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Astleyer fantasy ーMMOの世界が現実になった時ー  作者: 秋本速斗
4 絆の刻印
47/68

43

44話目です。

誤字脱字、お目汚しあると思いますが・・・


戦闘シーンです。洞窟の奥へ進んでいきます。

ソウの体温も戻り、交代で休憩を取った後広場の先に行くことになった。

ミーシャが偵察したところ広場の先は一本道で、しばらく分岐点なく続いているようだ。先に進んでゆくとようやく魔物らしき影が見えたということで、先頭はレイが務めることになった。


すぐ後ろはミーシャ、ドーリィ、ソウと続いて殿がシルバーである。

能力向上(バフ)のスペルをかけて、万全の状態で周りに注意しながら進んでいく。やがて、分岐点らしき場所が見えてきた。


ミーシャの言うように、分岐点を巡回している魔物がいた。

トカゲだが、鎧をつけ武器を持ち二足歩行している。

「龍族か・・・」

「最下級龍族ね」

「ソウ、2刀で戦うから動きに慣れてくれ。槍よりもかなり変則的な動きになる。今後は2刀メインでいきたいから、悪いがよろしく頼む」

「ん、わかった」

「あたしは1度見てるから、適当に合わせていくわ。ドーリィは初回は後方補助ね。なれたら殴って構わないから」

「わかった」

「魔物が増えたら足止め、他は攻撃で」

それでいい?というように首をかしげてミーシャを見る。

「シルバーは攻撃しすぎに注意ね。魔物の注視とったら1回につき特訓が1時間延びるわよ」

「キヲツケマス・・・」

「見えた。いくぞ」

ちょうど巡回が分岐点に来た。


レイが飛び出し龍族の注視を取る。

すぐに深く踏み込み3連撃を放つ。


それを確認したミーシャが一瞬で龍族の背後に回る。

後ろからの攻撃で致命傷(クリティカル)を狙うのだ。


願う(デュ) 力を(リアース) 皆を(オール) 守る(ディフェ) 速さを(スーツ) 与えたまえ(プリジミーア)

ドーリィは杖を掲げてヒュムネを紡ぎなおす。


(アグニ)よ、炎となれ!炎の矢(ファイアアロー)!!」

シルバーもレイへのヘイトが溜まったころスペルを詠唱する。

地獄の炎(ヘルフレイム)!」

ファイアアローが当たると放てる2段階目のスペルも命中させて、龍族の体力を減らしてゆく。


「リバース ライト」

ソウはレイの動きを見ながら、切れるたびに持続回復スペルをかけなおす。

かなり速い動きだが、ミーシャと戦った時よりは目で追える範囲だったのが良かったのか、慌てることなくスペルをかけることができそうだった。

(これが、またネームドとかボス系だとミーシャの時みたいになるのかもしれないけど。今日は宝箱目当てだしな・・・)

よそ事を考えている暇さえあるようだ。


龍族がほかの魔物と違うのは、知性があること。

鎧を身に着け、武器を振るってくる。

戦術を立て襲ってくる。


今回も下級だったとはいえ、やはり鎧をつけられていることもあり簡単には斃れなかった。

ミーシャの毒と、シルバーのスペルがなければもっと時間はかかっていただろう。


とはいえ大きなダメージもなく、無事に龍族は光の粒子となり消えて行った。

「おつかれ。ドロップは・・・鱗だけね」

「ソウ、どうだ?」

「ん、ミーシャと戦ってた時を想定してたから無理かと思ったけど、全然大丈夫だった。ただ強いのが出てきたらちょっと何とも言えないかな・・・」

「・・・まぁ、ミーシャはある意味その辺のボスより強かったしな・・・」

「少なくとも、2刀の戦闘を見てれば慣れてくると思うわよ」

そう言ってミーシャは偵察へ向かった。


「ドーリィって、棒術はどうなの?」

ミーシャが偵察から戻ってくるまでは、雑談タイムだ。

一度倒した洞窟の魔物は、そのパーティが出るまでは沸きなおしがないからだ。

「あまり好きじゃない。でもさっきのでレイの動きはだいぶわかったからちょっと叩いてみるけど」

次は、と言って杖を撫でる。

「シルバーも、すごかったな。やっぱスペラーの火力があると助かるよな」

「へへ」

ぺと、とソウにくっつくシルバー。レイにも頭を撫でられ褒められてご満悦である。

「宝箱ってどの辺にあるんだろう。やっぱかなり奥なのかな」

「ミーシャが言うには、パーティによって出現位置は変わるみたい。ただ守り人のようなのは目撃されていないから、大抵は箱を開けたら即帰還してるって。だからこの洞窟、奥までは行く人はいないんだって。一番奥で開けた人でも、洞窟捜索時間は2時間って」

「げー、じゃあ行き帰りの道のりのが長いじゃんか・・・」

ドーリィの説明で聞き逃せない箇所の突っ込みが入ったとき、ちょうどミーシャが戻ってきた。

「右手は小部屋、宝箱らしきものはなかったわ。左手はちょっと広くなっているけど、奥の崖から滑空すれば降りれそうな場所があって、そこの先に道がつながっていたわ。ルート的にはその小部屋に箱がないところを見ると、滑空で進むのが正解ね」

「か、滑空って、飛び降りてそのまま・・・」

「翼を空中で開いて、目的の場所まで浮いていくってことよ」

顔面蒼白のソウに、死刑宣告のような答えである。


ソウは覚醒人になってから一度も翼を開いたことがない。

使う場面がなかったといえばそれまでだが・・・そんなソウにはかなり高難度の注文だった。

「ソウは一度も翼を使ったことがないからな・・・」

「困ったわねぇ・・・」

「そうだな、問題ない。オレが抱えていく」

そう言うと、ソウをサッと横抱きにした。びっくりして動くソウに、落とすから首につかまっていろと言うとさすがにおとなしくなった。

「大丈夫?」

「ソウは知ってるだろう。オレは覚醒人だった、未来で。覚醒人だった期間は長いし、翼の扱いも慣れている。絶対落とさないから安心しろ」

耳元でそう告げるレイを信じて、首にギュッと捕まった。

それを見たミーシャが左に入り、すぐ先の崖に立つと斜め下方向を指さした。

確かに、かなり下にせり出した岩が見える。乗り出してみると岩の先には道らしきものがつながっているように見えた。

「あの岩場に向かって滑空、降りたらハイドで偵察するわ。それまで待ってて」

いうやいなやすぐに飛び降り、崖と岩のあたりで翼を開いてふわりと浮いた。そのままうまく岩の上に降りると、ミーシャの姿が消える。

しかしすぐに姿を現し、手を振った。

「先に行く」

ソウを抱えたままのレイが躊躇なく崖から飛び降りた。


耳元でびゅうびゅうという風の音とともに、胃の浮く感覚。

思わず目を開くと、上のほうに飛び降りてきた崖が見えた。耐えられずに思い切りレイにしがみつく。

その瞬間ふわり、と落下速度が緩んだ。

もう一度目を開けてみるとレイの背には黒い翼が開き、風を受けて浮いている。

「もう大丈夫だ、降りるぞ」

目が合ったレイがそう言うと、トン、と岩場に降り立った。そのまま上を見ていると、シルバー、ドーリィもうまく滑空して降りてくるのが見えた。


お読みいただきありがとうございます。

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