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Astleyer fantasy ーMMOの世界が現実になった時ー  作者: 秋本速斗
2 魔都バルディウム
25/68

23

24話目です。

誤字脱字、お目汚しあると思いますが・・・

ひとり増えました。

ソウの向かいに座るミーシャは、いつもの普段着姿ではなく体の線が出るような皮装備をつけ、腰には2本の短剣をさしていた。

「ギルドランク2級、ギルドからの直接依頼で探索や調査を担当している『影士(シャドウ)』のミーシャよ」

「ミーシャのメインの仕事ってそれだったのか・・・」

「あたしも驚いたけどね。ヴィダルがこの案件を3級に任せるっていったときは」

ふふ、と艶やかに笑みながら紅茶を一口くちにした。

「僕もソウさんたちがこの宿をとっていると聞いて驚きました。さて、早速ですがこの後のことをお伝えしますね」

ロクスバが鞄からメモ帳程度の大きさの小さめの手紙を渡した。

「この後皆さんにはベルスに飛んでいただきます。ベルスは魔都からふたつめの村で、そこの教会に騎士団が一人、表向き教会の護衛という仕事で在中しているので、彼にこの手紙を渡してください。これはあなたたちが正式に失踪事件の調査をする旨と、わかっている限りの情報をまとめた書面を手紙として渡すよう記載してあります。口頭でのやり取りだとアディール団員がどこに紛れているかわからないベルスでは危険ですので」

「わかった、すぐに立とう」

レイの一声でソウ、シルバー、ミーシャが席を立つ。ロクスバも立ち上がり頭を下げた。

「大変危険な案件です。みなさんは絶対に自らの命の優先でお願いします。無理をして情報のために命を落とすなどあってはいけません。どうぞご無事で」

「だーいじょうぶ。いざとなったら背を向けるのはシャドウには当たり前のこと。いくらでも逃げ道は確保してあるんだから任せて」

心配しているロクスバにミーシャが片目をつぶって笑う。

「ありがと、ロクスバ。無理だと思ったらすぐ戻るから」

「本当にお気をつけて・・・」

心配そうな顔のロクスバに見送られて、一行は移動師へ向かった。



「まさかミーシャがよく聞く腕利きの情報屋だとは」

「あたしだって最近よく聞く有望なパーティがソウたちだと思わなかったわ」

移動師前でいったん立ち止まり、まじめな顔で告げる。

「ソウ、レイ、シルバーも。ここからはあたしが斥候をつとめるから、主な指示はあたしがするわ。撤退だったら即撤退。これだけは守って」

そう言うと移動師に行き先を伝え先にベルスへと移動していった。

「さて。気を引き締めるか。レイ、シルバーと一緒に飛んでくれ」

最近落としそうで怖い、と自分は先に翼に乗っていった。

「シルバーも急にでかくなったしな。オレが抱けなくなったらどうするか。一人で乗るか?」

じっと見つめるシルバーを抱えて、レイもベルスへと飛んだ。



ベルス村は魔都バルディウムから徒歩で約3日ほどの火山地帯にある。

移動師を1度乗り換え、約1時間半ほどで到着する。

村には教会や多数の畑があり、魔界の中でもかなり大きい村である。

しかし失踪事件が起こりその関連の集団が近くで根城を造っているということで、村の自営団が物々しく警護している。


周辺は荒れた土地ながら、村には水源がありそこから水を引いているようだ。村の中を用水路が通っている。

普段ならばのどかな村なのだろう。


ミーシャが手紙を持って教会に入ってゆく。ソウたちは入り口で待つことにした。

5分ほどで教会から出てきたミーシャは、そのままこちらをちらりと見た後、村の出口へ向かう。出口付近でこちらを見た。どうやらついて来いということらしい。

出口に向かい、暫く歩いた分岐点の場所で立ち止まった。

「ついてきて」

ミーシャは分岐点の看板をこえた場所にある、奥まった行き止まりになっている場所へと進む。

その行き止まりの道なき道を進み始めた。岩をうまく足場にして登ってゆく。ソウたちもミーシャが通った後についてゆき、ある程度登りきるとちょっとした広場のようになっている場所についた。

「手紙を交換したよ。村で開けると見られていたらまずいから、ここで開けて確認しましょ」

手紙の封を短剣で切ると、中の紙を取り出した。

「依然調査後から変化なし。騎士団も戻らず。団の人数は把握通り・・・これだけか。まぁよほど偵察に特化してないとあそこの調査は無理ね。さて、実はここから南の方にあるのよね、研究所」

ミーシャが指さしたあたりを見ると、埃でけぶっていて見づらいが確かに何かの大きな建物があるのが見える。

「近道しましょ。ここまで登れたんだから行けると思うわ」

「直接研究所に行くのか。ずいぶん遠く見えるが・・・」

「正規ルートで下の道を通ると、かなり迂回することになるのよ。今の時間だと明日の夜明けになってしまうから、潜入調査するなら夜に潜んだほうがいいし、近道すればちょうど日暮れごろ近場にいけるから」

「・・・たしかに明るいうちに行ったら正面突破になりそうだな。わかった、急ごう」

ソウたちは登ってきたのとは逆の方から降りつつ、研究所へ近づいて行った。

お読みいただきありがとうございます。

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