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Astleyer fantasy ーMMOの世界が現実になった時ー  作者: 秋本速斗
5 果たされなかった雪原の約束
59/68

54

55話目です。

誤字脱字、お目汚しあると思いますが・・・


情報収集もなかなかはかどらないようです。

ローゼスが落ち着いたのを見計らい、ソウたちは一旦船に戻った。

船に乗り込み一度町へと戻ることにする。いまだ町と逆側にはかなり厚く氷が張っていることを伝えるのと、守護者のことを聞くためだ。


ローゼスに一緒にいた青年が何か言っていたかを聞いても、先ほど初めて守護者というものを聞いたようだった。

「湖が氷で閉ざされている間は、守護者が守っている、かぁ・・・」

「なにか町で聞けるといいけど」

「俺とレイはかなり印象悪いだろうしな・・・シルバー、守護者の件聞き込みしてもらってもいいかな」

ローゼスは町人にいい思いがないだろうと、シルバーひとりに任せようとしたが、ローゼスは自分も一緒に行くとソウに告げた。

「大丈夫?シルバーが俺らのパーティだっていうのは知れてるだろうから、あまりいい思いはしないかもしれないよ」

「ううん。任せきりじゃ自分で風景を見たとは言えないでしょ。できることは自分でもやるわ」

「無理はしないで」

ローゼスの言葉に、シルバーが声をかける。こくりとうなずくのを見て、頼むことにした。




町に着くともう月が真上にきており、町の宿屋の食事処はざわついていた。

先に昼を取ろうと一行が店に入ると、こちらをちらりと見た後ひそひそとなにやら言っている一団がいた。先ほど揉めた町人たちだった。


空いている席に座り、壁のメニューを見ているとそのうちのひとりがこちらへやってきた。

「ずいぶん余裕なことだ。調査はどうなっているんだ。こちらは暮らしがかかってるんだ、早く解決してほしいんだがな」

暗に休んでいる暇があるなら働けと言いたいようだ。

その言葉にシルバーが冷静に、しかし相手をこれ以上刺激しないように答えた。

「実は、湖に調査に行ってあることがわかったんです。僕らの調査だけでは情報が足りないので、この後皆さんに報告と、知っていることがあれば情報を募るつもりでした。なのでよろしければ、皆さん町の方々の昼休憩が終わるころに時間をもうけさせてもらってもいいですか?」

「報告するっていうなら聞こうじゃねぇか。見張り塔に集まるように伝えておくぜ。大したことじゃなかったら・・・」

そう睨みをきかせて戻っていった。

シルバーの機転にソウは驚いていた。

「よくそんなことが口から出たな。ていうか集めて報告、情報を募るんならかなり時間の短縮になる。すごいじゃんシルバー」

褒められたシルバーはうれしそうだ。

「昼食を取る時間も確保できたしな」

「ローゼスも、食べられそうなもの頼んで。さくさく済ませて見張り塔に行こう」




町の中心部に建っている見張り塔に、あらかたの町人が集まったようだ。

まとめ役に人数の確認をして、揃ったのを確認すると報告を始めた。

「まず、これは実際に見てきたことなので嘘偽りはないです」

シルバーは周りを見渡してから続けた。

「船で湖を進み、町のある反対側に向かいました。半ばあたりから氷が張り、対岸に近づくにつれ氷が厚く張ってました。僕たちが調査のため船を下り、氷の上に立っても割れず、足場はかなりしっかりしているほどです。その後、この周辺を1年ほど前から調査していたであろう船が傾いており、その持ち主の残留思念が『守護者に敵とみなされて攻撃された』と言っていました」

氷が張っているというあたりで、町人達はざわざわとしだした。

手を挙げて先ほど宿屋で絡んできた男が発言する。

「たしかに1年ちょっと前からこの辺をうろついている船はいた。漁をするわけでもないし、こちらの邪魔にならないように動いていたから何も言わなかったんだが、そういえば最近桟橋にも停泊していなかったし見なかったな」

「雪降りの季節が終わると、氷はすべて解けるのでしょうか?」

「ああ、こちらだけが溶けて対岸が溶けないことは今までなかったはずだ」

それも人が渡れる厚さともなれば、雪降りの時期の湖の状態だと男は言う。

「あと一番ほしい情報なのですが、湖の守護者に関してなんでもいいので知りませんか」

「冬の間に湖を守っておる守護者のことなら、この地方に古くから伝えられている。守護者は冬の間のみ湖に現れる、水の精霊だ。雪降りの時期に湖に行くと、精霊様の怒りを買うという。そもそも冬の間は外にでてどこかへ向かうというような状況ではない。なので姿を確認したものは聞いたことがない」

町の一番年を取った老人が、シルバーに伝える。

口伝程度でしか伝わってはいないようで、町の中でも外を出歩くと危ないというようなただの注意で生まれた話だと思われていたようだった。

「本当に守護者がいて湖に出ると斃されるのなら、対岸の氷が解けきるまでは漁には出れないということか」

町人たちは守護者に実際に人が斃されたという話を聞き、怒りを通り越して困惑していた。

「僕たちで守護者を確認してきます。その守護者がただの魔物であれば駆逐し、なんらかの精霊や湖を守るものならば接触してみようと思っています。どうか町の方々は、僕たちが戻るまでは湖には出ないようにしてください」

シルバーの言葉に頷く人々。

調査に行っている間はなんとか町で大人しくしていてもらえるようだ。

パラパラと解散してゆく人々を見送り、ソウたちは桟橋へ向かうのだった。

お読みいただきありがとうございます。

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