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Astleyer fantasy ーMMOの世界が現実になった時ー  作者: 秋本速斗
4 絆の刻印
41/68

37

38話目です。

誤字脱字、お目汚しあると思いますが・・・

今回ちょっと短いですが、きりがよいのでこのまま投稿します。

ソウの体調のこともあり、ギルドからのアプローチがない間はゆっくりすることになった。

レイは日課で毎朝裏庭で剣を振ったあとは軽い依頼をしたり、装備屋を見に行ったり。

ミーシャは人化してまだスペラーとして慣れないシルバーを連れ、軽い実地訓練。


もともと引きこもり気味のドーリィは、よほど何かない限りは全く外には出ない。

ソウも攫われて以来、自分から声をかけてまで出かけることはなくなってしまったので、よくドーリィと話をするようになった。


今日もミーシャとシルバーは外へ、レイは鍛冶屋へ行ってしまったのでふたりだけでお茶をしていた。

「最近ずっときになってたんだけど」

「んー?」

「レイのこと、若干避けてない?」

ドーリィの言葉に、飲んでいた紅茶をむせて噴き出した。かかる直前カップを持ち上げ自分も遠ざかったドーリィに被害はない。げほげほとむせながらソウが言った。

「そう見える?」

「あきらかに以前と距離感が違うと思う。前はもっとべったりいかないまでも近かった」

なにかあったのか、と言いたげなドーリィの目。

一瞬考えてからソウは独り言のようにつぶやいた。

「小屋で・・・誓われたというか。それが、あまりにも本気(マジ)だったもんで・・・」

「誓い・・・まさかソルエユニークの誓い?」

「それ。詳しく知ってる?」

「知ってるも何も・・・あたしはミーシャのソルエユニーク」

そういうと少し胸元を見せる。そこには白いユリの花の刻印らしきものが見えた。

「これ以上下は胸が見えるから見せられないけど、ミーシャの左胸にも同じのがある」

「互いの意思が疎通しあうとなるとか言ってたけど」

「そんなに軽いものじゃない」

そう言うとドーリィはお代わりの紅茶のポットを取ってきて、ソウと自分のカップについだ。

「ソルエユニークはその名の通り相手の唯一になる。しかも一度宣言すると相手の返答にかかわらず二度と宣言できなくなる。ある意味結婚より強いつながりだから、大抵は想い合う同士で誓い合う。誓い合っても神が認めなければ、刻印は刻まれないの」

ソウはその説明に呆然とする。レイが言っていたのとずいぶん違う。

「想い合う同士って、恋人とか、夫婦とか・・・」

「相手の唯一になるわけだから、ほかに相手がいる場合っていうのはない。恋人同士がそうだったとかそういうのが多い。ただ想い合うすべてがソルエユニークになれるわけじゃないから」

「そ、か・・・」

「誓いをうけたならよく考えるといい。自分がどう思ってるのか」

「ドーリィは・・・」

「わたしはミーシャしかいない。ミーシャがどう思っていようと、ミーシャ以外いらない。誓いを受けてそれがかなってこの刻印が刻まれた時はうれしかった。同じ強い想いを持ってないとソルエユニークにはなれないから」

そう言ったドーリィは凜としていた。

自分の誇りは、愛するのはミーシャだと自信をもって言える。

そんなドーリィが少しうらやましかった。


小屋での出来事で確かに自分は少し、レイとの接触を恐れていた。

何かが変わってしまうのが怖かったのかもしれない。自分の中でも確実に、レイの立ち位置が変わりつつある、そう思うのだ。


レイがいると安心する。

その反面、あの目で見つめられるとどこか落ち着かない。


だが今回ドーリィとの会話で考えを改めた。

レイははっきりとソウにソルエユニークの誓いを立てている。一度しかできない誓いを、軽い気持ちでするわけがない。レイの人となりを考えればなおさらだ。

レイはソウを唯一と思っているのだ。

そこにどんな感情があるのかはわからないが、それはこれからゆっくり聞いていけばいい。

曖昧に流すのはやめしっかり向き合わないと、相手にも、自分の心にも嘘はつきたくない。


手元の紅茶にジャムをたっぷり入れて、飲み干す。

「ありがと、ドーリィ」

「わたしはなにもしてない」

「でも、教えてくれたよ。俺も、ちゃんと向き合うことにした。だからドーリィのおかげ」

普段はあまり見せない表情で、ドーリィが微笑んだ。

「じゃあ、今度魔都の一番高いカフェでわたしとミーシャにケーキセットね」





お読みいただきありがとうございます。

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