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Astleyer fantasy ーMMOの世界が現実になった時ー  作者: 秋本速斗
4 絆の刻印
48/68

44

45話目です。

誤字脱字、お目汚しあると思いますが・・・


戦闘ばっかりです。流血表現、切断表現などがありますのでご注意を。

全員が降り立ったのを確認して、ミーシャが続いていた道の奥へと偵察へ向かった。


3分ほどして姿を現す。

「思いのほか魔物が多いわ。若干広めの部屋で、3方向に道が分かれてる。その先まではさすがに斥候系の龍族がいていけなかった。部屋内は剣3、弓1、魔1、回復2、各通路入り口に斥候が2ずつ。部屋の中のはひとり引いたらおそらく7全部来るわ(リンク)ね」

「7リンクか・・・シルバー、足止めはどれだけいける?」

「えっと、眠り(スリープ)で1は確実に継続して止められるよ。あとは足止め(リスト)が長めに止められるけどすぐにはかけ直せないからなぁ・・・」

シルバーの答えをきくとレイがミーシャに聞いた。

「そうだな・・・ミーシャ、魔法師を即死(ワンキル)できるか?」

「他から邪魔が来なければ、連続スキルで何とかなると思うわ」

「それからソウは盲目(フラッシュ)を持ってたな。オレがヘイトを取ったら剣のひとりに入れられるか?」

「できるよ。開幕なら余裕」

「ならばシルバーは回復ふたりを足止めだ。オレはまず弓をワンキルしたら、すぐに回復のリストがかかっているほうに行く。ミーシャも魔法師を斃したら、そっちに移ってくれ。シルバーも余裕があれば攻撃を、ドーリィも今回は攻撃に入ってくれ」

そう伝えてレイが小部屋の巡回の動きを見た。

「まずオレとミーシャで弓と魔法師、次に回復1、剣3とやったら最後にスリープしてる回復だ。いくぞ」

ちょうど巡回が部屋の真ん中に来た時に、レイが剣を鞘走らせ音でヘイトを取った。


やはり巡回を引いた瞬間、周りから一斉に襲ってきた。

まずレイはすべての龍族に一撃ずつ入れてから、弓に向かう。


レイが巡回を引くと同時にチャージで魔法師に突っ込んでいったのはミーシャだ。

素早く短剣を腰から抜き、低い姿勢で襲い掛かる。

「ふっ!」

一瞬で後ろに回り込み背後攻撃(アンブッシュ)

すぐにそのままとてつもない速さで右、左、そしてキック。攻撃が当たるたびに龍族の両腕、両足、胸のあたりに光る文字が刻まれてゆく。

胸まで刻まれた瞬間、ミーシャが腕を振り上げると魔法師が爆炎に飲み込まれ、光の粒子となった。

それを確認もせず次の獲物へと滑るように走り出す。


「安息へといざなえ、眠りの茨(スリープソーン)

レイが一撃ずつ入れたすぐ後に、回復師の足止めをするシルバーはまず眠りのスペルをかけた後、無詠唱の足止め(リスト)のスペルを入れる。

足止めが成功したのを確認して、詠唱の短いスペルでレイの援護に回った。


驚いたのはドーリィだ。

チャントの特徴である相手への状態低下(デバフ)スペルのかかる棒術で、防御低下や攻撃低下、果ては鈍足まで次々に入れていく。

好きじゃないと言っていたのに、その技はどう考えてもハイクラスの取り回しでレイへの負担が最低限で済むように、しかしヘイトだけは取らないように立ちまわっている。

すべての剣士にデバフをかけるとレイとターゲットを合わせて攻撃し、切れる頃にまたデバフをばらまく。

それを繰り返しつつ、パーティの状況を見てヒュムネの効果を鼻歌で切り替えているのだ。


(ドーリィ・・・伊達に2級じゃないってことだな)

一方ソウはレイがヘイトを取った瞬間剣士のひとりにフラッシュを入れ、すぐにレイとミーシャに持続回復を、レイがこまごまダメージを受けるとある程度したところでヒールで回復していた。

(こんだけのリンクなのに余裕がまだあるな)

「ライトニング!」

手が空くことがないように攻撃スペルも撃ち、援護する。


3方向からの攻撃をいなしながらまずは弓をたたくレイは、チャージで一気に距離を詰め、弓をつがえようとする龍族の腕を一刀で切り伏せ、そのまま皮装備の継ぎ目に剣を走らせ3連撃でほぼ相手を無効化する。

