立場でも同じ事を尋ねるだろうと言いますか。
「……なんでアザミさん、あんな砂埃にまみれてるの……?」
「……三回だ」
「あー、なんですって?」
「三回だよ、三回。何の回数か分かるか?」
「……うーん、そうね。んー、転んだ回数?」
「お見事」
「ちょ――ユウマさん! 転んだことは内緒にしてってお願いしたじゃないですか!?」
後方からアザミの大声が飛んでくるが、許せ。これもお互い打ち解け合う切っ掛けとなる“友達友情大作戦”の一部分なのだから。
あと単にイジりのヘイトを俺じゃなくてそっちに逸らしたかったので。
「三回も転ぶって……アザミさん、大丈夫だった? あとついでに聞くけどホントに獣人族……?」
「シャーリィさんまでユウマさんと同じ懐疑を抱いている……!? わ、私は由緒正しき! 誇り高き! 大和撫子――」
「――の見習いね。うん、その主張に疑いは持っていないわ」
「んなーー!!?」
いつも口にしている言葉を先に言われてしまって、すっかり混乱してしまった大和撫子(見習い)が哀れにも鳴いていた。かわいそうに……と、二人の交流を眺めている横でクレオさんが顔を出していることに気がついた。
「……なあ、兄ちゃん。あの人がその、嬢ちゃん達と話していた魔女ってやつか……?」
「うん、アザミって名前で俺とシャーリィと同じ転生使い」
「はぁぇ~、あの女の子がその魔女? あの滅茶苦茶強い転生使い? 世の中訳が分からんな……」
「俺もそう思うし、以前から手紙で交流してたシャーリィもまさかあんな女の子だとは思ってなかったとさ」
「少なくとも言えることは、この場に俺さんちのかーちゃんが居なくて良かったぜ。居たら俺が冤罪でぶっ殺されてる」
「わはぁ、クレオさんのかーちゃんさん過激~」
そんな雑談を繰り広げていると、向こうも雑談が終わったのかシャーリィが俺を手招きしてきた。
クレオさんが「馬車の準備は出来やしたから、いつでも声をかけてくれれば出発できやすぜ」と言い残すのを背中で受け止めながら、シャーリィの元へ小走りで向かう。
「待たせたわね。アザミさんと話し合って移動中はユウマの馬車に居て貰うことになったから、その背負った荷物も貴方の馬車に詰め込んでおいて」
「……この量の荷物、馬車に詰め込んで二人も入れるかな」
「アンタんとこの馬車、棚に荷物とか入れてないでしょ? そこに入れておけばいいじゃない」
そういえば備え付けの棚とか荷物入れとかがあったが、身軽な俺は全く利用していないんだった。そこに入れればこの荷物も上手いこと収まるし、二人入っても空間は問題なく確保されるだろう。
「そんじゃ、さっさと行きましょ。ほら二人とも乗り込んで」
「突然だな……んじゃ、そんな訳だけどアザミは大丈夫か?」
「はい。こちらこそ突然失礼します……」
ほんの少し気恥ずかしそうに、シャーリィの指示を受けてアザミは俺の馬車に乗り込んでくるのだった。
■□■□■
「えっと……まず、何からお話しましょうか……」
「アザミ先生、よろしくお願いしまーす」
「せ、先生ですか!? 先生、先生……なんて言いますか、何か良いですね。響きが」
なんとなくした先生呼びが彼女の琴線に触れたらしい。アザミは手を合わせてちょっと嬉しそうに目を輝かせていた。
馬車が動き出してからそう時間は経っていない。馬車の戸締まりをして、振動で荷物が崩れ転がったりしないか確認を終えて、一息ついた頃にシャーリィに頼まれていたアザミの魔法講義が始まった。
