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4話目です。
ブックマークついてて驚きました。ありがとうございます。
誤字脱字、お目汚しがあると思いますが・・・
今回は説明会なので長いしわかりづらいかもしれません。
アストレイヤは天界、魔界、龍界、アフィズの4つの地域から成り立っている。
この3つが地球でいういわば『国』ということになる。
天界は天族が、魔界は魔族が、龍界は龍族が住んでいて、その3種族による争いがしばしば行われていた。
アフィズは上層、下層、最深層の3つからなり、3種族が各拠点を奪い合う場所でアフィズ内には様々な要塞といわれる基地のようなものが多数あった。その要塞を奪い合うのである。要塞を多数所有すればするほど種族への恩恵が大きくなる。
おのおのの種族同士の交流はできない。言語が違うというのが一番の要因ではあるが、いわゆる地球とは違い種族ごとの脳のつくりでも違うのかいくら勉強しても他種族の言語を理解することができないそうだ。覚醒人の中には言語研究をしている者もいるようではあるが、その研究は遅々として進んではいないようだ。
争っている大きな理由としては、天族魔族はお互いの種族以外を絶やさなければこのアストレイヤが滅びるという伝承を信じているらしい。
かたや龍族はとにかく自分の領土を増やし支配したいという思想で、種族間戦争を戦っていた。
伝承では昔は一つだったとされるアストレイヤ。美しい世界樹のもと天族魔族という種族さえなく、住んでいるものは亜人と覚醒人のみであったという。
平和に暮らしていたはずの世界に亀裂が入ったのは、どこからか現れた龍族の奸計であったと言われている。亜人をそそのかし、覚醒人と敵対させたのだ。唐突に始まった争いに、覚醒人は戸惑った。長きにわたる平和のため争いを嫌った覚醒人たちは、亜人の代表5名と5対5の対談を設けたが龍族が攻め込んでその場は混乱に陥った。この世界の中心ともいえる世界樹を龍族は攻撃し、その攻撃に耐えられなかった覚醒人たちとともに世界樹は砕け散ってしまった。
世界樹のおかげでひとつであったアストレイヤはその瞬間、3つの地域に分かれてしまう。
ひとつは、ある程度今までと変わらぬ温暖な気候の太陽が空に輝く、天界。
ひとつは、場所により厳しい寒さ、暑さに襲われ安定した気候とは程遠い厳しい天には月が煌めく土地、魔界。
ひとつは、全くの未知の場所となった、龍界。
そして世界が分かたれた衝撃によってなのか、ひずみが生まれた場所にはアフィズが現れた。
人々は突然、その地域に飛ばされた。
家族であろうと、恋人であろうと、みんながすべて同じ場所に飛ばされるわけではなかった。
そうして知らぬ間に全く別の種族に生まれ変わり、昔ひとつの世界であったということは伝承として残されるのみである。
「これがアストレイヤの古い伝承と、3種族による戦争の成り立ちじゃな。ひとつの種族だったという証明なのか、この伝承はどうやら天界にも同じものがあるようだ。ちなみにソウ、お前が堕ちてきたのは魔界。魔族の地域だよ」
その伝承もまた、蒼士にここが『Astleyer fantasy』の世界であるというのを確信づけた。確かにゲームをやっていたころにその内容の本を見たし、初期のクエストでその関連のものもやっているのだ。幸いにしてゲームではすべてのクエストをこなし、世界観やMAP、重要な人物などは事前にわかっている状態だ。
もしもこの世界が本当にゲームのままであれば、職業やスキル、システムなどは自分の知っている知識でなんとでもなるだろう。
スキルが使えるか、は別としてだが。
「覚醒人は、名前からして魔族全員がなるわけじゃなさそうだな。なにか条件があって、それを満たすと覚醒する、とか?」
これはゲーム内の知識である。自分の知識と現実のすり合わせとしての質問だ。
「魔族でもなれるものとなれぬものがいる。こればかりは天啓だ。なろうとしてなれるものではない。覚醒人となるものは、魔族を救うものとして覚醒する。覚醒は個々によって違うが、覚醒すればその背には翼が現れ天を駆けることができるようになる。そして覚醒人になれば、アフィズへと渡ることができるようになる。ただしアフィズは種族間戦争が行われる場所だがな。とにかく覚醒するのは生まれ持っての素質ともいえるかな。これは全体に言えることだが、アストレイヤではすべてにおいて生まれてから備わる『適正』というものがあって、それによって職業が決まるともいえる。剣の才能があるものが魔法を使おうとしても無理なのだよ。逆にある程度努力で習得できるものもある。それは生産能力といって達人に師事することで、ある程度生活していく上で必要となる金を稼ぐことができる」
(職の概念はまぁそんなとこだろうな。スキルが才能ってのはちょっと厳しい・・・俺に習得することができるのかもわからないし。ただもしスキルが使えずとも、生産活動で最低限生きていけるってことか)
「ソウに適性が現れるかは未知数だな。今までも渡り人に適性が現れたという話は聞かん。渡り人にはな」
「ということは、異界から落ちた人間でスキル使えるやつもいるってことか?そいつは渡り人とは言わない、とか・・・?」
老婆は蒼士の顔をじっと見つめて言い放った。
「この世界では『魔結晶』というもので満たされておる。渡り人にはそれが合わぬらしい。我々この世界に生きとし生けるものすべてこの魔結晶からエネルギーを得てスキルやスペルを使うのだ。だからそれと相性の悪い渡り人は必然的に体が弱くなったり、精神に異常をきたしたりするのだ」
え、それって俺まずいんじゃ・・・
蒼士の顔色がさっと悪くなる。老婆はふっと笑って続けた。
「おるのだよ、ごく稀に。この世界になじむ渡り人が。スキルやスペルを使いこなし、稀なる能力で最前線で活躍する。またはこの世界の歴史や他種族の言語までも紐解いていく、そんなものたちが」
「それは、渡り人とは違うのか?」
「還り人というのだよ。アストレイヤでうまれいでた魂が、なにがしかの理由で異界へ渡る。そこでそのまま生まれ育ち、故郷となるこの世界へ還ってきたといわれている」
「魂はアストレイヤ生まれだから、適性も現れてこちらの世界でも不自由なく過ごせるということか」
「異界へ渡った魂を持つ者たちは、大抵この世界で生まれ育ったものよりも能力が秀でている。身の振り方次第では英雄扱いもあるだろうね。とにかくソウはまだどちらかわからない。渡り人として無理はしない程度に生産技術を身につけ、せめて独り立ちできる程度にはなってもらうよ」
スキルや職のことは今教えても意味はないからね、とは老婆の談だ。
蒼士自身も無理をして倒れたりしたくはない。あの世界を渡った時の後遺症なのか、頭痛についても楽観視はできない。もしもただの渡り人だとしたら、それが原因で体に支障をきたす可能性もあるのだ。
とにかく、身の安全を第一に。
金を稼ぎ生活できるように。
気になるスキルやスペルが使えるかは、ある程度この世界での生活に慣れてからだ。
かちゃりと眼鏡を直し、気を引き締めた。
お読みいただきありがとうございます。