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40話目です。
誤字脱字、お目汚しあると思いますが・・・
評価ありがとうございます!活動報告で予告した通り今日更新できてよかったです。
ちょっとだけ腐な表現がありますのでご注意を。
ほんのちょびっとですが・・・
しっぽ亭は、ソウたちが魔都に来た際に初めて食事をとって以来、常連となっている酒場だ。人化できないシルバーを連れての食事はここか宿になる。しっぽ亭は酒場だが、食事処として昼から営業しておりさらに値段以上の味と量でソウたちは気に入っていた。
夕方、まだほかの酒場も客が少ない時間。
ソウたちが店に入ると、この店の配膳や注文取りを一人でこなしている看板娘のエルが出迎えてくれた。
「いらっしゃいませ!今日はずいぶん大人数だね。奥のテーブル、2個つけて使って!今お水とメニューをもっていくから」
高く結ったポニーテールを揺らして、厨房に入ってゆく。
「ソウたちもここ使ってるのね」
「来たことあった?」
「ええ。ここ、値段の割に味もいいし量も多いからたまにね」
ふたりでそんな会話をしていると、さっそくエルが水とメニューを置きにきた。。
「あ、エル、この今日の魚とお肉の大皿料理と、取り分けサラダをちょうだい。あと俺レダイムの果実酒を」
「あたしとドーリィも果実酒かな」
「エールを」
「僕はこのルキシュのミルク割りで」
「はい、今日のお魚とお肉の大皿料理、取り分けサラダ、果実酒は3個なので瓶で氷とお持ちしますね!あとはエールとルキシュのミルク割り。今日のお魚はベルムスなので赤身です。お肉はバシリードなので脂身が多めですよ。サラダにはナッツ類も入ってますけど大丈夫ですか?」
エルが5人を見回すと全員がうなづいたので、お辞儀をしてお待ちくださいと厨房に戻っていった。
「で、何の話があるのかしら」
ミーシャが水を一口飲んでからレイに尋ねた。
「2刀を更新したい。とある洞窟で、2刀専用の片手剣が出ると聞いたんだ」
「それを取りにいきたいから、ってことかしら」
「ああ、どうだろうか。洞窟という場所柄、ソロでは無理だろう。今パーティを組んでいる皆に聞いてからと思ったんだが」
みんなに聞いたタイミングで頼んでいた料理と、飲み物がきた。ソウは3人分の果実酒をグラスにたっぷりと氷をいれて作ると、ミーシャとドーリィの前に置いた。
話はいったん止めて、取り分けてグラスを合わせる。
大皿料理だけあり、5人で取り分けた後もまださらには料理が残っていた。シルバーはおいしそうにミルク割りを飲んでいる。飲みながら食事を摘まむ。
「洞窟だっけ、場所は?」
ソウがサラダを飲み込んでから問うと、肉を大皿から移していたレイが皿に置いて言った。
「武器屋の主人が言うには、かなり奥まったわかりにくい場所のようだ。近場の村には移動師で飛べるが、そこからさらに山間部を越えてゆくようだ」
「それって、もしかしてダーリャ山脈の奥で見つかったっていう、かなりレベルの高い魔物が出るとこじゃない?そういえば最近、そこで英雄武器が入っている宝箱が出るって聞いたけど、それかしら」
「ヒーロー武器って、相当レアなんでしょ?露店とかお店でも伝説級までしか見たことがないけど」
「こら、シルバー。口にもの入れたまましゃべらない」
シルバーがバシリードの肉に野菜がたっぷり巻かれている肉巻きをほおばりながら言う。それを見たソウが注意した。
「さすがギルド凄腕の情報屋だな・・・いや、聞いた話は洞窟にあるということと、武器はドロップではなく宝箱から出るということだけだったから情報を集めてからと思っていたんだ」
「まぁ、色々なところから話が入ってくるしね。仕事じゃなくてもそれなりに情報収集は心がけてるから」
「レイが行きたいなら、俺は構わないけど・・・ていうか、今の槍じゃだめなのか?」
もくもくと魚を口に運んでいるドーリィの皿に追加を取り分けながら、ソウが気になっていたことを口に出した。
「前回のこともあるし、いつ何が起こっても対処できるようメインの2刀を更新しておこうと思ったんだ。槍はあまり性に合わなくてな・・・やはりなじんだ2刀での戦闘のほうがやりやすい」
「それって、今までは全力じゃなかったってこと?」
「いや、全力だったさ。ただ槍は苦手な部類に入るんだ。間合いが広すぎてな・・・距離感がうまくつかめん。覚醒してから使ってはいたものの・・・」
「2刀のほうが、戦いやすいのね」
ふぅん、と目を光らせてミーシャがフォークに刺したバシリード肉の燻製を口に入れた。
「今後のこともある。ソウを守るためにも、万全にしておきたい」
レイの言葉に、ソウの手が止まる。ドーリィは口に入れたサラダを咀嚼しながらソウを盗み見ると、耳がほのかに赤く染まっていた。
その言葉を聞いたソウは、あまりにまっすぐなレイの想いになんとなくいたたまれない思いを抱く。
そういう意味であるにしろないにしろ、まだ答えを出していない自分。
申し訳ないと思ってしまう。
気にしないように食事を再開するが、うまくフォークに魚が刺さらず四苦八苦していると、それをちらりと見たレイが苦笑していた。
「照れたのか?」
「な、ちがっ・・・!」
「ほら、」
自分の皿から魚を取って、ソウの開いた口に放り込む。
「んむっ!!」
「ックク・・・」
半ば無理やりリアル『はい、あーん』をされて、顔を真っ赤にしながら目を白黒させているソウを見てレイが思わず吹き出すと、それを見ていたミーシャとシルバーが呆れた顔でため息をついた。
(さっさと正式に教会で誓いを立てればいいのに)
その様子を見ていたドーリィも、果実酒を飲み干しながらそう思った。
「まーじゃあそうね、補給もしっかりしてから行きたいし、明日は準備日にして明後日あたり天候が良ければ向かいましょうか」
ミーシャが予定を提案して、落ち着いた。
大皿料理とサラダを綺麗にしたあと、5人は本格的な食事をとるべくメニューから食事を選び注文した。
お読みいただきありがとうございます。