「魔法について基礎から教えて欲しいって言われましたが、いざ教える立場になると何を何処から話そうか悩んじゃいますね……うーん、学問的な部分から説明すれば良いのかなぁ……」
「自分で言うのもアレだけど、本当に素人だから手加減して欲しい」
「あはは……私も複雑な内容は人に教えられるほど理解できていませんから、安心して下さい」
そうは言っても、アザミは俺の想像以上に複雑な事を知っているだろう。だけど親しみやすい笑みを浮かべてそう声をかけてくれるのは心強く、安心できる。
こうして改めて聞いてみると、彼女の謙遜は何というか、聞き手の緊張とかを解してくれるような雰囲気があるように感じられる。シャーリィにこのような意図は無かっただろうが、彼女が教育担当になったのはこの上なく適切だと感じられた。
「そうですね……ユウマさんは五大分類という単語はご存じですか?」
「いや、今初めて聞いた」
「そうですか……これは自身の昇華とか自己研鑽を目指す魔法使いならまず最初に知ることの筈なのですが……逆に言えば、これを知らないということは、ユウマさんは便利な道具として使う前提で魔法を会得した可能性があるかもしれません」
「なっ……そうだったんか……! 俺って便利さ求めて魔法を使えるようになったんか……!?」
「い、いえいえ! えっと、ユウマさんは記憶喪失なんですよね? 知っていても忘れてしまった可能性もありますから! それに、記憶が無くても体が覚えているぐらいに魔法の練度や精度は確かですし、記憶を失う前のユウマさんは自己研鑽に積極的な立派な修練者だった可能性もありますから!」
「……うーん、修練者って柄じゃ無い気もするんだけどなぁ」
そもそも自己研鑽って言われてパッとイメージが出来ないので、そういう事とは縁が遠そうだ。いやまあ、アザミの言う通りそういうことに関連する記憶がごっそり抜け落ちているだけの可能性もあるけども。
「サラッと話しておきましょうか。五大分類というのは大雑把に言えば、人が扱いこなせる超常現象の段階付けって認識で大丈夫かと。下から順に、“魔術”、“魔法”……この二つはユウマさんもご存じかと思います」
「ん、ルーン“魔術”とか、俺の力は“魔法”とか、なんかそんな感じで呼び方が違うのは分かってる」
「ここも時間をかけずにサラッと説明しましょうか。まず魔術は単に、道具を介して行使する超常現象です。魔道具を使ったり、シャーリィさんならルーン文字を媒体に魔法を放つ……それが魔術です。そして魔法は、体内の生命力――つまり魔力を利用して行使する超常現象なのです」
ふむふむ、と腕を組んで頷いて静聴する。
道具を介して魔法を引き起こすのが“魔術”。体の生命力を魔力として使うのが“魔法”……なるほどね。
「――では、さて問題です! 今お話した魔術と魔法、何が違うかわかりますか?」
なんかノッてきたアザミが「テテン!」なんてよく分からない効果音を口ずさみながら、そんな問いかけをしてきた。
何が違うか……? いやまあ、確かに違いは聞いてて分かりやすかったのだが、それよりも感じたのは――
「説明を聞く感じ、魔術ってのは道具とか何かを介してって部分が重要なんだよな?」
「はい。そこが二つを区分する上で重要視される点ですね」
「……つまり物で魔力を使うか、体で魔力を使うかの違いなんだろ? 多分だけど、違いはそこだけで根本的な部分は同じなんじゃないか?」
「そうです! その通りなんです! はいユウマさん、花丸40点!」
思ったよりも低いな、花丸の点数。五大分類のうちの二つだから2/5って訳か?
