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61話目です。
誤字脱字、お目汚しあると思いますが・・・
あれですね、お休みの日はやはり家のこと優先で筆を執ることが難しいですね・・・(´・ω・`)
とりあえず投稿できてよかった~!
雪原の約束編はこれで終了です。
魔都の自宅へ戻ってきた4人です。
途中開いてしまって申し訳なかったです(´・ω・`)
魔都につく頃にはすっかり夜になっていた。
まだ青い顔のローゼスを休ませるのを優先して、自宅へ戻る。ふらふらして危なっかしいのでシルバーがウルフになりその背に乗せていった。
自宅にはすでにミーシャとドーリィが戻っており、一人増えて帰宅したソウたちを見て目を丸くした後、いまにも目を閉じてシルバーの背中に突っ伏しそうなローゼスにすぐ気づき急いで自分たちの部屋へ運ぶように言い、ドーリィは台所へ、ミーシャは部屋へ上がっていった。
新しいシーツに変えていたのか部屋をノックして入ると、ベッドを整えていた。
「さ、ここで休んで。あたしとドーリィが見てあげるから、あなたたち戻っていいわよ」
「果物、持ってきた。あとレモン水」
下に行っていたドーリィが戻ってきて、ベッドのそばの鏡台に水差しとグラス、果物を置く。
ローゼスもよほど辛いのか言われるままベッドに横になる。
「悪い、まかせる。事情はあとでローゼスが起きれるようになったら説明するから」
「貸し一つ、ね」
片目をつぶっておどけるミーシャと、声をかけてローゼスの服を緩めるドーリィに任せ男三人は1階へと降りていった。
リビングへ降りた三人はソウの入れた紅茶を飲んでひと心地ついていた。
「ギルドへの依頼達成報告は明日にするとして、ローゼスはうちにってことになるよな」
「人化できる時点で普通のウルフとは違うよね。そもそも1世代ひとりしか人化しないはずなのに」
う~ん、とテーブルのクッキーに手を伸ばしながらシルバーが眉間にしわを寄せた。
「・・・これも世界の異変と関係あるんだろうか」
「普段起こりえぬことが起こっているってことで、異変と言えなくもないけど・・・」
「そもそも、もともとアスフェルト神殿などというものはオレがいた未来にはなかったはずだ。そこに出入りできるようになったということは今後何か、それこそ水精霊の巫女の力を借りるとか、事件が起こるとかそういったことが起こるのかもしれん」
「今回のはでかい異変に絡む布石の可能性があるってことか・・・」
レイの話を聞き、クッキーを加えたまま腕を組み、背もたれに寄りかかるソウ。
「ソウ、クッキーこぼしたらミーシャに怒られるよ。・・・ローゼス達は異変に巻き込まれたってことだよね。本当だったらウルフのまま幸せに過ごせてたかもしれないのに」
「いや、もしかしたらさ」
シルバーに言われて体を起こしたソウが、クッキーを飲みこんだ後で両手の人差し指を立てた。
「俺らは『レイの時代起こりえていないこと』イコール『異変』と捉えてたけど。実は『レイの時代に至るまでにすでに起こってしまった異変が積み重なり世界の崩壊へとつながる』から『その起こった異変もしくは起こりうる異変を未然に防ぐか正しい方向へ戻す』ってことなのかも」
指を一つずつ立ててゆき、最終的に掌が開いた状態の両手を合わせる。
「異変がすべて起こって、俺らがそれに気づかなかったり正したりできなかったら積み重なり崩壊」
手のひらを離して指を一つずつおっていく。
「逆に先に気付いて取り除ければ」
「世界の崩壊は少なくともオレの見た時代には起こらないということか」
「じゃあ、ローゼスは・・・」
「たぶん、俺らが気づかなかったら村人に殺されるか、ローゼスのあの性格なら、自分で青年の夢の続きを追いかけていこうとするだろうな」
ソウの言葉に、シルバーはぞっとした。
自分たちが気づかなければ、おそらくローゼスはウルフのまま生を全うできたかもしれない。
しかしそれは、同時にローゼスの死につながるだろう。
だって自分達と出会わなければローゼスはウルフのまま。
その意思を伝える方法もないままきっと氷の湖に沈んでいただろうから。
「こりゃあ気を引き締めないとな」
「今まではソウの言う通り未来起こり得ることがなかった異変を追っていくと考えていたが、こうなると受け手に回っていては」
「そうだな、救えるかもしれない命が失われるってこともあるわけだ」
もしかしたら失踪事件の件ももっと早くこちらから動いていたら・・・
ソウは一度ふれた、あの冷たく動かない前は暖かかったであろう体の感触を思い出し、こぶしを握る。
隣に座っていたレイが気づいたのかぽん、と優しく頭に手を置いた。
「過ぎたことを悔やんでも時間は戻らない。ギルドでの依頼を待つだけじゃなく、明日からはこちらから色々あたってみよう」
「ん」
「ローゼスのことは僕が。同じウルフだし、人化しちゃったことだし色々覚えてかないといけないこともある。落ち着くまでしばらくついててあげたいんだ」
「ああ、彼女もそのほうがいいだろう。シルバーにしか頼めないことだからな」
「じゃあ、しばらくは別行動だな。なにかあればすぐに連絡取りあえるようにしておこう。ミーシャたちにも伝えて、何かあったときだけ全員で行動ってことで」
雪原で果たされなかった約束は、ひとり彼の意志をつないだ金茶のウルフが為した。
ひとり朽ちてゆくはずだったいのちは、拾い上げられてその運命を変えた。
彼女は、青年が生きたこの広い世界を識るために自ら動き出した。
お読みいただきありがとうございます。




