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Astleyer fantasy ーMMOの世界が現実になった時ー  作者: 秋本速斗
4 絆の刻印
44/68

40

41話目です。

誤字脱字、お目汚しあると思いますが・・・


戦闘シーンは苦手です・・・

レイとミーシャが対人します。

美味しい食事に満足した一行は、銀の猫亭に帰宅する。

扉を閉めて正面玄関を施錠したミーシャが、レイに背を向けたままつぶやいた。

「ねぇレイ、2刀がメインだって言ってたわよね」

「ああ、そうだな」

「そう。お願いがあるんだけど」

ドーリィがミーシャの顔を見上げる。

「ミーシャ、また悪い癖」

「悪い癖って言わないでくれる?ただ自分と同じ技術で戦うひとと、剣を合わせてみたいだけじゃない」

ミーシャは不敵に笑っていた。

ドーリィによるとミーシャは見かけによらず戦闘狂で、自分と同じ2刀で実力者を見ると必ず1度は手合わせを申し込むのだそうだ。

「だってレイって槍であれだけ腕が立つじゃない?なのにまだ本気じゃないってさ、うふふ、わくわくするじゃない」

酒が回ってなければ、今からでもお願いしたいくらいよ、とレイのほうを輝くような笑顔で見つめている。

「ああ、かまわない。裏庭でいいのか?あと、一応真剣ではなく木刀でもいいか?」

レイは何でもないように是を伝えると、ミーシャが小躍りしながら裏庭へと向かう。

「裏の倉庫に、訓練用のがあるから。さっ、いきましょ!」

「僕も見たい!」

シルバーがふたりについていく。ドーリィもソウの手を引いて裏庭へと続く扉をくぐるのだった。



木刀ということで、外に出たそのままの軽装で防具などは付けずに手合わせするようだ。

軽く体を動かし、違和感などないか確認した後互いに2刀を構えた。

「毒や麻痺や煙幕は使わないわ、一太刀当てたら終了のアタックバトルでね」

「ああ」

「ドーリィ、合図よろしく」

「じゃぁ」


今までおもちゃを与えられた子供のように目を輝かせていたミーシャが、表情を引き締める。

レイは右手を心中線に、左手は引き気味に軽く構えて相手を見据える。


裏庭の囲いになっている木々がさわさわと風に揺れる。

「はじめ」

ドーリィの静かな開始の合図とともに、ミーシャの気配が消えた。


レイは視界から消えたミーシャに慌てることなく、気配を探っているのかそのまま構えている。


一瞬のようにも、長い間にも感じられた。


ガキィン!


突然レイの左側からミーシャが現れ、短木剣を横なぎにする。

利き手とは逆腕にも関わらず、レイは左手の木刀でそれを受けた。


そのまま連続で2撃、3撃と連撃を繰り出すミーシャ。

それを受けるレイ。

短木剣での連撃が続く。


「フッ!」

ミーシャが右足を振り上げて突然、レイの胸元を蹴り上げる。


「、っ!」

ぎりぎりのところで、後ろへ素早くステップしてかわした。


いったん間合いがあき、開始前のように互いに構え停止する。

「ふふっ、最高!まさかハイド奇襲も防ぐ上、キックまで読まれるなんて!」

ミーシャはまた嬉しそうに笑う。

「あと一瞬気づくのが遅れたら食らっていたな」

それを聞いて目を細めると、体勢を低く、足で地を踏みしめた。


「ハッ!」

ミーシャの足が、沈み込むその刹那。

レイが飛び込むように一瞬で間合いを詰め、木刀を下から上に振り上げる。


「あぶなっ!」

最小限の動きでレイの木刀をかわす。


ヒュウッ!

しかし2撃目が風切り音とともに左横から迫る。

それもぎりぎりでかわすが。


ビュウッ!!

1撃目2撃目とかわされて付いた反動からなのか、さらに速度を増した3撃目が頭上から襲う。


「くっ・・・」

速度を増して止まらぬ連撃を繰り返すレイの剣に、避けるミーシャの動きもだんだんと鈍る。

5、10と撃てるレイも普通ではないが、それを避けるミーシャも異常の域だ。


12撃目を撃った後、不意にレイの姿が消えた。

次の瞬間、ミーシャの背後で首もとに木刀を突きつけていた。


「・・・やられちゃったみたい」

「後3撃避けられていたらこちらが息切れしていた」

「っていうか、なにあの連撃。縮地チャージをノーモーションでとか初めて見たわ!」

「ソーディアンスキルは2刀だとどうしても連撃が切れた時に反撃を受ける。戦い方を考えねば間合いも槍よりも短いから、大きなダメージを受けやすい。だからチャージを絡めてうまく相手に見切られないように変化をつけているから、連撃しているように見えるんだろう。それをよけているミーシャのほうがオレとしてはあり得ないと思ったよ。そもそもほかのシャドウよりも刻印(ロア)系のスキルの回しが早すぎる」

ロア系スキルとはシャドウの代表スキルの一つで、相手に刻印を刻みつけ爆発させることでダメージや状態異常を起こすことができる。

最大5まで刻印を刻むことができ、刻印の数でダメージや効果が変わるが基本的に相手に攻撃がヒットしないと刻むことができない。

「ふふ、楽しい時間だったわ。またやりましょうね」

「オレも対人は久しぶりだった。やはりやらないと鈍るな」

レイは木刀をミーシャに渡す。固まっていたシルバーが興奮したように叫んだ。

「すごい!レイすごい!!瞬間移動したのかと思った!ミーシャの攻撃も早いのに、すごい剣捌きだった!」

「シルバーも気配察知だけでなく目を慣らしたほうがいいな」

そう言って隣にいるソウを見ると、まだ固まっていた。ドーリィが肘でつつくと、息を止めていたのかはぁっ、と大きなため息のようなものをついて目を瞬かせている。

「・・・すごいな、ふたりとも。まったく剣戟なんて見えないし、気づいたらレイが木刀突き付けてた」

「ソウはヒーラーだがもうちょっと対人戦に慣れたほうがいいかもな・・・」

ぽん、とソウの頭に手を乗せてくしゃくしゃと髪をかき混ぜる。木刀を倉庫に置いてきたミーシャがドーリィとともに宿の裏口から中へと戻っていったので、ソウたちも後を追って入っていった。

お読みいただきありがとうございます。

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