……以前、転生使いでもないベルホルトが、転生使いにも負けない戦闘力を見せたあの力も魔術によるものだ。そしてあの力は、魔道具である本に込められた魔力を燃料に魔法を発現させている――とか、シャーリィ曰くそんな内容だった気がする。その経験も含めて整理すれば、簡単に理解できた。
「そうなんです、魔術も魔法も、やってる内容は同じなんです。ただ物の力を借りているか、己の力だけでやっているか――その違いだけ何です。たかがその程度と思うかも知れませんが、魔法使いの歴史を見る限り、昔はこの格差による差別とか酷かったみたいですよ?」
「そうは言われても、今じゃ魔法も魔術も皆等しく居なくなってるから分からないな」
「そうですね……魔法使いと魔術使いの差別は、現在の異変によって力を失うと共に無くなったみたいです」
差別とかそういう話はピンと来ないが、その争いの火種そのものが根絶やしになれば争いもあっけなく無くなるのは想像に容易い。
その差別とやらがどのような内容で、どのように酷いものだったのかは知らないが、お互いに魔法、魔術を失うことで差別が解決したのはなんとも皮肉なものだろう。
「そしてここからが更なる領域、“魔術”、“魔法”に続く更なる上。それが“奇蹟”、“神秘”、そして“法則”――この階級分けが五大分類。高みを目指す者達の永遠の課題なのですッ!」
「奇蹟に神秘、法則……? 高みとか永遠の課題とか、話が飛躍しすぎてついて行けなさそうだ」
「ま、まあ。その辺はまた今度、時間がある時にしましょうか。でも最低限、魔術と魔法は同じ内容で、その一つ上の奇蹟との間には圧倒的な違い――越えられない壁のようなものがあるって部分は覚えておいて損は無いと思います」
「圧倒的な違いって、どれぐらいに?」
「規模も段違いですが、そもそも“ルール”が異なりますね。魔術と魔法、この二つには出来ないことが出来る……と言った感じでしょうか。大雑把な説明になってしまいますが、そういう違いです」
……何時だったか、魔法には出来ないことがあるみたいな話を聞いたことがある。
大雑把に言えば、他人の体に干渉する――例えば、他人の血液に形を与えることができなかったり。
なら、奇蹟、神秘、法則の領域とやらになれば、そんなことも可能なのだろうか。アザミがまたの機会に話すと言っている以上、詳しく聞く機会はまた今度になりそうだが、ちょっと有意義な話を聞けた。
「といったところですが、何か質問とかはありますか?」
「……因みに、アザミの使ってるのは魔術ってことで合ってる?」
今の話を元に考えるなら、杖を使っていたアザミは“魔術”の分類なのだろう。
でも確か、弱った魔力を補っている――とか、彼女がそんな話をしていたのをうろ覚えで記憶している。そうなると……元々は“魔法”を使っていたのではないだろうか?
「はい、そうですね。魔法使いでも魔道具を介して超常現象を扱えば、それは分類的には魔術です。本当にその程度の違いなのに、どうして差別なんて起きてしまったのやら……」
「興味本位の質問だけど、魔法は使える?」
「えっと、もうこの程度しか扱えませんけど……あはは」
そう言うとアザミの指先――指の先端ではなく、その先の空中に――から赤い火の玉が浮かび上がった。
薪も無くユラユラと空中で燃え上がる火の玉は自在に操れるらしく、アザミが指先を動かすと、それに合わせてフワフワと動いていた。
「自己流なので無詠唱な上に転生しなくてもできるので、暗い夜道を照らす時や、焚き火の火種が欲しい時は便利なんですけどね」
……この程度?
いいや、違う。確かに俺達は見ている。あの時、怪物に止めを刺す時に放った一本の赤い矢。あれは確か、アザミの手から生み出されたように見えた。
だったら、アレは彼女の魔法なのではないのか……?
「……えっと、ユウマさん? 何か考え込んでいるみたいですけど、どうかしました?」
「……いいや、頭の整理をしていただけ。ありがとう、有意義でとても参考になる話だった」
そこで一度、この座談会を切り上げた。
何か腑に落ちないところはあるが……だが、アザミの話は間違いなく俺にとって有意義な話なのだから、今はそっちに集中することにしよう――
〜∅《空集合》の練形術士閑話「五大分類」〜
魔術、魔法、奇跡、神秘、法則の神秘区分のことを指す。魔術が最も下で、順に上位の存在であるとされている。
触媒を使う“魔術”は“魔法”を目指し、“魔法”は“奇跡”を求める。“奇跡”は“神秘”に至ろうとし、“神秘”は“法則”を作ろうとする。
……詰まる所、皆一つ上の区分を目指そうとしているのである。
もっとも、魔法が衰退した今ではどんなに簡易な魔術でも、使えればそれだけで大したものであるのだが……




