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57話目です。
誤字脱字、お目汚しあると思いますが・・・
更新が大変遅くなりました。
レンズを嵌めに向かいます。
高台にあるという灯台は、言われなければわからない。
町よりもかなり高い山といっていいような場所に建っており、標高があることからか雪に埋もれている。
森のようになっている場所から上にあがれるようになってはいるが、長年使われてないからか手すりのようになっていたであろう木の柵は朽ちて杭のようになっているだけだ。
かろうじて道のような部分があり、そこを登ってゆく。
灯台の前は少し広い場所になっており、そこからの眺めだけでも相当な高さがあり、湖を一望できる。
入口から中へと入ると、人が乗れる円盤のような石が真ん中にあった。
『乗って魔結晶を込めると、上にあがれるようになっている』
守護者の言葉にソウが、シルバーとローゼスにレンズを入れてくるように頼んだ。
「何かあればすぐに上に行くから」
ふたりが乗るとシルバーが足元の円盤に魔結晶を込める。石から魔法陣のような光が走り、そのまま音もたてずにすぅっと上へとあがっていった。
「結構登るね」
「こんな場所があるなんて、下にいたときは知らなかった」
円盤が一番上へとたどりつく。ふたりは足元に気をつけて、出口から外へと出た。
灯台の入り口で見るより広範囲で地域の風景が見える。
湖だけでなくその先の鬱蒼とした森や、対岸側にあったローゼスが乗っていた船、さらに魔都側を見ると遺跡のようなもの。
見渡した後、シルバーがカバンから出したレンズをローゼスへと渡した。
『その、竜のオブジェが壁面にあるだろう。そこにレンズをはめる場所がある』
確かに外周を覆っている壁の一部分に、竜のオブジェが突き出す形で設置されていた。その竜のオブジェの片目に何かがはめられそうなくぼみがある。
ローゼスはそこに言われたとおりにレンズをかちり、とはめた。
はめられたレンズは、光を収束してまばゆく光る。
その光が臨界点に達した時。
空を裂くように一筋の光がまっすぐに伸びた。
その光が行きついた先にまるで水に波紋が広がるように、虹色のグラデーションが走る。
レンズの光が細くなってゆき、やがて消えるとその光の到達点はまるでスノーボールのように青く光りキラキラと輝いていた。
『封印は解かれた。水の精霊たちの楽園、アスフェルト宮殿だ。入口の女神像に触れると、中に転送される』
この灯台からさらに奥、鬱蒼とした林を抜け、万年雪のトンネルを抜けた先にその女神像があるという。
かなり目立つ変化に、他の人々もこちらに向かうかもしれない。荒らされる前に目的を達成し、手早く封印を施すべく一行は光の到着地点に向かうのだった。
灯台がある場所から町に戻る道とは逆へと進んでゆく。両脇は林になっており道から離れるほど鬱蒼としていた。
魔物は夜になるとゴースト系の物が現れるようで、まだ月が高い今の時分は明るさを嫌ってか見かけることはない。
しばらくすると雪が深くなってきた。
万年雪のせいで気温が上がらず、今まであった木々もとうとう見えなくなった。
あるのは氷の結晶のようなものと、せり出すように積もった雪、その先に見えるのは精霊が言っていた女神像であろうか。
トンネル状の雪の道を通る。
「なんだこれ、湖をそのまま切り取ったみたいな・・・」
突然現れたのはまるで水族館のような景観だった。
ガラス一枚隔てているかのように、水槽に作られたような湖が壁面のように見える。
『この女神像で移動すると、中に入れる。湖のように見えるが、これは水属性の魔結晶が満たされているのだ。人族が入ってもおぼれるようなことはない』
ソウは水族館を見たことがあるだけそこまでの驚きはないが、アストレイヤ生まれの3人は呆然としたように見つめている。
あきらかにこの風景はあり得ないということなんだろう。
しばらく見入っていた4人だったが、ややしてシルバーがローゼスに聞いた。
「中に、入る?」
「・・・入れるのなら見たい。アノヒトもそう思うはず。すべて目に焼き付けたい」
そのローゼスの想いに答えるように、4人は女神像に触れるのだった。
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