走り寄ってきた剣士の3人の攻撃を避けると、今度はチャージで弓の裏側に回り込み肩口から腰まで断つ。


粒子になった弓をそのままに返す剣で龍族の技を受け止める。

そのころにはすでにミーシャも攻撃に合流しており、背後から連撃をたたきこんでいた。

盾がない分受け損なった傷はあるが、今回も大ダメージは受けずに済みそうだ、そう思った瞬間。


3つの道のうち真ん中の一つから、二回りほど大きな龍族が姿を現した。

その大きな龍族は、ぎろり、とこちらをみるとゆっくりと近づいてくる。


「中級龍族・・・!」

「やばいわね、あきらかにこっちに向かってる。幸い周りはリンクしてないみたいだけど・・・っ!」

「とにかく、1体でも多く斃しておくっ!」

そう言うとレイの動きがミーシャとの対人で見せたような速さになる。

攻撃を受けず、躱すことで速さをます。しかしかわし切れない攻撃も増えてダメージが増える。

ミーシャとシルバーもレイとターゲットを合わせて、1体、また1体と斃してゆく。

残りあと回復1体というところで、部屋から出てきた中級龍族が突然、瞬間移動したかのようにレイの目の前に移動してきてその槍を突き出した。


ザシュッ!



「レイッ!!!」

シルバーが叫んで駆け寄ろうとするが、レイが真っ赤に染まった腰を抑えて止める。

「ブロックカーテン!願う(デュ) 癒しを(ヒール) すべてのちからを(インサビンリティ)!!」

ドーリィは限定回数完全防御のスペルを唱えて、ヒュムネを持続回復とすべての能力向上に入れ替える。

「1分よ!レイ回復させて!!」

ミーシャの声にはじかれたようにソウがレイに駆け寄り、今できる最大回復のスペルを唱えた。

「癒しの力を、グレースヒール!」

傷口に両掌をあてる。かなりの速度ではあるが、傷が癒され始めた。

しかしまだ傷口は開いたままで、血がじくじくとソウの手を濡らしている。そのまま立ち上がろうとするレイに縋りつくようにしてもう一度。

「癒しの力を、グレースヒール!!」

2度目のヒールでようやく傷がいえた。ソウはふらつく体に鞭打つように、立ち上がり苦戦しているミーシャたちのほうを向いた。

「盾となる力を!ユスティエルシールド!!」

ソウの頭上に輝く十字が立ち上がり消えた瞬間パーティ全員に魔法陣が浮かび上がり、先ほどのプロテクトカーテンと同じ効果のスペルがかかる。

「く・・・」

かなりの高等スペルを一気に連発したソウは、魔結晶酔いでふらついている。

しかしまだ中級龍族は斃れていない。

ヒーラーの自分が倒れるわけにはいかないのだ。

シールドの効果でダメージを受けない状態のうちに、震える手でカバンからマジックポーションを2瓶、一気に飲むと頭が少しすっきりした。


戦闘に復帰したレイがシールドでミーシャが守られている間に、ヘイトを取り返そうと威力の高いスキルで攻撃する。

ミーシャは中級龍族への攻撃をやめて、シルバーやドーリィとともに回復師を斃す。

ようやくレイに攻撃が集中しだしたところで、一斉に中級龍族をたたきはじめる。


中級龍族はただ槍を振るうだけでなく、自己強化スペルや槍スキルでパーティを翻弄する。

槍を高く掲げ、腰を落とす。

「範囲!」

シルバーの声でレイ、ミーシャ、ドーリィはいったん龍族から距離を置く。


振りかぶられた槍が、咆哮とともにぐるりとふりまわされる。

「ライトニング!バニッシュ!!」

「昏き底から来たれ闇の水龍、わが手に宿れ!闇の奔流(ダークエクスプロージョン)!!」

そのあいだに遠距離から攻撃スペルを放つソウとシルバー。


何度目かの遠距離攻撃の後。

チャージで走りこんだレイとミーシャの連撃が、龍族を切り裂いた。


『グオオォォオオォ』

低い咆哮とともに、ゆっくりと光の粒子になっていく。


ようやく斃れたそのあとには、白銀に輝くプレートメイルが落ちていた。

お読みいただきありがとうございました。

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