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異世界夢紀行  作者: 舞原倫音
第1章 夢守の帰還
14/15

第四夜 10


 ──どうしてこうなった?


 そう思わざるを得ない。

 ウルとの押し問答の後、外観の確認をしようと思って外に来た。…んだけど。

 ──確かに、想像した通りの教会たてものが出来てた。

 白い壁、水色の三角屋根に羊モチーフのアクセント。入り口にはあたし用の扉と、ペット扉と。

 のどかな田舎にありそうな。シンプルで、こじんまりとした想像通りの教会。

 うん、だけど。

 ほんと、どうしてこうなった……?

 建物として見ただけなら。

 多分、おかしくない…と、思う。

 だけどあたしはこの建物の内装ひろさを知ってる。

 ぐるっと建物の周りを一周してみたけど…。

 ………。

 やっぱり、うん。おかしくね?

 中、もっと広かった、よね…?

 これ、どんな空間つくりになってるの?

「えーと…、ウル…」

「なんだ?」

「気になること…ない?」

「ないな」

「ないの?」

「ああ。想は何を気にしてるんだ?」

「えっと…。サイズっていうか…なんていうか…んー…間取り?」

「サイズ…、間取り…。──。なるほど、これか。……。気にするな。些事にすぎん」

「え!?」

 これ些事!? だって異空間っぽい何かだよ!? ウルのものさしが謎すぎて、あたしの方がドン引くよ…!?

「とりあえず今回の確認はこんな所か?」

「え。あ、そうだね」

 まぁ、ウル達の為に作ったものだし、本人が気にしてないならいい…のか…な…?

「んーと、今回の要望としてはウルの擬人化と、作ったものの変更と、あたし用のスキルって感じ?」

「そうだな」

「じゃあ、何を作るか考える…として。ウル、時計とりあえず渡しておくね?」

「ああ」

「みかたはわかる?」

「一応聞いていいか?」

「うん。えっとね、時計に数字が四つあるでしょう?

 その数字と、小さなメモリみたいな区切りが等間隔になってるのはわかる?」

「ああ」

「短い針と、長い針と、細い針があるのもわかるよね?」

「ああ」

「針は図るものがそれぞれ違くて、短い針が時間、長い針が分、細い針が秒を図るの。

 例えばこの十二の所に短い針があったとしたら十二時。

 で、この短い針が等間隔なメモリ一つ分を動いてこの位置にきたら、一時。

 次のメモリに移動したら二時、その次は三時…って感じで十二時で一周。

 だからこの短い針が右周りにぐるっと一周したら十二時間で半日ってこと。

 で、一日は二十四時間だから、この短い針がニ周したら二十四時間で一日って事。

 ここまではいい?」

「…ああ」

「じゃあ次、えっと長い針と細い針。

 これはね、短い針とは違くて、一周で十二じゃなくて六十を図るの。」

「六十?」

「分と秒。一時間は六十分で一分は六十秒でしょ?」

「…なるほど」

「長い針が十二の所にあったら0分。細い針が十二の所にあったら0秒。

 この二つの針が短い針で一時を指す場所にあった場合、長い針は五分、細い針は五秒。

 一つのメモリの間に五回カウントされてるの。細い針は秒針っていうんだけど、これみてたらなんとなくわかるでしょ?」

「ああ…」

「じゃあ、今の説明を踏まえた上で、今何時?」

「……。四時五十六分か?」

「…おしい。今はね、三時五十六分。」

「そうなのか? 短い針は四の所にあるぞ?」

「そうなんだけど、短い針も時間経過で動くから、長い針が真上に近くなるとそう見えちゃうかんじかな…。よーっくみると、短い針は四時の少し手前でしょ?」

「…なるほど」

「まぁ、時計のみかたはそんなかんじ。

 最悪短い針が何周したか。だけでもみててくれたら大丈夫かな」

「いや、きちんと見ておく。任せてくれ」

「ん、じゃあよろしくね。

 で、えっと、今日つくるもの…は、今から考えるからちょっとまってね。擬人化の方はウルの宣言を入れてもらおうかなって思うから、どんな姿になりたいか、考えておいてね」

「わかった」

 さて。今回何を創ろうか?

 前回つくったものの修正にあたし用に欲しい機能に、ウル懇願の擬人化能力…。

 あたしが欲しいモノクルの機能とウルの擬人化の能力は一度創ればずっと使えるからいいとして、創った物の修正って、毎回必要になりそうだよね? うーん…。毎回直して寝ざめが悪くなるのは出来れば遠慮したい所だし、夢守に創れないものはないって言ったって、今回の結果を見てみれば、創ったものにはあたしの無意識な思い込みが反映してるのは明らかで。

 だから、たぶん。

 今後どんなに気を付けて創っても修正箇所は出てきそう。

 …。

 っていうことは、その修正に対処すればいい?

