42
43話目です。
誤字脱字、お目汚しあると思いますが・・・
今回は短いですが、切りがいいとこなので投稿しちゃいます。
腐な表現がありますのでご注意を。
なんとか雪に降られず洞窟前にたどり着くことができた。襲ってくる魔物もおらず、順調だったと言える。
しかし・・・
「入り口はまだ安全だと思うけれど、一応偵察してくるわ」
「大丈夫か、ソウ」
極寒の中2時間半の休憩なし強行軍で、ソウの顔色は真っ白になっていた。小刻みに震えてすでに返事も返せない。シルバーもウルフになってソウにくっついているが、全く震えは収まらなかった。
洞窟内を偵察に行ったミーシャが戻ってきた。
「入口からだいぶ奥まで、魔物の類はいなかったわ。巡回していそうなものもよ。中は防寒具がなくてもいいくらい。早く入って休ませましょう」
それを聞いてレイはソウを抱きかかえる。シルバーもレイの横に並んで中へ入っていった。
中へ入るとそこは広場のようになっており、天然の洞窟には思えないような高い天井に、鍾乳石のように美しい岩が立ち並ぶ。
休憩するのに隠れられそうな大きな岩場などがあり、ミーシャの言うように中は外とは全く違う地域のような温度だった。
レイはソウをおろすと防寒具を脱がせて、チェーンメイルもはずしてやる。
シルバーは体温がそれ以上下がらないように、湯たんぽのようにソウの体に張り付いた。
自分の装備も外すと、レイは自分とソウのカバンから毛布を取り出してそれにくるまり、シルバーごとソウを抱き込んだ。
抱き込まれて一瞬体を固くするが、その温かさにこわばっていた体がゆるんでいく。
震えもだんだんと収まってきた。シルバーを一撫でして抱きつくと、首を上げてほっとしたような顔で見つめてきた。
「なんか、ごめん・・・」
「だいぶ体温も戻ってきたようだな」
謝るソウの額に手をあててほっとしたようなため息をつく。
だいぶ温まってきたようで、ようやく口をききはじめたソウを見てシルバーが抜け出し警戒のために広場にいるミーシャたちのほうへ走って行った。
「も、いいよ?」
もぞもぞしはじめたソウの体を逃がさないように腕を回して、少し強く抱きしめる。
「レイ」
「あの寒さで休憩もなく2時間以上ぶっ通しだったんだ。もう少し休憩しておいたほうがいい」
「じゃ、ミーシャたちも・・・」
「なぁソウ、そんなに迷惑だったか?」
その言葉を聞いてぴた、と動きを止めた。
「あの時から、オレのことを避けているだろう?露骨ではないにしても、結構傷つくぞ・・・」
「ち、ちがうんだ!避けてたわけじゃなくてその・・・あ、いや避けてたのは事実だけど、そういう意味じゃなくって」
そこまで言うと口をつぐんで、なんといっていいのかと言いよどんでいるとレイの腕が離れていく。
「あの誓いがいやとか、レイが嫌いとかそういうんじゃないんだ!」
離れていこうとするレイの腕に、振り向いてしがみ付いた。
それに目を丸くしているレイに、顔を赤くして一気に言い放つ。
「こわかったんだ!ドーリィにあの誓いがどういうものか聞いて、真剣に考えなくちゃって・・・でもどうしていいかわかんなくて、返事して今の関係が変わるのが怖くて」
「迷惑ではないのか?オレが嫌いとか」
「ちがう!んなわけない!!その、レイが離れていくのは嫌なんだけど、これがどういう気持ちなのかはよくわかってなくて、でも俺の傍からいなくなってほしくないくらいには大事なんだよ!」
「そ、なのか・・・」
ほとんど告白のような叫びを聞いて、レイはふわりとソウを抱きしめる。
「今はそれだけで十分だ」
(な、なんか俺いま結構トンデモナイコト言ったような?)
そうっと見上げたレイの顔があまりにうれしそうで、まぁいいか、と思うことにした。
「いらいらする」
「まぁまぁ、ほっときなさいな。本当の絆の相手なら、いつかはつながるわよ」
「シルバーだって気をきかせたのに」
警戒しつつもドーリィのつぶやきに返すミーシャは、シルバーを撫でているドーリィの頭に手を置いた。
「ていうかシルバー、そろそろ人型になりなさいな。ソウの湯たんぽかわりだから大目に見ていたけど、ちゃんと人化してパーティとしてのスペラーの動きをしっかりしてもらうわよ」
「わかってるよ!」
お読みいただきありがとうございます。