 ……。

 じゃあもしかして、これ…、いける?

「ウル」

「なんだ?」

「創るの決まったんだけど今何時?」

「…四時十ニ分だ」

「ありがと」

 ……。結構時間たってる…。体感時間違うのかな…?

 …まぁ、調べていけばそのうち分かるかな? 今はいいや、…取り敢えず創ろ…。

「宣誓する。

 あたしは能力を二つ創る。

 一つはあたし用のスキル「改変」。

 この能力は夢守の力で作ったモノを自由に改変できるスキルであり、あたしだけが使えるものとする。」

 これしかない。…と思った。

 夢守の力を使わず修正できれば、寝ざめが悪くなることは減る。

 モノクルを改変すれば、あたし用のスキルも手に入る。一石二鳥…だと思う。

「二つ目はウルのスキル「擬人化」。

 ウルの意図を汲み、ウルが自由に姿を変えれるものとし、この二つの宣誓は、ウルの宣言をもって完了とする!」

 ……これで、いいかな?

 ウルの擬人化ってどんなだろ。男? 女? 一人称は俺って言ってるし、話し方と声からすると男の子?

 モノクルには長髪が似合いそうだよね? ってことは長髪インテリ系? でもってウルは羊でしょ? トレードマークに…あれ? 、だよね? ウル、羊の角ないような?

「ウル、決まった?」

「…いや…まってくれ。

 想。参考に聞きたいんだが、想には強き者と聞いてイメージするような者はいるか?」

「強き者? 強いっていっても色々あると思うけど……」

「当然、護衛として、だ」

「護衛…ねぇ…」

 警察とか自衛隊とかSPとか…。そういうもの…じゃ、なさそうだよね。

 強き者っていうよりもこれだと職業のくくりだろうし。その職業から選ぶとしても個人……って事だよね?

 格闘技関連のスポーツは全然興味を持ってないから誰が強いとか知識がないし…。

 ……うーーん…?

「警察とか自衛隊とか?」

「──。明確な個人イメージはないか?」

 あ、やっぱり?

 んーでも… ファンタジー的な護衛の強さって…

「現実には居ないかも? 小説とか、アニメとかの二次元なら居るかもだけど」

「……。そうか。それは例えばどういう奴だ?」

「どういう…って。」

 あたし二次元ならって言ったんだけど? 例えるならどのキャラかって事?

 世間にはチート系作品も多く溢れてるし、強いだけ…なら沢山居そうだけど。て、いうか夢守のあたしも割とこの世界では強き者扱いなんじゃない? 声を封じられない限り。

「……そもそも夢守って強くない?」

「俺達夢住人が夢守になれたらよかったんだが…」

「あ。そうだよね…。」

 んー……やっぱりだめか。

 …と、すると…?


 ……………


 ………


 ……


 うーん…。

 強いキャラが護衛に適してるかっていうと、あたしの好きな強キャラはわりとトラブル呼び込んでるイメージが強いかも? 護衛としての強き者って、強さ以外の何かが必要な感じ? うーん、護衛に必要な要素か…。ゲームとかで守る事に特化してるのは盾系だけど…。あー…有名な盾のラノベあった気がする。でも読んでないから技とかわかんないし…。どうして読んでおかなかった、あたし。

 今まであたしが読んだり見たりした護衛系の作品から選ぶとしたら…、うん。お父さんが書いてたあたし好みのあの作品のあの子とか、かな?

「思い当たる奴はいるか?」

「あ、うん。護衛って枠なら…パパの書いてる隠密キャラとか、あとはちょっと読んでないからキャラや技とかわかんないんだけど盾職とかは護りのプロになるんじゃない? で、この意見はウルの参考になる?」

「勿論だ。隠密キャラと盾職か。──。なるほど。

 では、夢守の宣言にこたえる。

 俺は想が思い浮かべた隠密の姿と、そして人の種の知識で考えつく限りの盾職の技能スキルを扱いたい」

「ちょ、──…!?」

「まって──、ですの!」

 まって!?

 と言うより早く、世界の変わるあの感覚がした……。

 …あぁ…、これ、もう…、手遅れ、…だ。


 ──本日のメイン構築、固有ユニーク能力スキル」獲得。


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